起業から1年で半分の会社が消える。公認会計士による「スタートアップの経営が傾く3つの理由と対策」

起業から1年で半分の会社が消える

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起業してから1年以内に半分以上の会社が、5年以内には80%以上の会社が倒産や業務廃止で消えてしまうといわれています。

会社設立も含めて今まで多くの会社とお付き合いしてきましたが、中にはこんな会社がありました。都心のアクセス便利な立地に小綺麗で立派なオフィスを構えていて作業デスクも最初から確保済み。なんだか宇宙船のコクピットみたいな先進的なデザインのデスクで、巨大なテレビ会議システムや高価そうなアミューズメント設備も充実。社長に立派な設備ですけどこのオフィス維持するの大変そうですね、とつい本音を言ってみました。すると社長からは

「これから採用しても大丈夫なようにまずは環境を整えた。売上はこれから。がんばるよ」

との力強い言葉が返ってきます。あちゃー、と思いました。

先立つ収益を確保しないまま先行投資して立ち行かなくなるという典型的なケースです。案の定、その会社は売上や利益がうまく確保できず、一年後にはオフィスを引き払って会社もなくなっていました。

会社ずっと続くように思えてしまうけれど、設立まもないスタートアップとなると経営が簡単に傾いてしまうのはなぜなのか?実は業種はあまり関係なく共通した理由があります。

スタートアップの経営が傾いてしまうことの共通点とその対策を知っておくことで、起業してから足下を救われる可能性が少しでも下がるかもしれません。今回の記事を参考にして、会社を健全に維持していくための一番良い方法を考えてみてください。

*今回の記事は、現役公認会計士・税理士の方に協力・執筆していただきました。
専門家から見たベンチャー企業が潰れる3つの理由とは?起業を考えている方、必見です。


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理由1「事業資金の使い方を間違える」

事業資金の使い方を間違える

会社を立ち上げた直後はなにかと物入りが多く、資金が出ていきやすくなります。

設立準備やオフィスの手配、各種機材の購入や税金の支払いなどなど。立ち上げ数ヶ月は入ってくるカネが少なく出て行くカネが多く、売上も安定しません。
一方ではサラリーマン時代の給料よりも大きな金額が入ってくる(必要経費をまかなうので当然なのですが)ことから、これを自分の給料と錯覚してしまって使う金額も大きくなりがちです。その結果、売上が安定する前に先行投資を行ってしまい、必要経費をまかなえずに会社が立ち行かなくなってしまう。

無駄に豪華なオフィスや諸設備、人の採用などまとまったカネが出て行きます。社長という肩書になったのが嬉しくて夜のお店で豪遊してしまうこともあります。これでは事業資金がいくらあっても足りないですね。

では、どうすればいいのか?

対策1「必要なコストかどうかを厳しく判断しよう!」

コストを厳しき判断
スタートアップの立ち上げ直後は確かに多くのコストがかかりますが、それらのコストは
「本当に必要なものなのか?」
「今かけるべきものなのか?」
「他のもので代替できないのか?」
を考えなければなりません。

特に売上が安定していない時期に支出が先行することは会社のキャッシュ・フローを不安定にするので、相当神経質に構えておかないとすぐに資金は枯渇してしまいます。

まずは業務に必要な買い物について一覧にしてみましょう。その中でそれらに支出する必要が本当にあるのか、じっくり吟味して買い物の優先度を決めましょう。
オフィス家具なんて高級品でなくていい。ニトリかIKEAで買いましょう。中古家具でもいいですね。(一方で、お客様の目に触れる内装はピンポイントでいいものにしておく、という工夫は必要です)
コピー機も最新機種を5年リースで、とつい調子に乗りたくなるところですが、そんなものは不要です。中古ショップを回って型落ち機種を安く購入すれば、発生コストは1/4ぐらいに抑えられます。

ケチケチ作戦の一方で、当面の資金繰りの予測もしておかなければ、突然の支出でどうにもならない事態に陥りがちです。そのためには2-3ヶ月程度先の資金予測はやっておきましょう。資金予測といってもキャッシュ・フロー計算書や資金繰り表を正確に作るというほどおおげさでもなく、見えている支出を一覧にして、預金残高と比べられるようにしておくぐらいのおおざっぱな管理で最初は十分です。

起業に先だっての手元資金(余裕資金)は十分に確保しておきましょう。目安としては当分売上がゼロでも維持できるよう、退職直前の収入(自分の給与額面など)の6-12ヶ月分を用意しておくのがよいかと思います。24ヶ月分ぐらいあれば理想的ですが、余裕があればこれぐらいの事業資金は準備してから立ち上げたいですね。

理由2「色々手を出して得意領域にフォーカスしない」

得意領域
スタートアップ立ち上げ当初は、社長が営業・製造・財務というすべての仕事をやる必要があります。事業が軌道に乗れば人を採用して役割を分担することもできますが、当面はマルチプレイヤーとして日々の業務に追われることになります。結果として、社長自身が得意とする「本業」になかなか集中できなくなってしまいます。

また一方では、スタートアップを立ち上げたことによるある種の高揚感、ある意味なんでもやれると思い込んでしまう万能感も手伝って、最初から手当たり次第にいろいろな事業領域に手を出す人もいます。もちろん人的なリソースは有限なので、いっぺんにいろいろやろうとしてもすぐに回らなくなってしまいます。

では、どうすればいいのか?

対策2「やることとやらないことを線引きしよう!」

やることとやらないことの線引
スタートアップを立ち上げたからには、その社長が得意なことでビジネスを展開しようという動機があったはずです。その得意なことはなにかを明確にして社長はそれにフォーカスするのがもっとも大事です。人を採用して役割分担を決めるときにも、社長自身が「できること」「できないこと」の線引きが必要になります。「できること」であってもあえて人に役割を委譲して、社長自身が「できること」「やるべきこと」にフォーカスする。伸びる会社は例外なくここが徹底しています。

一方で、やるべきことが山積していることには変わりません。それらの作業を効率的にこなす方法を模索しましょう。特に事務作業については人を採用しなくても業務が回るように、割安な専門サービスを利用して安いコストでこなすか、ツールを活用して自動化する方法を考えましょう。

立派なオフィスを構えることは立ち上げ当初は必要ありません。バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用することで、オフィス維持に必要な時間やコストの大半から解放されますので、積極的に活用したいものです。最近では外出先で共有できるコワーキングオフィスなどが便利です。
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電話対応は毎月数千円で応対とメール連絡してくれる電話秘書サービスを使います。これで出先で携帯で着信し、周囲の雑音でスムーズに話せないということもなくなります。
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スタートアップには専用のIT担当は不要ですが、仕事を効率的に回すためにIT環境の整備は必須です。最近では、業務に必要なスケジュール管理やドキュメント管理はGoogle AppsやOffice365などのクラウドサービスが充実してきており月あたりのコストも低く抑えることができるので、積極的に活用しましょう。
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事務書類作成を効率化するためのサービスが続々とリリースされています。見積書や請求書の作成はその都度手動で行うのではなく、こういったサービスをなるべく利用していきましょう。
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スタートアップといえどサービス内容を説明してお客様から問い合わせを受ける環境は必須です。ウェブサイトを開設し、必ず問い合わせフォームを作りましょう。またウェブサイトの維持管理に余分な時間やコストがかからないよう、メンテナンスが容易なサービスを利用します。

「時間を最小限のカネで買う」のが、時間や資金力の限られているスタートアップにはどうしても必要です。

理由3「経営業務に時間を割かない」

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さまざまなスタートアップとお付き合いをしていると、
「忙しくて経理作業とかやってるひまがない」
「経理は時間ができてからやる」
といって経理業務を後回しにしている社長さんが非常に多いです。確かに帳簿をつける作業は繁雑ですし時間もかかります。作業そのものも単調で退屈なのでなかなか手を付ける気になれないのも理解できます。

しかし、会計帳簿は会社の現状を把握してこれからの判断を行うための大事なデータ。これが後回しになってしまえば会社の現状把握もタイムリーにできませんし、状況把握できていなければ対策もとりようがなく、どうしても対策が後手に回ってしまいます。

では、どうすればいいのか?

対策3「会計データと向き合うための時間を作ろう!」

経営業務に時間を割かない
毎日忙しい時間のなかで、会計データと向き合ってこの先の対策を考える時間を作りましょう。毎月半日~1日ぐらいで、毎月この日と決めておくのがよいでしょう。その日の中で、前月の実績データを見ながらこれからやるべきことに優先度をつけていきます。
「売上の動向はどうなるのか?」
「経費の利用状況はどうなのか?」
「キャッシュ残高の推移はどうなっていくのか?」
など、会計データに向き合って考えることは山ほどあります。

会計データをじっくり見るための時間を確保することは、スタートアップの経営を安定するためにはぜひとも身につけておきたい習慣です。

また、煩雑な入力作業そのものになるべく時間をかけないよう、さまざまな専門サービスやツールを活用して効率的に経理業務を回していきたいものです。やり方としては
「会計事務所に入力作業を委託する」
「パッケージソフトを使って自分で入力する」
などがありますが、自分で入力するとなると操作や簿記の知識など慣れが必要です。
最近ではfreeeを始めとして、予備知識などがなくても使いこなせるクラウド会計サービスが出てきていますので、自社の環境に合う適切なサービスを選択しましょう。

まとめ

まとめ
スタートアップの経営が傾いてしまう共通点は、あらかじめわかっていれば対策もとりやすく、途中で経営が行き詰まるリスクを少しでも下げることができます。
「そんなことはわかっているし、起業なんだからそもそもやってみなければわからないよ」
と言われるかもしれませんが、頭でわかることと実際にやるのとではまた違います。ちょっと油断するだけで、本当に会社は簡単に傾いてしまうのです。転ばぬ先の杖が必要なのです。

せっかく夢を持って会社を立ち上げるのです。つまらないところで失敗しないで事業を伸ばすほうに集中したいですよね。そんなときにこの記事を参考にしてみてください!

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