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2019年07月12日(金)

聞きたくても今さら聞けない法人税率の基礎

経営ハッカー編集部
聞きたくても今さら聞けない法人税率の基礎

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法人税とは、法人の所得に対して課税される税金のことです。
個人の所得税が所得が大きくなればなるほど税率が上がる「累進課税率」なのに対して、法人税は所得にかかわらず税率が変わらない「比例税率」です。
税制改正によって廃止になる項目や税率の増減などもあるため、法人税の最新動向には注視しておく必要があります。

 

法人税率は法人の種類によって異なる

法人税率は、法人であれば一律で同じ税額がかかるということではなく、法人の種類や資本金、所得によってそれぞれ異なります。
資本金1億円以下で年間所得が800万円以下の法人に適用されている法人税は本来19%とされていますが。期限付きで適用されている軽減税率は15%です。
15%の軽減税率は「平成31年(2019年)3月31日までに開始される事業年度まで」とされていましたが、税制改正によって期間が2年延長され、「令和3年(2021年)3月31日までに開始する事業年度まで」となりました。

“租税特別措置法による軽減税率(税率 15%)の適用期限を2年延長します。”

<引用元>財務省 法人課税 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei19_pdf/zeisei19_03.pdf


法人税率の実効税率

資本金1億円以下で年間所得が800万円を超える法人の実効税率は、開始事業年度が平成28年(2016年)4月1日以降は23.4%、平成30年(2018年)4月1日以降は23.2%と、これまででもっとも低い税率となっています。

この他にも、資本金1億円以下の中小法人以外の「普通法人」や「公益法人」「協同組合等」など法人の種類や開始事業年度によって税率や軽減税率の割合がそれぞれ異なります。

<参考>国税庁:法人税の税率


法人税が課税されるタイミングは法人によって違う

法人税は、法人ごとに自由に事業年度を決定できるので、所得税のように同じタイミングで決算する必要はありません。
納税の時期は決算直後の時期ということになるので、事業年度の設定は繁忙期を避けたほうが賢明です。

 

法人税が課税される法人

株式会社や有限会社、医療法人や企業組合など、一般企業は「普通法人」で、法人税が課税されます。
農業協同組合や信用金庫、漁業協同組合などは「協同組合等」という区分になり、法人税率が軽減されます。

 

法人税が課税されない法人

学校のPTAや実行委員会、宗教や学術、NPOなどは「公益法人等」という区分になり、法人税は課税されません。
ただし、営利目的で運営された公益法人等の収益に対しては普通法人と同等に課税されます。
この場合、宗教法人や学校法人については税率が軽減されます。
公庫や公団、国立大学など、国や地方自治体により運営される法人は「公共法人」という区分になり、法人税は課税されません。

 

法人税の計算方法

法人税の計算方法は、「課税所得×法人税率」です。
資本金1億円以上もしくは資本金1億円以下で所得800万円以上の法人なら「課税所得×23.2%」で、資本金1億円以下で所得800万円以下の法人なら「課税所得×15%」です。


法人事業税と法人住民税

法人には、法人税だけでなく法人事業税と法人住民税も課せられます。

 

法人事業税

「法人事業税」は、都道府県に納める地方税で、資本金1億円以下かどうかで一つの大きな区切りがあります。
資本金1億円以下でも所得金額が800万円を超えるかどうかで税率が異なります。
資本金1億円以下の法人に課せられるのは「所得割」のみです。
法人事業税額の計算式は、「所得×法人事業税率」です。
令和元年(2019年)10月1日以降の事業年度における東京都の普通法人の標準税率は、年400万円以下の所得で3.5%、年400万円以上800万円以下の所得で5.3%、年800万円を超える所得で7.0%となっています。

 

法人住民税

法人住民税も地方税の一種で、「均等割」と「法人税割」をあわせたものです。
均等割と法人税割はそれぞれ算出方法が異なり、自治体によって税率も異なります。
法人税割は、「法人税額×法人住民税率」なので、赤字の場合は課税されません。

“平成 31 年度税制改正における地方税法等の改正により、平成 31(2019)年 10 月 1 日以後 に開始する事業年度の法人事業税の税率の改正が行われました。”

<引用元>東京都主税局 平成 31(2019)年 10 月 1 日以後に開始する事業年度に 係る法人事業税の税率について

 

地方特別法人税の税率

資本金1億円以上の法人に課せられていたのが「地方特別法人税」です。
所得割と付加価値割と資本割の合計金額に税率をかけた金額が地方特別法人税額ですが、2019年以降は廃止され、特別法人事業税が新設されることになりました。

 

法人税の実効税率の計算式

法人税、法人住民税、法人事業税をあわせた負担率のことを「法人税の実効税率」と呼びます。
法人税の実効税率の計算式は、{法人税率×(1+法人住民税率)+法人事業税率}÷(1+法人事業税率)です。
資本金1億円以上の普通法人にかかる実効税率は、段階的に引き下げが実施されており、平成29年(2017年)3月31日までは31.33%だった税率が、平成30年(2018年)4月1日から平成31年(2019年)9月30日までは29.74%にまで引き下げられました。

 

まとめ

日本の法人税率を世界の法人税率と比較すると日本は高額なほうです。
徐々に税率の引き下げが進められてるとはいえ、法人としてみれば少しでも節税をしていきたいのが本音です。
法人税の節税方法としては、益金を減らしたり損金を増やしたりする方法があります。
細かい部分をひとつひとつ丁寧に見直していくようにすれば、まだまだ法人税を節税することができるかもしれません。

“法人税の節税方法としては、損金の増額が有名です。損金を増やすことは無駄な出費を増やすことではありません。今は損金になっていない”ものを損金扱いできるように工夫する、いずれ必要なものを前倒しで支払いをするというように出費自体を増やすわけではありません。”

<引用元>経営ハッカー:【経営者必見】法人税を節税する3つの方法とその手順まとめ

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