年末調整の前に知っておきたい13種類の控除の要件・控除額まとめ

年末調整
会社勤めの方なら、毎年11〜12月には「年末調整」という言葉をよく聞くと思います。「年末調整ってそもそも何?」「必要な書類は?」「正しい内容になっているか判断できない」という従業員の方、そして担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

年末調整で間違いがあると、払いすぎた税金への還付額が変わってしまったり、翌年の住民税額が変わってしまったりする可能性もあります。この記事では、年末調整の制度から従業員と担当者の双方が気をつけるポイントまでご紹介します。

目次

年末調整とは? 源泉徴収税額の差分

所得のある人は、1年間にもうかったお金を計算して所得税を申告する必要があります。しかし、行う上での問題があります。

  1. 全ての人が一斉に申告を行うと税務署の手が回らなくなってしまう上、納税者へも申告手続きの負担がかかる
  2. 一年に一回しか納税をしない場合、国も公共サービスを行うための財源不足に陥ってしまう可能性がある

これらの問題を解決するため、働く人の 8 割を占める給与所得者(サラリーマンや公務員)に関しては、会社が毎月給与の支払額から所得税を差し引いて国へ納付する事になっています(いわゆる、源泉徴収制度)。

ただし、毎月の源泉所得税の計算は概算で行われているため、年税額と差分が発生します。この差分を12月の最後の給与(または賞与)の支払時に精算する事を「年末調整」と言います。

年末調整の対象者は? 給与所得者の扶養控除等申告書 を忘れずに

年末調整

年末調整は以下の条件を満たす人を対象に行います。

  1. 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(上記画像参照)を提出している
  2. 本年中に支払う事が確定した給与の合計額が2,000万以下
  3. 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けていない

上記のうちどれか1つでも満たさない場合、所得税を差し引かれている給与所得者であっても年末調整だけで済ませられず、「確定申告」を個別に行う必要があります。

年末調整対象者のほとんどの方は(1)に該当しますが、しっかり回収をおこなっていない会社も見受けられます。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に関しては、源泉徴収税額に影響することから税務調査等で提出を求められるケースもあります。今一度「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しているか確認してみましょう。

また、控除の中には「保険料控除申告書」などの書類を提出することで受けられる控除もありますので、あわせて記入・提出するようにしましょう。

年末調整額を決める、各種控除の申請

年末調整の金額は大まかに以下のように決まります。ポイントは、各種控除をしっかり申請すると、年末調整で還付金がある可能性が高いということです。

  • 年末調整額={(給与総額)ー(各種控除)×税率}ー(源泉徴収した金額)

たとえば、源泉徴収額が 30 万円で、実際にかかる税金が 25 万円 だった場合、5万円の還付金が発生します。

*つまり、「給与総額」は少なく「各種控除」と「源泉徴収した金額」は大きい方が、年末調整の結果、従業員に還付することになる金額は大きくなります。しかし、「給与総額」と「源泉徴収した金額」の金額は変更できません。

年末調整で還付金を受けるには、各種控除を理解し、もれなく申請を行う必要があります。なお、各種控除を漏れ無く申請をすることは、所得税(年末調整)だけに留まらず、住民税の課税所得を減らすことにもつながります。

13種類の控除の要件と控除額

では、各種控除の要件と控除額を見て行きましょう。

1.給与所得控除

  • 要件:給与所得者であれば受けられる控除
  • 控除額:給与に応じて変化。最低でも 65万円
  • 国税庁参考ページ:給与所得控除

2.配偶者控除

  • 要件:配偶者の所得額が年38万未満の場合に受けられる
  • 控除額:38万円 もしくは 48万円
  • 国税庁参考ページ:配偶者控除

3.扶養控除

  • 要件:所得税法上の扶養者がいる場合に受けられる
  • 控除額:38 〜 58万円
  • 国税庁参考ページ:扶養控除

4.基礎控除

  • 要件:条件なく受けられる
  • 控除額:38万円
  • 国税庁参考ページ:基礎控除

5.障害者控除

  • 要件:納税者または配偶者、扶養者が障害者の場合に受けられる
  • 控除額:27万円〜
  • 国税庁参考ページ:障害者控除

6.寡婦(寡夫)控除

  • 要件:納税者が寡婦(寡夫)の場合に受けられる
  • 控除額:27万円〜
  • 国税庁参考ページ:寡婦(寡夫)控除

7.勤労学生控除

  • 要件:納税者が勤労学生の場合に受けられる
  • 控除額:27万円
  • 国税庁参考ページ:勤労学生控除

8.配偶者特別控除

  • 要件:配偶者の所得額が年38万より多く76万未満の場合に受けられるetc…
  • 控除額:3~38万円
  • 国税庁参考ページ:配偶者特別控除

9.社会保険料控除

  • 要件:社会保険料を支払っている場合に受けられる
  • 控除額:詳しくは、国税庁参照
  • 国税庁参考ページ:社会保険料控除

10.小規模企業共済等掛金控除

  • 要件:確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者の掛金等を支払った場合に受けられる
  • 控除額:詳しくは、国税庁参照
  • 国税庁参考ページ:小規模企業共済等掛金控除

11.生命保険料控除

  • 要件:生命保険料を支払っている場合に受けられる
  • 控除額:詳しくは、国税庁参照
  • 国税庁参考ページ:生命保険料控除

12.地震保険料控除

  • 要件:地震保険料を支払っている場合に受けられる
  • 控除額:最高5万円
  • 国税庁参考ページ:地震保険料控除

13.住宅借入金等特別控除

  • 要件:住宅用ローンを支払っている場合に受けられる
  • 控除額:詳しくは、国税庁参照
  • 国税庁参考ページ:住宅借入金等特別控除

各種控除を受けるためには細かい要件が求められ場合もあるので、国税庁のウェブサイトなどを参考に本当に自分がその控除を申請できるのか、しっかり確認しましょう。

※ 医療費控除は年末調整対象外

所得税では多額の医療費を支払った場合には医療費控除を受けられますが、年末調整では医療費控除を申請できないため、確定申告を行う必要があります。
参照:国税庁 – 医療費控除

参考:年末調整額の計算の流れ

(1)(給与総額)ー(給与所得控除)=(給与所得控除後の給与額)
(2)(給与所得控除後の給与額)ー(各種控除)=(算出所得税額)
(3)(算出所得税額)ー(住宅借入金等特別控除額)=(年調所得税額)
(4)(年調所得税額)×税率(102.1%)=(年調年税額)
(5)(年調年税額)ー(徴収税額)=年末調整金額

年末調整で、控除し忘れをなくそう

年末調整は、その結果で所得税額のみならず、翌年の住民税額に影響がでる可能性があります。年末調整で必要となる控除申請書でどのような控除が受けられるかを整理し、内容を理解して進められるようにしましょう。

年末調整に関する疑問を解決するには

毎年冬が近づくと行われる年末調整。毎年行われる年末調整はどのようなものなのかご存じでしょうか?
年末調整に関するあらゆる疑問を一挙に解決できる年末調整ガイドを作成いたしました。
経理担当者や、中小企業担当者の方はぜひご活用下さい。

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目次

  1. 年末調整とは
  2. 年末調整のスケジュールと対象者
  3. 必要書類を確認
  4. 給与担当者がやること
  5. 従業員がやること
  6. 年末調整チェックリスト
  7. 最後に
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