確定申告期間に仕掛ける動画で!?クラウド税理士廣升税理士インタビュー|後編

『クラウド時代と明治維新。勝海舟がやったこと?』クラウド税理士・廣升健生氏にインタビュー|後編

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クラウド会計ソフトの使用方法を、YouTubeなどでわかりやすく動画で解説するクラウド税理士・廣升健生税理士事務所の廣升氏にインタビューします。

インタビュアー 前編に引き続き、よろしくお願いします。

廣升 よろしくお願いします。

前編はこちら

●「雲の上」で仕事をしているユーザーの利用を絶対的に広げないと

雲の上

インタビュアー お客さんの獲得についてですが、今でこそクラウド会計ソフトの問い合わせページから流入する感じになっていると思いますが、それ以前、時間の投資でやっていた時期から現在までは、どこからの流入が多かったんですか?

廣升 ひとつはセミナーですよね。でもセミナーでも2名くらいですかね。あとは、確定申告期間の1月から3月までに獲得した方からの紹介で芋づる式に流入してきたイメージですかね。
インタビュアー クラウド会計特化へ移行するための無料サービスなど、投資していた時期のユーザーからどんどん輪が広がっていったんですね。

廣升 「ランサーズ」とか「クラウドワークス」のようなクラウドソーシング(※クラウドを活用した仕事の受発注サービス)を使って、セミナーのための表紙を作ってくれ、とか仕事を依頼していたので、結果的にはそれでクラウド上で仕事をしているユーザーが集まったっていう感じですね。

インタビュアー なるほど! 既にクラウド上で仕事している方なら、廣升さんのやり方とすごく親和性が高いですもんね。

廣升 結構バーターの案件とか多いですよ。アイコン作ってもらう代わりに、税務の相談にタダで答えてあげるとか。

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インタビュアー やっぱりクラウド会計に関しては、クラウドを利用していて、ある程度ITに詳しい人の方が認知度がありますか?

廣升 そう思いますね。結局、今のクラウド会計ソフトのユーザーは、クラウドを使いこなしている人がほとんどなので、多分飲食店の人なんかはこれからもっと普及してきて、ある程度会計事務所とかも、今まで「クラウド」なんて言ってなかった人たちが、ある程度メリットを理解し対応できた時に、第二段階で「Airレジ」とかの対応をしていくって感じだと思います。
インタビュアー なるほど。

廣升 第一段階は「雲の上」で仕事をしているユーザーの利用を絶対的に広げないと、「雲の下」には落ちてこないんじゃないかって思っています。

インタビュアー 「freee」で認定アドバイザーになってからはどうですか?

廣升 2日、3日に1件くらいのペースで問い合わせが来ますよ。今日も来たし。で、うち「Zopim(※チャットサポートのサービス)」を入れたんですよ。ランディングページで。だから、「Zopim」経由で質問してくれって言ってるんです。

インタビュアー ホームページなどでは宣伝している税理士さんも多いんですが、廣升さんのように動画でわかり易く説明されている方っていませんからね。映像だと本当にこの人わかっているんだって、ユーザーも理解できる。

廣升 そうですね、問い合わせてくれた人から聞くと、ほとんどが認定アドバイザーの登録画面からの流入だと仰るんです。動画見て、どんな感じの人なのかがわかって安心感がわいて問い合わせたと言う方がほとんどなんです。

インタビュアー 確かに会うまでどんな方かはわかりませんからね。電話の印象からでは伝わりにくいですからね。

廣升 写真からだと、良いカットを撮って掲載するなんでいくらでもできるじゃないですか。

インタビュアー なるほど。

●税理士事務所に70インチの液晶モニターを入れてスタジオ作ったんです!

廣升 動画を作っていて思ったのが、ほとんどの動画って自己紹介なんですよ。「◯◯事務所の◯◯です」とか。「◯◯についてはお問い合わせください」とか。自分の強みとか、自分の専門的な所を話す動画じゃないと意味ないよねって思うんです。そこは最初からコンセプトとしてありましたね。

インタビュアー なるほど。

廣升 ゴミの様なブログよりたちが悪い。作るならちゃんと作らないとって思っています。ちゃんとって言っても、プロのような仕事じゃなくて、見れるレベルって言うか、コンテンツとしてしっかり伝わるかっていうのが大事だと思うんです。

インタビュアー なかなか廣升さんのような真似はできませんよね、映像とかで集客するなんて。

廣升 結局、ブログとか人気があったり、facebookとかで「いいね」稼いでる人たちって、やっぱりブログで人気あるっていうのは、人気出るだけの理由があるんですよ。でも自分がブログを始めても、もう遅いんです。先行者利益っていうのがあるじゃないですか。ブログができた当初、最初からやっていた人たちにはとてもじゃないけど追いつけないなと。facebookもそうだし。出始めの頃だったら「いいね」とかすぐに数千とか稼げたけど、今はせいぜい稼げても数百じゃないですか。

インタビュアー なるほど。

廣升 やはり桁が違うから、そこで闘ってももう駄目だなって言う思いがすごくあったんで、それならばまだ誰も手を付けていない動画だよねってって考えがありましたね。

インタビュアー そこでも差別化という考え方があるんですね。

廣升 そうですね。スタジオ作るときは結構決断が必要だったんですよ。スタジオって言っても簡易なんですけど、それでも、一応70インチくらいの液晶のテレビモニターを入れたんです。

インタビュアー え? あれってプロジェクターじゃないんですか?

廣升 プロジェクターにしようと思ったんだけど、プロジェクターだと動画を撮った時、色が薄くなってしまうんですよ。

インタビュアー あの動画は液晶だったんですか!

廣升 なんやかんや、人件費とかも入れると60万くらいはかかったんです。設立当初もともと貯金が微々たるものしかなかったのに、スタジオに60万くらいかかったから、それをどう回収しようかと考えて、連結納税の動画を70本くらいかな? 1ロンテ3分で、1日2〜3本ずつ作って上げて、再生回数もそれなりにあったんですけれど、連結納税を、その動画を見て頼んでくれるかっていうと、連結納税で頼んでくる層と、YouTubeを見る客層とは全然違うんですよ。

インタビュアー なるほどね。

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廣升 だから、せっかくPRして作っても、結果的に連結納税を頼んでくるところって、それなりに利益も出ているから、若くて特徴のある税理士よりも、わりと看板がしっかりしていて、報酬もそれなりに払うからちゃんと組織でやってくれるところが多かったんです。だから、映像を作っていても客層が合わない。

インタビュアー それに比べて、クラウド会計だとどうですか?

廣升 ビチッと合うんですよ! だから数日ごとに1件問い合わせが来るなんて夢のようですよね。ようやく動画ベースで、動画からクライアントになったっていう方が増えました。月々は1万とか2万の顧問報酬でも、年間で換算すれば20万とかで、動画からの流入した方も着実に増えていますので、初期投資額は回収できました。これからはプラスになるだけだからね。

インタビュアー なるほど。

●クラウド時代と明治維新。勝海舟がやったこと?

インタビュアー クラウド会計ソフトの登場で、記帳代行の手間が大幅に減って、それを生業にしていらっしゃる税理士さんや会計士さんは、変革期に立たされていると思うんです。

 

廣升 私の好きなエピソードがあるんですが、明治維新の時に、勝海舟が武士の地位を失った武士の食い扶持を考え、再就職先として「茶畑」を静岡でやらせる事を思いついたんですね。その武士達が開墾したのが、現代の茶畑なんですよ。でも、勝海舟は最初にそれを思いついたんだけど、いきなりそれを武士達にやらせなかったらしいんです。最初は半年間、門番をやらせたらしいんです。しかも勝海舟のポケットマネーで。武士達は戦が無くなった世の中でも侍というプライドがあったんですが、毎日門に立っていても平和で何のイベントも起きないんですね。あまりにも暇な生活をしている侍達に、半年後勝海舟が「どうせ暇だろ?だったらおまえの力を静岡の茶畑作りに活かさないか?」って言ったらしいんです。そしたら侍達は「喜んで行きます!」って言ったらしいんですよ。

茶畑

インタビュアー なるほど。

廣升 何が言いたいかって言うと、変わるってことが大事で、それでも俺たちは変わらないと言って西南戦争を起こす士族もいたりと、門番になった侍も最初は変われないなって思っていたんだろうけれど、自分のマインドが少しずつ変わってきて、世の
中が変わっていくんだから自分も変わらなければいけない、って思って変わる人もいるじゃないですか。

インタビュアー そうですね。

廣升 それは世の中の事とこれからの事を自分がどう解釈して変えていけるのかって言うのは、やっぱり自分次第だなって。そう思うんです。自分だけじゃなく、家族も農民とか見下していた時代に変わるのって、今のクラウドなんてものの比じゃないくらい大変だったんだろうと思うんだけど、そこで変われるマインドを持てるかって言うのがすごい大事なんだろうなって思います。

日本刀

 

インタビュアー なるほど。

廣升 私の場合、独立してすぐにクラウドを活用しましたから看板と言っても「連結納税」ですら、たかだか1年そこそこやったくらいだったので、そんな看板すぐ捨てることができました(笑)。

インタビュアー (笑)。

廣升 でも、お客様が既にいる税理士法人では、いきなり業務形態を変えるというのは大変だと思います。

インタビュアー 社会のフローが変わる事で、専門分野の働き方も変わっていくって面白いですね。そこにすがり付かずに、新しいものを見据えて商売していくというのが企業にとって大事なんですね。このメッセージは強いですね。

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廣升 結果として何が生き残るかって言うと、すごいお金持ちになる事はなかったとしても、ユーザー目線で価値あるサービスを提供できているのか、って考え続けることが大事なんだと思います。
インタビュアー 税理士さんも武士と同じく「士」の付く士業ですからね。時代の変化に合わせて変わっていかないといけないってことなんですね。

 

前編はこちら

 

取材協力=廣升健生税理士事務所

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