子育てママからの起業。アジアに挑戦する女性税理士にインタビュー!

「世界一ラクにできる確定申告」(技術評論社)著者・税理士原尚美氏インタビュー。

今回は、三世帯同居を一人で切り盛りし、育児しながら税理士になった女性税理士・原尚美氏にインタビュー。過去の家事育児からの起業体験と、新たに挑戦するミャンマーへの海外進出について伺った。

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●3世帯同居を切り盛りする子育てママからの起業。

インタビュアー 税理士を志す切っ掛けは?

原尚美 こまったな~。私実は大きな志があったわけではないんです。

インタビュアー と言いますと?

原尚美 専業主婦だったんです。7人家族の長男の家に嫁いで……。三世帯同居の家で、元々の嫁である義理の母も既に亡くなっていたので、一人で切り盛りしていたんです。当時は働く気も無くて、専業主婦の道を選択したんですよ。そうしたら、朝から晩まで1日5回の食事作りが待っていて。しかも高齢者と若者では生活サイクルがまるで異なるので食事時間もバラバラでした。部屋も沢山あるので、食事の支度して、掃除して、洗濯したら1日終わる日々だったんです。

インタビュアー うわー。壮絶ですね。

原尚美 もうこのまま専業主婦で終わる人生なんて無理だって切実に思って、それで、育児と主婦業の間に無理矢理時間捻出して、気分転換のつもりで税理士の専門学校に通い始めたんです。

インタビュアー それが切っ掛けだったんですね。

原尚美 サイドワーク的に始めて、現在は26人規模の事務所を経営するまでになりました。

インタビュアー 事務所経営と主婦業のライフワークバランスはどんな配分だったんですか?

原尚美 まとわり付いてくる子供の世話をするのと、仕事の電話を取るって言うのは、マインドが180度違うんです。「ママ、ママ」と言う子供の相手をしながらかなりシビアなクレーム対応してたんです。もうこれ以上身が保たないって思って、歩いて直ぐの所に事務所を借りて、アルバイトを雇って開設したんですけど、いきなり固定費が25万円という状態になったので、その分だけ一生懸命仕事をしたらお客様が増えたんです。結局お客様が増えたら人手が足りなくなるので従業員を雇う。この繰り返しで、現在の状況になりました。
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インタビュアー とくに最初に理想の事務所像があったわけではなかったんですね。

原尚美 ええ。この仕事を始めた30代前半の頃は、まだ私もOLを1年経験しただけの社会人経験の少ない主婦でしたから、税理士の勉強はしましたが、実践的な知識はまったく無くて、そんな私に百戦錬磨の取引先の社長から、会社の経営について真剣に相談され、それに私がアドバイスをするわけです。そうすると、ちゃんと言った通りに改善してくるんですね。税理士なので当たり前なのですが、当時は自分自身の置かれている立場に改めて重みを感じた瞬間でしたね。それと同時に、すごいやる気がでました。

インタビュアー それで自然と事務所が拡大したんですね。

原尚美 拡大したのにはもう一つ理由があるんですよ。子供の事なんですが、最初は幼児だったので付きっきりでしたが、保育園に行くようになると、毎日お弁当作って子供を朝10時までに連れて行って、もちろんお迎えにも行って、それが小学校に上がると給食が始まって、そもそも朝8時30分までに勝手に一人で登校するようになったんで朝の時間が2時間くらいできるようになったんです。で、小学校4年生から塾に行き始めて、夜8時に帰宅するので、それまでできなかった業務もできるようになったんです。中学生なると、わりと一人でも家にいられるようになったんで、思う存分仕事ができるようになり。高校生になると、出張にも行けるようになって私の時間はどんどん伸びて行ったんです。

インタビュアー 育児と仕事の両立って大変ですね。

原尚美 それで、子供が大学生に上がった瞬間に子育てから完全に解放されたんです。「私はこれから何でもできる、自由なんだ!」って思ったんです。が、本当のことを言うと1年間なんにもできなかったんです。

インタビュアー 「空の巣症候群」ですね。

原尚美 そうそうそう!

 

 

●7人の家族を切り盛りする主婦から税理士。そして海外へ。

インタビュアー 原さんの海外でのご活躍についてお伺いしたいのですが。

原尚美 なんで海外に事務所を出そうとしたかと言うと、日本は少子化で人口減少すると言われていますでしょ。そうなると、日本の中だけでビジネスをするということが難しくなる。「だったら海外へ」という選択肢もあるんですが、日本人はなかなか海外に行けない。私がお付き合いしている経営者の方々に「海外に行ったらどうでしょう」と言うにも、私自身が実際海外に行って事業を起こしていないと説得力がないと思ったんです。

インタビュアー 自分がやらないと人に勧められないと。

原尚美 そうなんです。「ナニで困っているのか?」を、まず自分が体験することにしたんです。

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インタビュアー ミャンマーに事務所を出されたのは?

原尚美 2014年1月からなので、まだ始まって半年です(取材当時:2014年7月)。今は東京から1人スタッフを常駐させてます。日本人がいないと仕事にならないので。あとは現地で3人採用しました。

インタビュアー 従業員4名ですか。原さんは?

原尚美 月に1度行ってます。

インタビュアー 基本的に取り引きしている方々は日本に母体を持つ海外進出された企業というイメージですか?

原尚美 3種類かな? 1つ目はNPOとかNGO。2つ目は大企業から辞令が出て海外進出で行くパターン。あとは政府系の人ですね。要するに組織に守られたサラリーマンの人。3つ目はそれらとは別に身ひとつで飛び出して海外で起業している人。日本に母体が無い人も結構いますよ。日本の法人を清算して海外進出した方や、ずっとタイで事業されてからシンガポールに行かれた方とか。中小企業とかだと、日本に母体があっても実は形だけとかも結構ありますからね。

インタビュアー そうなんですね。

原尚美 なんでミャンマーで事業を始めようとしたかと言うと、ミャンマーはマーケットが拡大しているんですね。でも日本は無理矢理マーケットを作ってと言うかこじ開けてビジネス始めている状況じゃないですか。それに比べ、ミャンマーは全部がマーケットみたいなもんなんです。

インタビュアー (笑)。

原尚美 アジアに行くと感じるのが、今日より明日、明日より明後日の方が絶対良いことを若い人たちが理解しているんです。みんな前を向いて上を向いて楽しくてしょうがないって感じで。日本ではそんなことないじゃないですか。20年後、今日より良い生活をしているなんて確信持てない。

インタビュアー 日本の高度経済成長期に近い状態ですね。

原尚美 海外に出て感じたのが、日本はとても良い国なんです。だからもっと自信をもっていいんです。なのに国内で小さく縮こまっている。テクノロジーも凄いものを作るのに自己満足で終わったりね。だから、もっと世界に目を向ければいいのにって思うんです。出れば出る程そう思いますね。

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インタビュアー とは言え、むやみに行っても成功しませんよね。

原尚美 もちろんです。成功しないパターンも多いです。失敗しても自己責任がとれるレベルなら良いと思うんですよ。でも失敗するからやらないって選択肢はないじゃないですか。なんで日本人は失敗を恐れるのかがわからないんです。

インタビュアー そうですね。

原尚美 外国に行けば日本人の私は、お金持ちで、いろんな知識を持っていて、なんだか怖い外国人なんですよ。そういう人なんだと自分自身を客観視したのは海外で仕事をするようになってからです。

インタビュアー なるほど。

原尚美 税理士っていう資格は日本国内の資格なので、海外では通用しないんですが、そういう頭でいたら、実は日本の税理士資格は通用するんです。

インタビュアー なぜですか?

原尚美 例えば「日本のCP(T)Aです」って話せば、ミャンマーのCPAの方々は、ちゃんと時間作ってくれるんです。

インタビュアー それは日本の税理士が価値あるから?

原尚美 そう! 普通では得られない情報も得られたりするんです。この肩書きがこんなに使えるのかって驚きました。肩書きってファーストステップではとても大事だなって感じまました。その後は当たり前ですが個人差がありますけどね。

インタビュアー そうなんですね。

原尚美 会いたいといえば、外国人のCPAたちが、いつでも時間をとってくれる。ミャンマーの法律について、親切に教えてくれます。先日は、ミャンマーのCPAのための研修会に、呼んでいただいて、一緒に法律の改正の勉強もしました。

インタビュアー (笑)。なるほど。国が異なると新しい視点が生まれるんですね。体験に勝る教科書はないですね。

インタビュアー 話は変わりますが、クライアントさんの視点から税理士さんを探す時に、どうやったらそこまでやってくれる方に出会えるんですかね?

原尚美 ああ、例えば逆もしかりで、WEBのコンサルタントを頼んでいるんですけど、「私に集客の事とかなんでも聞いてください」と言われてもわかんないじゃないですか? 本当にこの人はちゃんとやってくれるのか?
とか。ミャンマーでのパートナー選びも同じなんですよね。人を見る力とか、相性とか必要なんですよ。

インタビュアー 決め手ははなんですかね?

原尚美 クロージングできるかどうかじゃないですかね。相手がここまでやりましたと言っても、実際見たらできてないって事ありませんか?

インタビュアー ありますね。

原尚美 そのやりましたのレベル感ですね。

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インタビュアー アウトプットの質が共有できるかってことですかね。

原尚美 そうですね。

インタビュアー 日本の大企業って今も昔も社員が上司や他部署の愚痴を言い合っているみたいなとこってあるじゃないですか。基本的な体質改善はできていないって感じがするんですが、原さんはその辺りはいかがお考えですか?

原尚美 それを言ったら士業も同じですよ。資格を見せれば仕事は向こうからやってくるんですから。国が守ってくれている状態なので心配も不安も無いんですよ。大企業の従業員も同じじゃないですか。ミャンマーに行くと、生活というもの自体が日本の比べものにならない程不安定なんですから。ミャンマー人は国そのものを信用していないのでね(笑)。

インタビュアー (笑)。

原尚美 ミャンマー人は銀行も信用していないんですよ。銀行に預金しませんからね。不動産とか売却したら、段ボールいっぱいに紙幣を詰めて、トラックで運んだりしますよ。「それ盗まれるんじゃないの?」って聞いても「銀行に預けておくより安心」って言うんです。

インタビュアー 日本とは全く違いますね。最後になりますが、今後の展望をお伺いして良いですか?

原尚美 はい。私は中小企業が自由に海外に出られるようにしたいですね。アジアにいると、ミャンマー、ベトナム、タイなんて、東京と大阪くらうの違いしかないんですよ。だから、日本人ももっと気軽に海外でビジネスをやって欲しいですね。大企業はリスクをとれないので、リスクがとれる中小企業こそ海外で成功する可能性が高いので、そのお手伝いをさせて頂きたいです。

インタビュアー なるほど。

原尚美 アジア各国に事務所を出して、アジア進出するなら原パートナーズとなっているようにしたいですね。

 

 

取材協力=原&アカウンティング・パートナーズ/原会計ミャンマー事務所
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著者:原尚美・山田案稜

 

 

 

 

 
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目次

  1. 会社の経理を始めるために
  2. 法人の決算に必要なものまとめ
  3. 貸借対照表で会社の資産状況を把握しよう
  4. 損益計算書で会社の利益を把握しよう
  5. 法人のための税申告・納付まとめ
  6. 法人にかかる税金は9種類もある
  7. 税金を滞納したら、どんな罰則がある?
  8. 法人のための節約のコツ
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