減価償却の基礎知識【定額法と定率法】

減価償却の基礎知識【定額法と定率法】

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建物や備品、車両などの固定資産は、使っているうちにその価値が年々減少していきます。その価値の減少分を費用計上していくのが「減価償却」です。
たとえば、ある会社が3億円のオフィスビルを建設したとします。もし初年度に3億円の費用として計上した場合は、3億円の赤字です。しかし2年目以降は家賃収入があるため、黒字になります。これでは会社の正確な収益と費用を把握することが難しいでしょう。
そこで、ビルの購入費用を毎年少しずつ費用に計上しようという考え方が生まれました。これが「減価償却」です。償却とは「費用に計上」することを指します。

[減価償却の基礎知識:目次]
■1)減価償却の例
■2)減価償却費の仕訳
■3)定額法と定率法
■4)定額法と定率法はどちらが得なの?
■5)少額減価償却資産の必要経費算入について
■6)一括償却資産の均等償却
■まとめ
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■1)減価償却の例

パソコンの法定耐用年数(何年にわけて経費を計上するのかを示す年月)は4年です。あなたの会社で32万円の超豪華PCを購入したとします。これを4年で償却した場合の毎年の減価償却のイメージは以下のようになります。

減価償却の例
このように、1年で費用計上するのではなく、耐用年数(この場合は4年)に分割して計上していきます。それぞれの固定資産の耐用年数は国税庁のページを参考にしてください。

耐用年数表 | 国税庁

■2)減価償却費の仕訳

それでは帳簿上はどのように減価償却を処理するのでしょうか。減価償却には「直接法」と「間接法」の2種類あります。

・直接法

直接法とは、減価償却費をそのまま固定資産から差し引く方法です。実際に仕訳をしてみましょう。建物30000円、減価償却費1000円とすると、以下のようになります。

(借)減価償却費    1000 |(貸)建物    1000

・間接法

間接法とは、「減価償却累計額」という科目を使って仕訳をする方法です。上と同じく建物30000円、減価償却費1000円とすると、仕訳は以下のようになります。

(借)減価償却費    1000 |(貸)減価償却累計額    1000

減価償却は、これら直接法と間接法の両方の方法が認められています。

■3)定額法と定率法

減価償却の方法にはいくつかありますが、一般的には「定額法」と「定率法」があります。

・定額法

定額法とは、毎年同額を費用として計上する方法です。
定額法
計算方法は以下の通りです。

減価償却費=取得原価×定額法の償却率×使用月数/12か月

・定率法

定率法とは、当初の減価償却費が多く計上され、年々費用計上額が減少していく方法です。
定率法
計算方法は以下の通り。

減価償却費=(取得原価-減価償却累計額)×定率法の償却率×使用月数/12か月

なお、建物は「定額法」のみ、その他の減価償却資産は「定額法」または「定率法」を選べます。

■4)定額法と定率法はどちらが得なの?

一部定額法しか選べないものもありますが、一般的には定額法か定率法かを選べます。どちらを選んでも、法定耐用年数が経過したときに残されている未償却部分は同額になります。要は経費化するスピードが異なるのです。定率法は最初から一気に多額の減価償却費を計上できますが、その額は年々少なくなっていきます。ある段階で定額法に償却額が抜かれることになります。

償却方法の選択には、納税地を管轄する税務署まで窓口に持参するか郵送にて届ける必要があります。(法人の場合は基本的には定率法になります。)

提出は設立第1期の確定申告書の期限(中間申告がある場合は中間申告の提出期限)まで。用紙は最寄りの税務署にて入手することができます。詳しくは国税庁のページを参考にしてください。

[手続名]減価償却資産の償却方法の届出 |国税庁

■5)少額減価償却資産の必要経費算入について

使用年数が1年未満のものや、取得価額が10年未満のものについては減価償却を行わず、取得価額(購入金額)全額を必要経費としてその年に計上することができます。また青色申告者は、取得価額が30万円未満のものについては、取得価額の年間合計額が300万円に達するまで、取得価額を全額その年の必要経費にすることができます。

減価償却の概要 |国税庁

■6)一括償却資産の均等償却

取得価額が10万円以上20万円未満のものについては、一括して3年間で均等に償却することができます。たとえば15万円の備品については、3年間に渡り5万円ずつ償却することが可能です。

減価償却の概要 |国税庁

■まとめ

いかがでしたでしょうか? 減価償却については年によってたびたび法改正が行われています。適宜、国税庁のページなどを参考にし、変更点などをチェックするようにしてください。

TEXT=安齋慎平

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目次

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  2. 法人の決算に必要なものまとめ
  3. 貸借対照表で会社の資産状況を把握しよう
  4. 損益計算書で会社の利益を把握しよう
  5. 法人のための税申告・納付まとめ
  6. 法人にかかる税金は9種類もある
  7. 税金を滞納したら、どんな罰則がある?
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