【年末調整】賞与の所得税について完全解説!正しい計算方法教えます

賞与の計算は正しく出来ていますか?

賞与所得税

賞与とは、夏季・年末などに給与とは別に賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものを言います。給料と同じように、健康保険料・厚生保険料・雇用保険料・源泉所得税を差引いて支給しますが、この計算方法が給料のとは違うのはご存知ですか?あなたの会社では正しく計算していますか? 賞与支給額

[目次] ■1)健康保険料・厚生年金保険料の計算 ■2)雇用保険料の計算 ■3)源泉所得税の計算 ■4)実際に事例を使って賞与の計算をしてみましょう ■5)決算賞与は節税になる? ■6)役員賞与は税務上の経費になるのか?

 

■1)健康保険料・厚生年金保険料の計算

健康保険料

保険料率は都道府県によって異なります。 ※全国健康保険協会(協会けんぽ)HP 都道府県毎の保険料額表

健康保険料・厚生年金保険料は会社と従業員とで折半して負担する為、この保険料率に1/2を乗じて計算した金額を賞与から差し引きます。

 

■2)雇用保険料の計算

雇用保険料の計算

平成26年度の雇用保険料率(労働者負担)

・一般の事業で5/1000 ・農林水産・清酒製造の事業で6/1000 ・建設の事業で6/1000

厚生労働省HP 平成 26 年度の雇用保険料率

 

■3)源泉所得税の計算

前月の社会保険料控除後の給料等の金額(前月の給与-前月の健康保険料-前月の厚生年金保険料-前月の雇用保険料)と扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて「賞与の額に乗ずべき率」を求めます。 源泉所得税の計算

国税庁HP 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

社会保険料(健康保険料・厚生保険料・雇用保険料)控除後の賞与額に「賞与の金額に乗ずべき率」を乗じて、賞与から控除する源泉所得税額を求めます。

 

■4)実際に事例を使って賞与の計算をしてみましょう

神奈川県にあるA社は、社員山田太郎さん(32歳、扶養親族無)に賞与20万円を支払います。山田太郎さんの前月の社会保険料等控除後の給与等の額は257,319円でした。 実例賞与計算

よって、太郎さんの賞与の手取額は下記の金額になります。 賞与手取額

 

■5)決算賞与は節税になる?

経営者は、会社が赤字の場合はもちろん、黒字の場合でも悩みます。なぜなら、税務申告をする際、会社は利益のうち約4割を税金として納めなければならないからです。経営者にとっては、「せっかく稼いで利益が出たのに税金で持って行かれる」と愚痴りたくもなります。

そこで、経営者は決算が近くなると、いい節税対策がないか頭を悩ませます。「税金で持って行かれるくらいなら、従業員に決算賞与を支払って納税額を減らそう」と考えるかもしれません。ただ、この決算賞与はメリットもデメリットもあります。たしかに、従業員へ支払った決算与は税務上の経費になります。

さらに決算期に未払いでも、一定の要件※を満たせば税務上の経費に落とすことが出来ます。 ※未払賞与を損金に落とす要件

 

1.決算賞与の支給額を各人別にすべての受給者に通知していること

・決算日後1ヶ月以内にすべての従業員に支払っていること ・損金経理をしていること

※参考条文 ・法人税法施行令72-3 ・法人税法基本通達9-2-43~44

例えば今期の利益が800万円になると予測します。このままだと、そのうちの約4割の320万円を納税する必要があります。そこで、20万円の決算賞与を25人の社員に支払うことにします。そうすると20万円×25人=500万円が税務上の経費になります。

利益800万円△決算賞与500万円=利益300万円

納税金額は利益300万円の約4割の120万円になり、額がグッと少なくなります。納税額も減るし、社員のモチベーションも上がるしグットアイディア!

・・・本当にそうでしょうか?

冷静に考えてみると、決算賞与を支給した場合の方が、支給しない場合よりキャッシュが目減りしています。 決算賞与

さらに、社員に今後「決算賞与は毎年もらえて当然の権利」という意識が芽生えてしまうかもしれません。来期がもし赤字で決算賞与が出せなかった場合、逆に社員のモチベーションは著しく下がってしまいます。

決算賞与を支給することを検討する場合は下記の2つを押さえて下さい。 ・賞与を出しても会社の資金繰りは大丈夫か? ・社員に「もらえて当然の賞与」ではなく、「社員の皆さんが今期頑張った結果の賞与」であることをちゃんと伝える

 

■6)役員賞与は税務上の経費になるのか?

新会社法が施行される前は、役員賞与は損金不算入、つまり税務上の経費にはなりませんでした。その上、しっかりと所得税を源泉税徴収されてしまい経営者にとってはダブルパンチの支出でしかありませんでした。

しかし、平成18年5月より新会社法という新しい法律がスタートし、役員賞与と役員報酬とは「役員給与」として一本化され、同じく職務上の対価として認められるようになりました。

そして、役員賞与も株主総会時に、支給対象者氏名・支給年月日・支給金額等を決め、事前に税務署に届け出れば損金算入できるようになったのです。(事前確定届出給与)

しかし、届け出た通りの支給日、支給額でキッチリ支払わないとせっかく支払っても損金算入が認められません。役員賞与を税務上の経費にしたいと考える場合は、今後の資金繰りを見越した慎重な検討が必要です。

※参考条文 ・法人税施行令69

また、いくら会社の税金が減ったとしても、支払った役員賞与には所得税が課されます。法人所得に対しての税負担率と個人の所得に対しての税負担率を比較し、役員報酬・役員賞与をいくら支給すればトータルで節税になるかを、事前にシミュレーションする必要がなります。

 

■まとめ

決算期に慌てて節税対策に走っても遅すぎます。事前に専門家と相談する事をお薦めします。

    TEXT=横浜国際税理士法人 横浜南事務所 榊原志づか

 

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