年末調整で過納額の還付と不足額の徴収が生じた場合の対応まとめ

年末調整におけるもっとも重要な事務手続き

1年間納めてきた所得税をまとめたものと、本年中の給与所得に対する年調年税額の差額を調整する、年末調整事務のクライマックスともいえる作業です。

毎月の給与明細の控除欄にある「所得税」は、あくまでも概算の金額で納めているため、仮の所得税額といえます。それに対して年調年税額が本来納付すべき正しい金額となります。この概算の所得税額と年調年税額の差額が発生した際、どのように対応するのかご紹介します。

目次

1) そもそも年末調整とは

年末調整とは、一年間概算で納めている所得税と本来納付すべき所得税額を比べ、払い過ぎであれば還付し、不足があれば追加で納税するものです。

給与所得者の場合は、毎月の給与から企業が自動的に一定割合の所得税を源泉徴収します。このときの所得税額は、住宅ローン控除や生命保険料控除などの個々人の事情をふまえた所得控除が一切反映されていません。そのため、年末にこれらの控除の適用するための必要書類を提出し、改めて所得税を計算し直して「調整」を行なうのです。

社員の年間の所得税がここで確定するため、担当者としては最も重要かつミスの許されない業務であると言えます。

2) 所得税を納めすぎていた場合(還付されるパターン)

1)[毎月の徴収税額の合計>年調年税額]となった場合、差引超過額として還付されることになります。

2)還付するタイミングは、12月最終支払分で調整することとなります。例えば、12/15が給与支払日、12/25が賞与支払日であれば、12/25の賞与支払い時に還付金と一緒に支払います。12/10が賞与支払日、12/25が給与支払日であれば、12/25の給与支払い時に還付金が振り込まれます。

2-1) 還付する方法

1)還付金の計算は、源泉徴収簿にて行います。
* 源泉徴収簿の詳細な記入例などは 「源泉徴収簿の書き方・作り方を分かりやすく解説」 を参照ください。

2)過不足を計算するために必要な給与と賞与の徴収税額を合算したものは、源泉徴収簿の左側にある毎月の徴収額を転記して算出します。

3)給与所得者の扶養控除等申告書や、保険料控除申請書兼配偶者特別控除申告書にある情報を、各該当項目欄にすべて記入します。

4)途中、早見表などを使用して必要な金額を記入しながら、項目に書かれている式に従って計算を行い、年調年税額を求めます。

5)22の金額から8の金額を引いた金額が、マイナスであれば還付となります。

2-2) 還付が生じるパターンまとめ

・途中で扶養親族が増えた

年の途中で扶養家族が増えると、還付されることになります。なぜなら、途中で1人増えて3人になったのであれば、12月末日時点の現況で判断されることになるのでその年1年間は3人を扶養していたものと判断されます。

当初は2人の扶養親族として税額計算をして、毎月の給与から所得税を納めていましたが、3人扶養したほうが控除額が多くなるので、1年間トータルで換算したときに納め過ぎとなり、還付されることになるのです。

・年の途中で収入が増えた

学生から社会人になるタイミングにもよりますが、一般的には4/1入社を以て社会人となり、収入が増えるパターンになる方が大半だと思います。会計年度は4/1~3/31となることが多いのですが、給与計算期間に関してはどの企業や個人事業主であっても、所得税法により1/1~12/31と定められています。

収入が増加する4/1からの税額で計算してしまうと、1/1~3/31も同じ収入があるものと判定されてしまうのです。結果として税金を納めすぎてしまうため、還付金として精算されることになるのです。

3) 所得税を納めた額に不足があった場合(追加で所得税を納付するパターン)

1)[毎月の徴収税額の合計<年調年税額]となった場合、不足として追加で徴収・納付されることになります。

2)12月最後の支払いとなる給与か賞与から、不足分を徴収します。

3)不足分を徴収すると、1月から年末調整を行った月の前月(通常は11月)までの税引手取給与の平均月額が70%未満になってしまう場合、翌年の1月と2月分の給与から徴収することになります。

4)翌年の1月2月分から勝手に徴収するわけにはいかないため、[年末調整による不足額徴収繰延承認申請書]をこの申請書を作成する必要があります。

5)作成した申請書は、その年最後に給与や賞与の支払を受ける日の前日までに、その会社を所轄している税務署に提出します。

3-1) 年末調整による不足額徴収繰延承認申請書の注意点

1)年末調整による不足額徴収繰延承認申請書は、基本的には源泉徴収簿の金額をそのまま転記すれば問題ありません。

2)年末調整による不足額の徴収繰延べを受けられる人は、その年最後の税引手取額が1月から11月までの税引手取額の平均月割額の70%未満に満たない人に適用されます。

例えば、1月から11月までの税引手取額の平均が30万円で、不足徴収税額を12月分の給与から徴収すると21万円未満になってしまう場合、翌年1月と2月で分割して徴収することになり、計算結果を申請書に記入します。

3-2) 不足分が生じるパターンまとめ

・年の途中で扶養家族が減った

扶養家族が減ると、控除額が減って課税所得が増えるので、納税額もそれに応じた額となります。年の途中で減ったとしても、12/31時点での扶養人数で年調年税額を計算する点に注意しましょう。

課税所得が103万円を超えて扶養を外れた場合は不足分が生じる可能性が高くなります。一方で、扶養親族が死亡したことで扶養家族が減った場合には、本年度中は扶養家族としてカウントされ、翌年度から外すことになります。

・高額の賞与により、月々の徴収額では納め足りなかった場合

毎月の給与所得に比べて賞与額がとつぜん大きくなるような場合、不足額が生じることがあります。年収ベースで計算したときに、予想より年収が多く毎月徴収する額では足りなかった、となるためです。

4) まとめ

年末調整はつまるところ、年調年税額をその人の納税額とするので還付されても徴収されても、得でも損でもありません。どちらにせよ、年末調整で正しく計算されていると確認できるようにしましょう。

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