確定申告に見るアベノミクス|国税庁のデータからアベノミクスと株式等の譲渡所得の関係を追う!

株式
先日、衆議院が解散されました。今回の総選挙では「アベノミクス」が争点となるものと見られます。2012年12月26日の第2次安倍内閣の誕生から政権の経済政策として掲げられてきた同政策。これについては賛否両論ですが、12月14日の投開票によってその是非が明らかになります。

さて、今回は「株式等の譲渡所得」を中心に見ていきます。前半は「確定申告に見るアベノミクス」と題して、国税庁が発表したデータをもとに、アベノミクスと譲渡所得の関係を追ってみます。後半は、「そもそも譲渡所得とは何か」について迫ります。

[目次]
■1)確定申告に見るアベノミクス
■2)そもそも譲渡所得とは何か?

 

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■1)確定申告に見るアベノミクス

・平成25年(2013年)は株式の譲渡所得が急増

まずは、国税庁が発表している「平成25年分の所得税及び復興特別所得税、消費税並びに贈与税の確定申告状況等について」という資料を見てみます。

この資料では、確定申告書の提出状況や還付申告の状況などがグラフ付きでまとめられています。しかし、特に注目してほしいのが譲渡所得の申告状況。なかでも「株式等の譲渡所得」では、前年(2012年)と比べて以下のような増加が見られました。

  ・株式等の譲渡所得の申告人員:109万8千人(前年比11.6%増)
・有所得人員(所得があった人):66万1千人(前年比189.1%増)
・所得金額:4兆8357億円(前年比238.0%増)

これらのことから、譲渡所得(特に株式等の譲渡所得)が平成25年度は急増していることがわかります。

国税庁資料2
上記グラフは国税庁のサイトより引用

一方、土地の譲渡所得(総合課税の譲渡所得含む)について見てみると、申告人員は前年比12.8%増、うち有所得人員は前年比12.8%増、所得金額は前年比11.8%増となっています。

国税庁資料2
上記グラフは国税庁のサイトより引用

これらのデータを見比べるに、譲渡所得の中では株式の譲渡所得の増加が突出していることがわかります。アベノミクスによる株価の急騰で恩恵を受けた層が一定数いるということが推測できます。

このように平成25年度はアベノミクスによって株式の譲渡所得が急増しました。平成26年度はどのような結果になるのか、今から注目が集まりますね。興味のある方は、国税庁から発表されるレポートをチェックしてみましょう。

■2)そもそも譲渡所得とは何か?

続いては、この譲渡所得とはどのようなものなのかについて見ていきます。

・譲渡所得とは?

譲渡所得とは、資産の譲渡による所得のことを言います。代表的なものは土地・建物や株式などの譲渡(売却)で発生します。特に株式の売却では、ほかの所得と区分して税金を計算する「申告分離課税」が適用されます(事業所得や給与所得などとは別に税金を計算します)。
※ゴルフ会員権や骨董品など、土地・建物・株式等以外の資産の譲渡は「総合課税」となります(各種の所得金額を合計して所得税額を計算します)。

・株式の譲渡所得と確定申告の関係

株式などを売却した際の譲渡所得は、口座の種類によって確定申告が必要なのかどうかが決まります。口座には①一般口座と②特定口座が存在します。

①一般口座の場合、確定申告が必要です(給与所得の会社員で、給与以外の所得の合計が年間20万円以下の場合は不要)。②特定口座の場合、源泉徴収口座の人は確定申告が不要となります。なお、それ以外の特定口座(簡易口座)の人は確定申告が必要となりますので注意が必要です。

一般口座の人の場合のみ、自分で譲渡所得を計算する必要があります。計算式は、
総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費や委託手数料、借入金利子など)=譲渡所得

となります。この譲渡所得に「所得税及び復興特別所得税(15.315%)」および「住民税5%」の合計である20.315%(上場株式の場合)を掛けて税金額を算出します。

なお、NISA(少額投資非課税制度)を使えば、平成26年1月1日から平成35年12月31日までの間に、年間100万円を上限として上場株式等の配当等やその上場株式を売却したことによる譲渡益が最長5年間非課税となります。NISAについて詳しく知りたい人は、各証券会社に聞いてみると良いでしょう。

・株で損が出た時には「譲渡損失の繰越控除」

株で損失が出た時は、譲渡損失の繰越控除という制度を利用できます。上場株式等で損が出た場合、損失を申告すれば今年の損失分を翌年以降3年間に渡って株の儲けから差し引くことができます。また複数口座を持っていれば、利益の出た口座から損失分を差し引くことも可能(損益通算)。損益通算をしても損失が出る場合は、その損失額も翌年以降3年間繰越控除の対象となります。

繰越控除を受ける際には、毎年必ず確定申告が必要になります。株取引をしていない年でも申告しなければならない点に注意です。また、源泉徴収口座の儲けから損益通算をする場合は、その儲けが合計所得に加算されます。合計所得が増えると、合計所得の金額によってはほかの控除(配偶者特別控除、住宅ローン控除、世帯主の扶養控除など)が受けられなくなる場合があります。

・国税庁のサイトを活用しよう

国税庁のサイトでは、毎年「確定申告特集」と題して、申告に関する様々な情報がまとまって掲示されます。申告書作成のページでは、申告書類を簡単に作成できるので、ぜひこのサービスを利用してみましょう。

参考:平成25年分 確定申告特集(昨年度のものなので注意!)
※平成26年度の確定申告特集は年明け頃に掲示される予定です。
Text = 安齋慎平

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目次

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  2. 法人の決算に必要なものまとめ
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  6. 法人にかかる税金は9種類もある
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