確定申告基礎知識|株の配当金を確定申告する方法まとめ

株の配当金の確定申告をすべきかどうかについてまとめてみました。

株 基本的に、配当金はあらかじめ所得税や住民税が天引き(源泉徴収)されてから、株主に支払われます。この源泉徴収された税金をそのままにすべきか、確定申告すべきかについて考えていきましょう。

[目次] ■1)配当所得の課税について ■2)源泉分離課税(源泉徴収)、総合課税、申告分離課税のうち、どれを選べばトクか? ■3)総合課税とする場合の確定申告 ■4)申告分離課税とする場合の確定申告

■1)配当所得の課税について

株式の配当金は、決算期末に株式を持っている株主に対し、株主総会での決定を経て支払われます。 通常、配当金は以下のように源泉徴収されています。

「所得税15%+復興特別所得税0.315%+地方税5%=計20.315%」

配当金は税制上配当所得に分類されます。配当金にかかる税金への課税方法には以下の3種類のケースがあります。

1) 確定申告をしない場合(源泉分離課税) 税金は、配当金受け取り時に源泉徴収される20.315%だけです。

2) 確定申告をして総合課税とする場合 税金は、他の所得と合算して、課税所得金額に応じた税率を掛けた金額になります。 この場合、配当控除を受けられます。

3) 確定申告をして申告分離課税とする場合

税金は、配当所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+地方税5%)です。 一見すると1)と同じようですが、この場合、上場株式等の譲渡損失(上場株取引での損や繰越損)と損益通算ができます。なお、配当控除はありません。

■2)源泉分離課税(源泉徴収)、総合課税、申告分離課税のうち、どれを選べばトクか?

それでは、源泉分離課税(源泉徴収)、総合課税、申告分離課税のうち、どれを選べば配当金の場合はトクなのでしょうか。その判断には、所得税と住民税の所得割、さらに国民健康保険に加入している人は国民健康保険料の所得割額も合わせて考慮しなくてはなりません。

所得税と住民税の所得割の税率、国民健康保険料の所得割額の保険料率は、以下の通りです。

a) 所得税率

所得税率は、課税所得金額が増えれば増えるほど、適用税率も上がる超過累進課税方式です。具体的には以下のようになります。

課税所得金額 195万円以下に該当する部分: 5% 195万円超~330万円以下に該当する部分: 10% 330万円超~695万円以下に該当する部分: 20% 695万円超~900万円以下に該当する部分: 23% 900万円超~1,800万円以下に該当する部分: 33% 18,000,000円超に該当する部分: 40%

b) 住民税の所得割の税率

住民税は、主に所得割と均等割からなり、課税所得金額に応じて税額が決まるのは所得割です。住民税の所得割の税率は、課税所得金額に関係なく、一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)です。

c) 国民健康保険料の所得割額の保険料率

国民健康保険料は、所得割額、均等割額、平等割額からなり、所得金額に応じて保険料額が決まるのは所得割額です。所得割額の保険料率は市区町村によって異なりますが、おおむね、 10%前後+介護保険分2%前後(40歳~64歳の人が対象)=12%前後 の市区町村が多いです(詳細な保険料率は住所地の市区町村役所でお尋ねください)。

つまり、源泉分離課税と総合課税の比較では、勤務先の健康保険に加入している人はa)とb)の%の合計、国民健康保険に加入している人はa)~c)の%の合計が、源泉徴収税率の20.315%を超えていれば源泉徴収のままがトク、超えていなければ確定申告をする方がトクということになります。

次に、申告分離課税を選ぶかどうかは、上記a)~c)の%の合計の比較に加えて、 ・その年の配当金合計が、損益通算できる上場株式等の譲渡損失の金額以下であること ・株式などを取得するための借入金の利息額 を計算に入れる必要があります。

■3)総合課税とする場合の確定申告

それでは、源泉徴収、総合課税、申告分離課税を比べて、総合課税を選んだ場合の確定申告の方法をご説明します。総合課税の場合は、確定申告書はB様式を使用します。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で必要事項を入力し、プリントアウトをした用紙を使用することもできます。

i) 必要書類

申告する配当等の種類に応じた以下の書類のいずれか ・オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書 ・配当等とみなす金額に関する支払通知書 ・上場株式配当等の支払通知書 ・特定口座年間取引報告書

ii) 確定申告書の記入手順

①「配当金等の収入金額(税込み)」と「配当所得の金額」と「配当控除額」を、申告書第一表に記入します。 ※ 配当所得の金額=「配当金等の収入金額(税込み)」-「(株式を取得するために借り入れた)負債の利子」 ※ 配当控除額=源泉徴収額 ②申告書第二表の「所得の内訳」欄と「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得・譲渡所得、一時所得に関すること項」欄と、「住民税・事業税に関すること項」欄に、該当すること項や金額を記入します。

■4)申告分離課税とする場合の確定申告

それでは、源泉徴収、総合課税、申告分離課税を比べて、申告分離課税を選んだ場合の確定申告の方法をご説明します。このケースでは、配当金と損益通算できる上場株式等の譲渡損失があることが前提になります。申告分離課税の場合も、確定申告書はB様式を使用します。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では自動計算をしてくれるため、必要事項を入力しプリントアウトをすれば簡単に申告書を作成できます。

i) 必要書類

申告する配当等の種類に応じた以下の書類のいずれか ・オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書 ・配当等とみなす金額に関する支払通知書 ・上場株式配当等の支払通知書 ・特定口座年間取引報告書

ii) 確定申告書の記入手順

①「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」(前年分からの繰越譲渡損失を本年の配当所得から控除する場合に必要)を作成します。 ※ この「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」や「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の作成は複雑なので、国税庁が発行する「株式等の譲渡所得等の申告のしかた(記載例)」というガイドブックにしたがって記入します。ガイドブックは税務署で入手するか、国税庁ホームページでダウンロードできます。

② i)の必要書類をもとに、申告表第二表の「所得の内訳」欄と、「住民税・事業税に関すること項」欄に、該当すること項や金額を記入します。 「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」や「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」をもとに、申告表第三表(分離課税用)の「株式等の譲渡」欄、「上場株式等の配当」欄、「分離課税の上場株式等の配当所得に関すること項」欄に記入します。

③申告書第三表の「税金の計算」・「その他」のカ所を記入し、申告表第一表の「税金の計算」・「その他」など、必要カ所の記入をします。

■確定申告基礎知識:株の配当金の確定申告

以上のように、株の配当金の確定申告自体は、注意深く記入(あるいは国税庁ホームページに入力)すれば個人でもできます。しかし、その前に、株の配当金を確定申告するかどうかについて、所得税と住民税の所得割、国民健康保険に加入している人は国民健康保険料の所得割額、さらに損益通算できる上場株式等の譲渡損失額も合わせて、総合的に判断することが必要です。

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