相続と年末調整の関係は?税金の仕組みを勉強しよう!

相続と年末調整は関係ない!?

継ぐ
「年末調整は会社が確定申告をしてくれて、そのとき納めすぎたお金が返ってくるもので、もし相続をして自分で確定申告をすれば、年末調整は必要ない」。こんな風に考えてはいませんか。これは大きな間違いです。このような勘違いをするのは税金の仕組みを理解できていないから。ここではどうしてこの二つが関係ないのかを、税金の種別やメカニズムから見ていきたいと思います。

[目次]
■1)棚から落ちてきた牡丹餅に課税する―相続税
■2)働いて稼いだお金に課税する―所得税
■3)相続税と所得税の二重課税?
■4)年末調整は所得税の最終調整

■1)棚から落ちてきた牡丹餅に課税する―相続税

相続税とは言うまでもなく、相続した財産に応じて課せられる税金です。「そんな当たり前のことを言われても」という感じかもしれませんが、この税金がなぜ存在するのか、どうして財産に課税がされるのか、考えてみたことはありますか。

仮に相続税がなかった日本を想像しましょう。その場合、先祖の大きな財産を大した苦労もなく相続して、それが生み出す不労所得で一生暮らし、それをまた子孫に相続して……という風に家財を全てギャンブルの抵当に入れるなんて破天荒な人間が出ない限りは、この一族の繁栄は約束されたも同然でしょう。今でも実際にこのような生活をしている人がいないわけではありませんが、その数は相続税がなければもっと増えていたはずです。

対して貧乏な家に生まれた人は、お金持ちの人たちが一向にお金を手放さないので、立場を一転させるような成功を納めなければ、いつまでたってもそのままです。このような事態を回避するために相続税の「富の再分配効果」があります。税金には少なからずこの要素がありますが、相続税はこの効果に特化した税金なのです。つまりは寝転んでいて、棚から牡丹餅落ちてきた。「やったー、ラッキーだ」と喜んでいる時の、その牡丹餅に課税をするというのが相続税なのです。

■2)働いて稼いだお金に課税する所得税

対して所得税は根本が違います。先ほどの例で言えば、棚から落ちてきた牡丹餅ではなく、自分が汗水たらして作った小麦粉と小豆と砂糖で作った牡丹餅に課税するのが所得税なのです。そこに介在するのは「努力」とか「苦労」とか、そういったものです。

現在の日本では所得税に累進税率が適用されているので、稼げば稼ぐほど納税額は上昇していきます。そのため「富の再分配効果」があるという意味では相続税ととても似ているのですが、大事なのは根本が違うという理解です。どちらの場合も所得は所得ですが、その出所が違うのです。この理屈を理解したうえで次の項目を考えてみてください。

所得税の税率

■所得税の速算表 平成19年分〜平成26年分
税率1<表:国税庁HPより抜粋>

■所得税の速算表 平成27年分以降
税率2<表:国税庁HPより抜粋>

■3)相続税と所得税の二重課税?

例えばAさんが父親が亡くなったので、1億円相当の土地を相続したとします。しかしその土地の管理は自分の手に余ると言って、Aさんはすぐさまその土地を1億円で売却し、自分の会社の資金にしました。これをこのまま確定申告すると、同じ土地に相続税と所得税が1回ずつかかり、予想していたのとはかけ離れた納税額になりました。「二重課税だ!これだからお役所仕事は!」と怒ったAさんは税務署に怒鳴り込みました。しかし担当者の返事は「いえ、二重課税ではありませんよ」の一言。さて、これはどういうことでしょうか?

ここまで見てきたとおり、相続税と所得税というのは課税の対象になる所得の性質が全く違います。

「もらいもの」に課せられるのが相続税
「自分で得たもの」に課せられるのが所得税

です。

Aさんの場合、初めに1億円相当の土地を相続したときに相続税がかかります。1億円ぴったりの場合、控除額は700万円、税率は30%なので、2790万円が相続税額です。そのあとAさんは土地を1億円ぴったりで売却したとすると、これはAさんが自分の財産を売却して得たお金(譲渡所得)なので、所得税が別途でかかるのです。税額は

1億円×30%=3000万円と3000万円×2.1%=63万円と3000万円×9%=270万円の合計3333万円です。
こうして合計額は6123万円。

これは二重課税ではなく、1つの1つの所得(相続)に、それぞれ別種の課税をしているにすぎません。

■4)年末調整は所得税の最終調整

年末調整というのはこの二つのうち、所得税に関するものです。会社員の所得税というのは、前年度の所得に基づいて決定された所得税を毎月の給与から天引きすることで支払われています。しかし年の途中で扶養家族が増えたり、生命保険や地震保険に加入したりして控除額が増えていても、さかのぼって計算しなおすことは出来ません。だからと言って余分に税金を納めているままというのでは、年度末に結婚した人と、年度初めに結婚した人で税額に差が出てしまいます。このズレを調整するのが年末調整なのです。

すなわち、相続税は全く関係ないのです。なので相続税関連で確定申告をしたからと言って、年末調整がなくなるなんてことはありませんし、扶養家族の妻が相続をしたからと言って所得が多いことを理由に扶養外になることもありません。

■税金を理解するには大局を見よう

相続税と所得税の違いを、根本的なところから見直すだけで、相続と年末調整の無関係がすぐに理解できたはずです。このように税金関係の諸問題を理解するには、まず大きな分類までさかのぼるのが第一です。でなければ、何にどのような理由で課税されているのかが分からないので、その末端で起きる問題の原因にはいつまでたっても行き当たらないからです。税金の理解にはまず大局なのです。

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目次

  1. 年末調整とは
  2. 年末調整のスケジュールと対象者
  3. 必要書類を確認
  4. 給与担当者がやること
  5. 従業員がやること
  6. 年末調整チェックリスト
  7. 最後に
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