家賃補助活用かマイホーム購入か。うちの会社の「通勤2km圏内の家賃補助」の謎に迫る

家賃補助かマイホームか。通勤2km圏内の謎に迫る

家賃補助
会社から2km圏内に引越しをした場合、家賃補助が受けられるという会社も多いと思います。この通称「2kmルール」、実は慣例的に決まっているのではなく、税法上の意味もあるのです。今回はこの2kmルールに迫ってみたいと思います。

[目次]
■1)2km圏内の通勤手当は全額課税対象になる
■2)マイホームの購入を決めたら、贈与税の非課税制度を利用しましょう
■3)年間500万円~1000万円が非課税に~住宅取得等資金贈与の非課税措置(2014年)
■4)2500万円か110万円の2種類の非課税制度のどちらかを選ぶ
■まとめ

■1)2km圏内の通勤手当は全額課税対象になる

実は通勤距離が片道2km未満である場合、通勤手当は全額課税対象となります(参考:通勤手当の非課税限度額の引上げについて)。対して、家賃補助として支給した場合、その分が福利厚生費となるため、通常支払う給料よりも会社が払う税金(社会保険料など)が安くなります。そのため、課税対象となる通勤手当ではなく、家賃補助を支給する会社が多いというわけです。企業は節税のため、2km圏内に住む社員に対して家賃補助を支払っているという側面もあるのです。

■2)マイホームの購入を決めたら、贈与税の非課税制度を利用しましょう

ところで、死ぬまで家賃を払い続けるよりは、自分の家やマンションを購入してしまったほうが老後の負担も減らせるため、住宅購入を検討している人も多いと思います。会社によっては持ち家支援の目的で「財形持家融資制度」などの制度を用意している会社もあるでしょう。

住宅購入にはたくさんのお金が掛かります。そのため、会社などの各種制度を利用すると同時に、親(または祖父母)からの生前贈与に頼るという手もあります。ここで注意が必要なのは、親から子へお金を渡すと、贈与税が掛かるということ。しかし、マイホーム資金のための贈与であれば、非課税にすることが可能です。

住宅取得のための贈与なら、年間500万円まで(一定の条件を満たせば1000万円まで)が非課税になります。

さらに、「相続時精算課税制度」と「暦年課税制度」という2つの制度があり、最大3000万~3500万円を非課税とすることが可能です(平成26年現在)。以下で、この制度について見ていくことにしましょう。
※平成27年1月1日からはこちら

■3)年間500万円~1000万円が非課税に~住宅取得等資金贈与の非課税措置(2014年)

この制度は、子どもや孫のマイホーム購入資金に限り、500万円までの贈与に税金が掛からないというものです。さらに省エネ性・耐震性の高い住宅の場合は、1000万円まで非課税となります。この制度を受けるための主な条件は以下の通り。

  • 子どもの年齢が贈与を受けた年の1月1日時点で20歳
  • 贈与を受けた子の合計所得金額が2000万円以下
  • 住宅の床面積(登記簿面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下
  • 中古住宅の場合、次の3つのいずれかを満たすもの
    ①耐火建築物である場合は築25年以内
    ②木造などは築20年以内
    ③一定の「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」または「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約(きぞん・じゅうたくばいばい・かしたんぽ・せきにん・ほけんけいやく)」が締結されていることを証明する書類がある。

※耐震基準に適合しない中古住宅でも、住宅を取得する日までに耐震改修工事の申請などをして、贈与を受けた翌年3月15日までに改修工事を完了し、耐震基準に適合したことが証明できれば可

・贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、住宅用の家屋の新築もしくは取得、または増改築などをし、入居すること。または、その後遅滞なく入居することが確実と見込まれること。
<参考:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税>

■4)2500万円か110万円の2種類の非課税制度のどちらかを選ぶ

上記の「住宅取得等資金贈与非課税の特例」に加えて、次の2つの制度のうちのいずれかを利用できます。

(1)年間110万円まで贈与税が掛からない「暦年課税制度」

暦年課税制度は、年間110万円まで贈与税が無税となる制度。マイホーム取得金額に限らず、年間110万円までの贈与であれば税金は掛かりません。贈与する人・される人、年齢制限、使途等の条件などに制限が無いのが特徴です。

上で触れた年間500万~1000万円の非課税枠と合わせて、610万~1110万円までが無税となります(平成26年末まで)。

(2)親1人あたり2500万円まで贈与税が掛からない「相続時精算課税制度」

相続時精算課税制度は、親1人あたり2500万円までの贈与に税金が掛からないというもの。上の年間500万円の非課税枠と合わせれば、合計3000万円まで無税にすることができます。ただし、この2500万円の特別控除額は相続財産に加えられるため、相続時に課税対象となるので注意が必要です。

相続時精算課税制度では、贈与する人が65歳以上であることが条件ですが、条件を満たせば年齢制限なしでこの制度を利用できます(平成26年まで)。これを「相続時精算課税選択の特例」と言います。この特例を受けるための主な条件は以下の通り。

  • 子どもの年齢が贈与を受けた年の1月1日時点で20歳
  • 贈与を受けた子の合計所得金額が2000万円以下
  • 住宅の床面積(登記簿面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下
  • 中古住宅の場合、次の3つのいずれかを満たすもの
    ① 耐火建築物である場合は築25年以内
    ② 木造などは築20年以内
    ③ 一定の「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」または「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約」が締結されていることを証明する書類がある

※耐震基準に適合しない中古住宅でも、住宅を取得する日までに耐震改修工事の申請などをして、贈与を受けた翌年3月15日までに改修工事を完了し、耐震基準に適合したことが証明できれば可

・贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、住宅用の家屋の新築もしくは取得、または増改築などをし、入居すること。または、その後遅滞なく入居することが確実と見込まれること。

ただし、この特例は平成26年12月31日までのものとなっています(国税庁:相続時精算課税選択の特例)。今後政府の政策によって受けられる制度の内容が変わってくることもありえますので、国税庁のサイトなどをこまめにチェックするようにしてください。

なお、平成27年1月1日以降は、相続税精算課税制度の適用を受けるための要件が改正され、①贈与する人が「60歳以上」に引き下げられる、②贈与を受ける人に「20歳以上の孫」が追加される、という点で変更になることが明らかになっています(平成27年1月1日以後の相続時精算課税制度のあらまし)。相続税精算課税制度を受けられる人の範囲が広がるというわけです。

相続税精算課税制度の注意点は、住宅購入時に非課税を受けられますが、一度相続時精算課税制度を選んでしまうと、その親からの贈与について暦年課税に戻すことができなくなること。相続時精算課税制度を選択する際には、税理士などの専門家に相談してみましょう。

■まとめ

おそらく大半の会社員は勤務先が都心部(もしくは地方都市の中心部)にあるため、会社から2km圏内に住むことは難しいのではないでしょうか? 特に東京都心はそもそも土地建物の価格が異常に高いため、郊外に居を構えているという人が多いのではないかと思います。

電車やバスを利用する際には、1か月あたり10万円までが非課税限度額となります(電車・バス通勤者の通勤手当)。もちろん、一般的には「もっとも経済的かつ合理的な経路及び方法」で通勤した場合の定期代が支給されるので、詳しくは会社の経理部に聞いてみましょう。

Text=安齋慎平