構造改革特区や総合特区と何が違うの?アベノミクス成長戦略「国家戦略特区」とは?

国家戦略特区と特区の違い、指定された各地区の特徴についてまとめてみました。

特区<画像:「2015年3月内閣官房資料」より> 安倍政権が掲げる経済政策、アベノミクスの3本の矢が「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」、そして柱とされている「民間投資を喚起する成長戦略」。この成長戦略を目的に設定されたのが「国家戦略特区」です。その概要と特徴を整理してみましょう。

[目次] ■1)国家戦略特区とは? ■2)国家戦略特区に指定された区域とは ■3) 国家戦略特区と既存の特区の違いとは? ■まとめ| 国家戦略特区に今後期待されること

■1)国家戦略特区とは?

安倍政権は、日本の経済が停滞しているのは、根強い反対による「岩盤規制」にあるとし、その打開なくして経済の活性化はなし、ということを強調しました。そのための戦略として掲げたのが「アベノミクス3本の矢」の柱とされている3本目の矢、「民間投資を喚起させるために、特定の地域に限りさまざまな規制の緩和や免除をおこなう」という政策です。その特定区域に指定された地区のことを「国家戦略特区」といいます。大胆な規制緩和をすすめていくことで、国際的な競争力の向上をめざしたり、また、新たな産業を生みだし、活発化させようというねらいです。国家戦略特区において適用除外を計画されている内容は、まちづくり、医療などの項目に分けられ、下記のようなものがあります。

・1)外国人医師の日本国内で診察業務の解禁(医療) ・2)病床数を現在の基準以上に増やすことを認める(医療) ・3)公立学校の運営を民間へ開放する(教育) ・4)農業に対する企業の参入を活発化するために、信用保証制度の適用を認める(農業) ・5)農業地域内に農家レストランを設置することを認める(農業) ・6)旅館業法を除外して、賃貸住宅を宿泊施設として利用可能にする(都市再生・まちづくり) ・7)都心の居住推進のため、マンション建設などの容積率、建築基準法などを見直す(都市再生・まちづくり)

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■2)国家戦略特区に指定された区域とは

日本経済の成長に大きな影響を与えるような事業を国が決定するという基準のもとに、6区域の国家戦略特区が選出されました。【都市の国際化】【農業の規制改革】【雇用の規制緩和】【観光ビジネスの推進による地域の活発化】など、それぞれの区域に目標とされるテーマが設定され、今後一層の推進がはかられることになります。

・東京圏)国際ビジネスにおけるイノベーション拠点 「世界で一番ビジネスのしやすい環境整備」を掲げ、国際的な競争力の向上のためにグローバルな企業や人材の受け入れを促進し、国際的なビジネスを支えるための生活環境の整備を進める。

・関西圏)医療分野におけるイノベーション拠点の形成 すでに進めてきた国際的なイノベーション拠点形成のより一層の推進をはかることで、医薬品や医療機器などの研究開発を活性化し、関西圏での産業の国際的競争力を強化する。

・新潟市)大規模農業の改革拠点 広大な土地を生かした農業の大規模化や企業の農業参入の促進、生産者が加工や販売することも可能にする第6次産業の推進をはかる。

・養父市[やぶ])中山間地農業の改革拠点 耕作放棄地の再生や農産物のブランド化への取り組み、農業を魅力ある産業に変えることで、雇用の創出や所得の向上、人口減少の抑制をめざす。

・福岡市)創業のための雇用改革拠点 人口増加や都市アクセス面での利便性を生かし、新しい事業を始めるのに最適な「スタートアップ都市」として、さまざまな人・企業の挑戦を応援することで雇用創出、地域活性化をめざす。

・沖縄県)国際的観光ビジネス拠点 ダイビングなどを通して世界水準の観光リゾート地をめざすほか、外国人観光客が旅行しやすい環境を整備する。また、沖縄科学技術大学院大学を中心に国際的イノベーション拠点を形成し、新たなビジネスの創出により観光客数の増大を図る 。

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■3)国家戦略特区と既存の特区の違いとは?

ある特定の地域に限り、そのエリア内での従来の規制を緩和したり排除することにより、地域活性を促進しようというのが「特区」です。国家戦略特区の導入以前より、特区の設定は存在していました。小泉政権の際に始まった「構造改革特区」、民主党政権により設定された「総合特区」があり、どちらも現在も継続しているものです。国家戦略特区との違いはどのような部分にあるのでしょう。

・構造改革特区

今すぐに全国的に実施に移すことが難しい規制改革を、ある地域を特定して行い、その成果によっては全国的に展開することを想定したもの。「どぶろく特区」などが例にあげられます。

どぶろく特区

特区では227件、そこから全国に波及したものを含めると、計700件以上の規制緩和の実績がありますが、日本経済を継続的に盛り上げる改革にはなつながりにくい認識となっています。 構造改革特区<資料参照:「内閣府地方創生推進室」HPより>

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・総合特区

地域の産業を育成し、地域力の向上を目的とした「地域活性化総合特区」(41地域)と、国際的な競争力をもつ産業を育てる目的の「国際戦略総合特区」(7地域)の2種類があります。はじめて「国際的競争力」に着眼したもので、規制の措置に加えて、予算や税制にも支援の措置が考慮されています。 総合特区<資料参照:「内閣府地方創生推進室」HPより>

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・国家戦略特区

国家戦略特区 既存の特区と比較し、第一に「都市の国際的競争力の向上」に重点がおかれ、2020年には「世界銀行ビジネス環境ランキング」において現在の15位から3位への躍進という目標をかかげています。ちなみに、「世界銀行ビジネス環境ランキング」は、毎年世界の約190カ国のビジネス活動における規制や制度的環境を比較評価し、各国のビジネスのしやすさをランキング化していて、「ビジネス環境の現状2015」では、日本は29位でした。前年は27位だったのでややランクが下がっています。 国家戦略特区<資料参照:「内閣府地方創生推進室」HPより>

また、これまでの「特区」と「国家戦略特区」の大きな違いは、「構造改革特区」、「総合特区」のいずれも、対象は「地方自治体」だったのに対し、「区域」が対象となっていることです。そして、規制緩和や排除の申請は各地方自治体から国に行われていたものが、国家戦略特区では、区域より出た提案を国が主導して方針を決めるという点です。首相が議長となる諮問会議が設置されていることにも、国主導である色合いが示されています。そこから特区会議を通じてさまざまな面での活性化を推進し、国際的競争力のある都市づくりをしていく方針となっています。さらに、提案の内容が既存の特区の枠の中で可能なものは誘導するなど、既存の特区とうまく連携をとることをめざしています。

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■まとめ|国家戦略特区に今後期待されること

今回、国家戦略特区に指定された各地区には、成長戦略の重点項目でもある都市としての国際化や機能強化、農業や雇用面での規制改革という目標が掲げられています。既存の特区と連携、融合することで、大きな経済効果を生み出し、全国に広げることを目的としている政策です。

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