【元監査法人担当者が語る】上場準備の際に確認しておきたい5つのポイント

スクリーンショット 2015-04-27 17.18.27スモールビジネスに携わる皆さん、こんにちは。
将来的に上場を目指している法人、上場は目指していないけど自社の経理体制がこれでよいのか不安を感じている、そんな法人の方は多いと思います。
もし上場をする場合は、監査法人からの監査を受ける必要がありますが、今回はその監査を受けるにあたって確認しておきたいチェック項目をまとめてみました。

[目次]
1)上場って何? 監査法人って何?
2)監査法人が来る前に確認しておきたい5つのポイント
3)まとめ

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1)上場って何? 監査法人って何?

1. 上場って何?

上場とは証券取引所で株式が売買されることをいい、その会社のことを上場会社と呼びます。
株式を上場させると、数多くの投資家から資金調達をすることが出来、お金がかかる大きなビジネスを行いやすくなります。
また上場会社になることで、対外的な認知度が高まるというメリットもあります。

〈参考〉上場する企業とできない企業では「会計」が違う!監査の視点からまとめてみた

2. 監査法人とは?

監査法人とは、決算書の監査を行う公認会計士によって運営されている組織です。
一般の株式会社とは少し異なりますが、上場するにあたっては上場目標年度の直前2期間前から監査を受ける必要がありますので、上場にあたってはお付き合いをしていく必要があります。
BIG4と呼ばれている4大監査法人が有名ですが、これら以外にも様々な監査法人があります。

以下がBIG4の監査法人です。

新日本有限責任監査法人(EY)
有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
あずさ監査法人(KPMG)
あらた監査法人(PWC)


2)監査法人が来る前に確認しておきたい5つのポイント

監査法人は正式な監査を始める前に、事前にショートレビューといった課題抽出を行い、経理体制等に問題点がないかを予め調査します。
その際に詳細な項目は分かりますが、事前に確認しておきたい事項をまとめました。

1. 現金残高・銀行取引の残高は確定しているか


期末時点で保有している会社の現金、銀行口座の残高が実態と一致しているかを確認します。
会社の現金は通常、金庫に保管しておき、その金庫にある現金と実際の会計ソフトに表示されている現金残高が一致している必要があります。
銀行取引の残高は、銀行が認識している残高と、実際の会計ソフトに表示されている残高が一致している必要があります。(預金残高や借入金等)
現金は「実査」といって監査法人担当者が実際の会社に保管されている現金残高を数え、会計ソフト上の現金の残高と一致しているかを確認します。
銀行残高は「残高確認書」といった、銀行側が認識している会社が保有している預金残高等を証明させ、その金額と会計ソフト上の残高が一致しているかを確認します。

2. 根拠資料はあるか

入力している仕訳の根拠資料があるか、また提出を依頼された場合にすぐに提出することが出来るかが重要です。
例えば経費の入力には、その経費の請求書や領収書等が根拠資料となりますので、この経費の仕訳はこの資料、といった形ですぐ判断出来る状態にしておく必要があります。
クラウドサービス等を利用し根拠資料をスキャンしておくことで、その仕訳と根拠資料の紐づけが容易になるためオススメです。
特に金額が大きな取引や、経営上重要な取引等は、必ずどれが根拠資料か分かるようにしておきましょう。

3. 売掛金は得意先が認識している額と一致しているか

売掛金は自社で計上、回収の仕訳を計上しますが、どこかで金額を間違った等の理由によって、売掛金の残高と得意先が認識している買掛金の金額が必ずしも一致するとは限りません(得意先側では買掛金となります)。
そのため得意先別の売掛金の残高と、得意先が認識している買掛金の残高が一致しているか、監査法人が来る前に事前に確認しておきましょう。
ただし、自社は商品を納品したタイミングで売掛金を計上、得意先は商品を検収したタイミングで買掛金を計上していることによって、期間ズレが起こる可能性はありますので、完全に一致しないことはあります(合理的な理由であれば問題ありません)。
特に売掛金の残高が大きい得意先については、事前に確認をしておきましょう。

4. 適切な期間に仕訳を計上しているか

会計の原則は現金の動きをベースとして考える「現金主義」ではなく、その取引の原因がいつ起こったのかといった「発生主義」となります。
そのため例えば3月決算の法人の場合、2015年3月利用分、4月支払の経費は、2015年3月(2015年3月期)に計上しておく必要があります。
また売上も同様で、2015年3月に先にお金は入金されている(前受金)が、2015年4月に商品を納品する場合は、2015年4月(2016年3月期)に売上高を計上する必要があります。
2015年3月期に計上するか、2016年3月期に計上するかでは、決算書の金額が変わってくるため、特に会計年度をまたいでいる、金額が大きい取引はないかを確認しておきましょう。

5. 前期と比較して、決算書の数字の増減の大まかな理由を把握しているか

例えば、2016年3月期に新たにオンライン広告を開始したことにより、2015年3月期の広告宣伝費は50万円、2016年3月期の広告宣伝費は500万円になったとします。(対前年比で約10倍に広告宣伝費が膨らんでいる)
こういった大きな数字の増減については、監査法人担当者よりヒアリングを受ける可能性が高いので、何故数字が大きく増減したのかを予め把握しておく必要があります。
今回は、2016年3月期からオンライン広告を開始したことが大きな理由になるため、その理由の把握、およびその理由が本当であることが分かる資料(オンライン広告の契約開始が分かる契約書や請求書等)が必要となります。


3)まとめ

いかがでしたでしょうか。決算書の金額は自社ではなく、第三者も見るため、第三者が見て内容が分かる必要性があります。
上場するということは、銀行や投資家等も含めて色々な人を利害関係者として巻き込むことになります。
監査法人は必ずしも会社にとって敵ではなく、その利害関係者から見て、分かりやすい決算書になっているかどうかを手助けする人たちと考えると良いのではないでしょうか?
クラウドサービス等を積極的に利用して、上場準備に備えてみましょう。
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