【経営者必見】月次決算のデータを分析して大企業並みに有効活用する5つのコツ

月次決算あなたの企業では月次決算をどのように行っていますか?大企業であればともかく、中小企業は自社のデータを有効活用の仕方がわからず、経営に活かせていない企業がほとんどかと思います。

freeeをはじめとするクラウド会計ソフトは「経理作業を安価で、誰でも簡単に自動化でき、確定申告まで仕上げられる」ということが最大の利点ですが、実は、それ以上の価値を「月次決算のデータを分析して有効活用する」ことで生み出すことができます。本稿では、ほんの少しのコツをつかむだけで、大企業の経営者並み(方法によっては、それ以上)に、会計データを有効活用できる5つのコツを紹介していきたいと思います。
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1)なぜ月次決算の分析が有効なのかを知る

コツの1つめは、まず「なぜ月次決算の分析が有効なのかを知る」ことです。
個人事業や小規模会社に多いのが、事業主や経営者自らが経理を行っていて手が回らず、1年間領収書をためてしまい、年末や期末にまとめて会計事務所に送って決算を仕上げてもらう等というパターン。これが、いわゆる「年一決算」です。
この「年一決算」は、経営状態を年1回しか正確に把握することができませんので、その間ずっと実績ベースの経営分析や対応ができません。

一方、大企業では四半期(3か月ごと)に決算を締めて公表していますが、実際は毎月決算を行い経営分析をしています。この月次決算は多くの中小企業でも行っていますが、極端な例では、毎月1日には前月の決算を仕上げているという会社もあります。これが「月一決算」あるいは「月次決算」で、その経営上の重要性は計り知れません。

では、なぜそれほど、会計決算や分析が大切なのでしょうか?

それは「会計」という言葉の語源を調べてみると理解できます。そもそも「会計」とは、中国の『史記』に最初に登場した「計は會なり」という言葉に由来していて、「各方面の事実を正確に言う(計)ことができれば、増す(會)」という意味になります。すなわち、「ビジネスにおける事実である損益や資産の現状・動向を、常に正しく言えれば、業績は自ずから増大する」ということなのです。

このように月次決算を通じて、事業の状況を常に把握することの大切さをしっかり認識することが、有効活用の第一歩になります。さらにクラウド会計ソフトでは、毎週レポートが届きますので、しっかりと会計を更新しておけば、月次決算よりもサイクルの短い「週次決算」も簡単に可能になるのです。

2)月次決算を分析するための前提

月次決算を活用するためのコツの2つめは、その前提条件を整えることです。
これから、そのコツを4つのポイントに分けて解説します。

1. 毎週末に「10分経理」の時間を作る

年次決算は、月次決算、週次決算、日次決算(日々の経理)の積み重ねです。とはいえ、あれこれ忙しい中で、毎日経理作業をするというのは大変ですね。そこで、クラウド会計ソフトを導入することをおすすめします。クラウド会計ソフトの利点は、クラウド上の取引データを取り込み、またその事業特有の仕訳も学習していくので、どんどんと経理作業が軽減・自動化されるということにあります。クラウド会計ソフトを使うと、ある程度の規模の事業であれば、週末に10分程度の経理時間で、取引確認、現金精算レシートの処理などの経理作業を終わらせることができます。そして、毎週末に経理作業を仕上げておくと、翌週月曜日の週次レポートを正確な数字として活かせることができます。

2. タグ機能を活用する

クラウド会計ソフトfreeeでは、補助科目を使わない代わりに、タグ機能が大変優れています。月次決算の分析(もちろん年次決算も)を行う際には、このタグ機能がとても重要になりますので、取引の登録を行う際には、以下の2つは、必ず全ての取引に付けるように心がけてください。

「取引先タグ」:取引先別に登録します(個人客などは「顧客」などとまとめても可)
「品目タグ」:品目別に登録します。
この際に品目をあまり細かく設定せずに大まかな分類で登録するのがおすすめです(例えば、本の購入の場合、本ごとの題名ではなく、まとめて「書籍・雑誌」とする等)
その他、「部門」タグも重要ですが、これは部門別分析を行いたい場合に付けるようにします。

3. 毎月末に決まった月次処理を行う

毎週末の「10分経理」が習慣づいたら、次は毎月末に決まった月次処理を行います。
・売上の計上(請求書の発行)
・仕入れの計上(取引先からの請求書を計上する)
・預金口座残高とクラウド会計ソフトfreeeの残高を合わせる
・現金の売上、経費などの計上漏れがないかを確認する
・家事按分(事務所の間借り・個人携帯電話の事業使用分など)
などです。これらを確認するだけで、簡単に月次決算が完了します。

4. クラウド会計ソフト特有の計上主義について理解する

最後に、少し難しい話ですが、freeeなどのクラウド会計ソフト特有の計上主義について理解することが大切です。
クラウド会計ソフトfreeeは、自動化をより簡単に実現するために、銀行口座等に入出金されたデータを取り込んで、仕訳を自動的に作成する機能があります。これは、例えば1月中に売上の入金1万円、経費の出金2万円があったとして、それが、前月分の売上であっても、翌月分の経費であっても、現金の動きがあった1月の売上・経費に会計計上(認識)するという方法です。これを「現金主義」といいます。

一方、1月に入出金があったとしても、売上や経費が実質的に発生したタイミングで会計計上するという方法を「発生主義」といいます。会計の原則としては「発生主義」が正しいのですが、実務的に「現金主義」を採用することも間違いではありません。(年次決算の際に調整するという前提であれば)
クラウド会計ソフトfreeeの場合、例えば、銀行口座の同期で取得する情報を元に記帳をするとき、その情報は債権・債務の消し込みに用いることができます。

上記からお分かりいただけるように、クラウド会計ソフトfreeeは、発生主義会計を前提としていますが、現金主義での記帳も可能な会計ソフトです。

〈参考〉freeeは現金主義なんですか?

3)クラウド会計ソフトfreeeのトップ画面・週次メールを活用する

以上の前提のコツがマスターできたら、いよいよ「分析のコツ」に入っていきます。月次決算に入る前に、実はクラウド会計ソフトfreeeでは、もっと手軽に、いつでも経営分析できるツールが2つも用意されています。それが「トップ画面」と「週次レポート」です。

1. トップ画面の活用

freeeのトップ画面には3つの分析項目があります。

「決算期日の近い取引」
ここには、売掛金・買掛金の決済期日の近い情報がアップされています。この情報をしっかりチェックすることで、回収漏れ・支払漏れを避けることができます。

「今期取引累計」
今期の最初からの、収入・支出の取引累計額と、そのままのペースで1年間進んだ場合の予測の金額が表示されています。ここも表示内容は「収支」ですので、借入金や高額の設備投資をした場合なども収支として含まれていますので、「損益」でなく「事業規模」を把握するものと理解してください。

「最近の収支」
1か月ごとの「収支」の状態が、グラフによって視覚的に表示されています。このグラフでは、オレンジ色の棒グラフが0円の軸よりも常に上位にあることを心掛けてチェックすることで、収支バランスを常にチェックすることができます。

2. 週次レポートの活用

続いて、毎週月曜日に自動的に送られてくる「先週のレポート」です。

「未登録の明細」
ここでは、未登録の明細が「0件」が理想です。ぜひ、毎週末の「10分経理」を実践してみてください。

「先週作成した新規入出金」
ここで、前週1週間の「収支」の状態がわかります。この時点で、週単位で「分析」することは難しいと思いますが、前週のお金の出入りをしっかり把握することが「計は会なり」につながります。

「支払期日の近い取引」
こちらは、トップ画面と同様の内容ですが、入出金の期日を常に把握していることはとても大切です。

4)クラウド会計ソフトfreeeの分析レポートを月次決算で活用する

いよいよ、月次決算での分析のコツになります。
ここでは、クラウド会計ソフトfreeeの分析レポート機能の活用法を5つのポイントで紹介します。

1. 収支レポートの活用(全体像)

経営分析をする時の流れは、まず全体像をつかんで、その後に詳細に入っていくことが大切です。最初から詳細に気を取られてしまうと、経営の全体像がわからなくなってしまいますので、まずは大きな収支からみていきます。(ここでは、収入レポート・支出レポート・収支レポートの3つを「収支レポート」とまとめて呼びます)収支レポートでは、まず月ごとの総額の収支推移を確認します。クラウド会計ソフトfreeeでは棒グラフで視覚的にわかりやすく表示されています。(デフォルトでは直近6か月の推移が表示されていますが「月数」の変更で、最長12か月まで表示することができます)収入・支出の大きな推移を確認して、特に収支の差の大きい月をチェックします。

2. 収支レポートの活用(詳細)

収支レポートの大枠の推移を確認できたら、次に詳細を確認します。ここで、先ほど説明しましたタグ(取引先・品目・部門)が大活躍します。収支レポートでは、上から「取引先別」「品目別」「勘定科目別」で、詳細がグラフと表で自動表示されますので、次ごとの割合をグラフで、細かい推移を表で確認することができます。ここでのコツは、各項目の平均的な数字を把握して、特に、差の大きい月について、その理由をチェックすることです。(数字をクリックすると、その明細の仕訳が表示されます)

3. 売掛金・買掛金レポートの活用

売掛金・買掛金レポートでは、トップ画面や週次レポートで送られてくる概要について、より詳しくみることができます。ここでは、取引先ごとの取引の規模や、売掛・買掛の発生のタイミングなどを詳しく見ていきます。

4. 資金繰りレポートの活用

資金繰りレポートでは、現金の収支に特化した推移をグラフと表で表示してくれます。
このレポートを観るコツは、
・収支のグラフ(青色・赤色)の規模が月々増えているか
・収支のオレンジ色のグラフの位置が常に0円の軸より上にあるか
・残高のグリーン色のグラフが右上がりに増加しているか
という視点でみていきます。そうでない月もあると思いますが、その場合は、その理由をしっかりと確認しておくことが大切です。

5. 月次推移表を見れるようになる

クラウド会計ソフトfreeeの分析レポートの下段部分は、いわゆる会計専門家がチェックするパートになりますが、その中で、少なくとも「月次推移:損益計算」は、ご自分で分析できるようになるととても有効ですので、その分析のコツを紹介します。(この表は「収支」でなく「損益」となっており、いわゆる決算書と同じ「発生主義」での表示になります)

「月次推移:損益計算」
大きく上から「売上・経費・営業損益」となっていますが、まず大きな視点から、「売上高」「経費計」「営業損益」の3つの数字だけに着目します。「売上」が月ごとにどのような推移になっているか、「経費」がかかりすぎている月はないか、「損益」がマイナスになったり、予測より少ない月はないか、など大きな視点でチェックします。そして、次に詳細に目を向けて「売上高の大きい月・小さい月はどのような売上構成になっているか?」「経費の1つ1つの行をみて、急に増えていたり、少ない月はなぜなのか?」など、月ごとに横に並べて観ることができ、比較対象があるので非常に確認しやすいと思います。

以上、5つのコツで毎月分析をすると、経営状態の全体像と詳細を、簡単に把握することができます。(以上の分析でも30分程度で終わります)

5)経営に役立てる5つのポイント

さて、最後に月次分析を経営に役立てるポイントです。
経営分析というと、専門的には、損益分岐点計算や、財務分析指標(ROA、ROE等)、KPIマネジメントなど、様々な方法がありますが、個人事業主や小規模の経営者が自らの事業で使うには、それほど有効ではないケースが多いのが実際です。
そこでここでは、1~4で紹介しましたクラウド会計ソフトfreeeの月次決算のプロセスを通じて、簡単に経営に役立てる5つのポイントを紹介します。

1. 大きな数字を覚えておく

優秀な経営者ほど、自分の事業の大きな数字(売上・経費・収益の年間規模)を常に覚えています。月次決算の数字×12か月が年間規模ですので、その総額を念頭において日々の事業を進めるだけで、ビジネスが成功する確率が格段に高くなります。

2. 売上を毎月見直す

収入レポートの中で、取引先別・品目別のグラフや表が簡単に表示されますので、月々の売上のバランスと金額が、ご自分の想定していた予算とどのように違うのかを確認します。そして、翌月からどこに注力していくかを毎月見直していくことが大切です。

3. 経費を毎月見直す

支出レポートの中で、品目別・勘定科目別のグラフや表が簡単に表示されますので、月々の経費のバランスと金額が、ご自分の想定していた予算とどのように違うのかを確認します。そして、節約できる部分、投資すべき部分を毎月見直すことができます。

4. 入金サイトは短く、支払サイトは長くする

売掛・買掛レポートで、入金サイト・支払サイトを確認することができます。資金繰り上の理想は「入金サイトは短く、支払サイトは長く」です。現状がそのようになっていない場合は、取引先1件1件について、毎月見直し、交渉する小さな努力が、後々大きな効果として反映されてきます。

5. 資金繰りの見通しを立てる

クラウド会計ソフトfreeeが現金主義であることを最大限に活かして、収支レポートから導き出される資金繰りの動向を常に意識することが大切です。いつ資金不足となるか、いつ投資するのがベストか等について、現金の動きから見通しを立てることができます。

6)まとめ

いかがでしたでしょうか。月次決算の分析というと、大変に思えるかもしれませんが、クラウド会計ソフトfreeeを使えば自分で、実に簡単に、安価で、かつ有効に活用できることが、ご理解いただけたかと思います。是非、皆さまの大切な事業の経営に、有効に役立てていただけたら幸いです。

Text = ビジョナーズ 西宮 鉄二
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