【社長・経理担当者必見】予算を用いた経営管理を始めてみませんか

スクリーンショット 2015-05-18 23.54.05あなたの会社では、数値目標を有効に使い、業績改善に生かせていますか?
会社の業績指標として、会計数字は客観的で明瞭です。会計数字で予算を策定することは、強力な経営管理ツールとなります。そこで今回は予算管理を用いてスムーズに業務改善を行っていく方法について解説していきたいと思います。
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1)多くの人が理解していない予算の意義

予算として数字を策定することに、どういった意義があるのでしょうか。

1. 予算と何か

予算は、短期の予定や計画を数字に落とし込んだものです。経費予算、販売目標、製造計画など個別のトピックのものから全社の総合予算まで、様々な単位・切り口で存在します。予算は各部門に割り当てられ遂行責任を明確化させるとともに、実績を評価する指針となります。月次や四半期の決算が固まった際に実績と予算で予実分析をすることで、業務改善を促す経営管理ツールとして機能します。

2. 評価基準としての予算

予算で5,000万円と設定していた4月の売上実績が4,500万円、前年の4月の売上実績は4,000万円だったとします。このとき、予算がなかったら前年比12.5%成長の優れた実績と評価されていたかもしれません。しかし、市場の成長率や経済情勢、新商品の投入予定等を総合的に勘案して策定した予算が5,000万円であれば、やはり4,500万円の当年実績は評価できるものではなく、予算に10%未達の非常に苦しい数字とみなされます。予算を策定しておくことで、実績をどうとらえるかという基準が明確になります。

3. 従業員をモチベートする

予算の策定は経営層の方針が土台となるため、策定された予算は経営層からのメッセージとなります。日々の業務活動を統制するだけでなく、予算にはこのメッセージにより従業員をモチベートする意義があります。しかし、過剰にストレッチした目標では従業員が冷めてしまい、低すぎる目標でも従業員の力を引き出すことができないと考えられます。予算を社内共有する際にどのようなことばで伝えるか、という点も重要になります。

4. 長期計画と予算の位置付け

通常、予算は1年先までの短期のものを指し、3年〜5年以上の長期の計画は中・長期経営計画などで扱います。中・長期経営計画は、ビジョンの共有・計画への展開などを企図する大きい枠でのメッセージとなりますが、予算はその長期の計画を達成するための具体的な短期計画です。従って、予算は中・長期経営計画を具体化(数値化)させる形で作成することになります。
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2)予算を策定する

経営層の理解と協力を得て、予算を立てましょう。

1. 単位・運用を明確にする

業務の具体的な目標となる予算は、各部門に割り当てられます。このため、収益・費用の集計単位となる「部門」がまず明確であることが前提となります。組織図を明確にし、また、本社負担とする経費、事業部門負担にする経費、部門間にまたがって負担するプロジェクト経費など、費用負担のルールも明確化しましょう。部門の収益・費用が集計できるよう、会計システム側でも準備をしておく必要があります。

2. 数字を積み上げ、擦り合わせて予算をつくる

まず、中期計画や経営環境を元に予算方針を経営層・企画部門が作成します。次にその方針に従って、各部門が予算のベースとなる数字を経理部門に提出します。その後、経理部門が部門間の調整を行い、それらを積み上げて全社の仮予算を策定、経営層に提出します。経営層による修正と部門間の再調整を経て、最終的な総合予算が策定されます。
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これは予算策定プロセスの一例ですが、各部門の提出値の積み上げでは数字が保守的になることも考えられますし、経営層だけで策定しても現場の実態と乖離しかねないため、通常予算は①部門の数字の積み上げと②経営層の判断を擦り合わせる形で策定されます。部門間の調整に時間がかかるため、3月決算期の会社であれば、4月からの翌年度の予算策定1月中には準備を進めます。

3. 共有する

最終的な予算が承認されたら、全社で共有します。なぜこの数字なのか、経営層は経営環境をどのようにみているのか、経営者によるメッセージが発せられます。予算を形式的なものではなく腑に落ちた仕事の目標をするために、十分な説明を提供するようにしましょう。重要指標を納得感のあるものとして、共通理解としておくことは非常に重要です。

3)予算を役立てる

予算は執行段階で随時実績と比べることで、経営管理ツールとして機能します。

1. 進捗を確認する

予算はある時点での見込みに基づき合理的に策定するものです。実績との間で乖離が生じた場合、何らかの説明ができます。見込みが誤っていたのか、業務の遂行方法が優れていたのか(あるいは問題があったのか)、外部の経営環境の影響を受けたのか、月ずれによるものか、理由を確認しましょう。また、発生すべき費用は発生しているか、投資や資金調達は予定通りなされているか等、収益以外の項目の進捗もしっかり確認しましょう。

2. 日常の数字と結びつける

日頃用いていない数字で予算が通知されても、部門の現場担当者には他人事のように聞こえてしまいます。各部門で実績と予算、日々の業務のつながりをイメージできることが必要となります。日々の売上・粗利の金額を日常的に確認し、日次でどれだけを数字を達成すると予算を達成できるか、ということを各員が把握しておくようにしましょう。

3. 予実比較の頻度、予算の更新

予実比較のサイクルが短いほど、実績が固まってからのアクションは早くなります。主要な指標(売上など)については週次や日次で、財務諸表については月次で確認するようにしましょう。また、一定規模の会社であれば予算は年2回以上策定しています。これは、経営環境の変化等により、過去に立てた予算の効果が薄れているとみるためです。策定した予算が実態に合わなくなった場合は、年度の残りの期間について予算を適宜更新しましょう。

予算の活用に欠かせない月次決算については、また次回に取り扱います。

Text = 中山 勝貴
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