公認会計士が教える利益計画作成の手引き|使えるテンプレート付き

利益計画

1)利益計画の種類

ビジネスパーソンである以上は誰もが必ず耳にする利益計画ですが、いざ作ってみようとしたときに、「どうやって作ればいいんだ?」と出だしから壁にぶつかった方も多いのではないでしょうか? まず、利益計画の作成といっても既存事業か新規事業かで作成の考え方が大きく異なります。

1. 既存事業の場合

既存事業について利益計画を作成することは、一般的に来期以降の予算作成という意味合いが強いです。 なぜなら、既存事業は「今後の自社の発展」に軸をおいて予算を計画するはずですから、利益計画の内容も“チャレンジングなもの”である場合が多いからです。

2. 新規事業の場合

新規事業の利益計画は、読んで文字のごとく「これから新たな事業を始めるぞ!」という場合に作成します。 こちらの場合は、右も左もわからない事業ですからチャレンジングなものではなく、“現実的にどれほどの利益が見込めるか”を見極める利益計画でなければなりません。 既存事業の利益計画を作成する場合に比べ、定量情報の根拠となる資料が何も無いわけですから、おそらく「一体どうやって作ればいいんだ?」と思われる方も多いと思います。 例えば、その事業を行っている他社の経営管理チームにアポを取り、作り方を教えてもらえることができればいいですが、なかなか現実性が無いので、この記事を通して簡単に解説していきます。

2)何から手をつけるべきか?

実際に新規事業の利益計画を作成する際に、まず何から手をつけるべきか?と言いますと、“情報収集”です。これをしないとなす術なしです。例えるなら、素材無し、まな板と包丁だけでなんとかご飯を作ろうとしているようなものです。 「何によって売上を上げるのか」「対象とする顧客は」「何を仕入なければならないのか」「そもそも製造できるのか」「事業を行うためにどのような経費がかかるのか」などなど、知らなければならない情報は無数にあります。 そのような情報はネットを活用すれば簡単に手に入ります。せっかくの情報化社会です。世に溢れている知識はどんどん仕入れて真似していきましょう。 ちなみに筆者自身が最近利益計画を作成する際に利用した資料は以下のようなものがあります。運送業と宿泊業に係るものです。 全日本トラック協会が出している資料(運送業) ホテル・旅館業経営改善寺子屋調査事業が出している資料(宿泊業) こういった資料を見れば、売上や売上原価の根拠、販管費にどのような経費がかかるのかがわかります。ちなみに厚生労働省も事業別に調査書を出しているのでそちらも活用してみて下さい。 これで素材が揃ったら後は料理をするだけです。

3)利益計画の作成手順

1. 投資計画及び人員計画の作成
まず、「単純に投資がどれだけ必要なのか」「人員はどのくらい必要なのか」といった計画を立てて下さい。 ちなみに投資計画は購入にするのか、それともリースにするのかで減価償却費やリース料に影響を及ぼしますので注意して計画を立てて下さい。 人員計画については、販管費(製造業なら原価にも)に多大な影響を及ぼします。人件費、旅費交通費、交際費等は人員連動で変わってくる費用ですのでこちらも注意して計画を立てて下さい。
2. 売上計画からか?それとも販管費からか?
利益計画の作成は、売上計画から作成していく方法、販管費から作成していく方法があると思います(もちろん他のアプローチから作る場合もあるとは思いますが)。 個人的には販管費から作成することがオススメです。 理由としては、売上計画から作ると売上原価、販管費と入力してみたら結果が赤字ということがよくあるからです。M&Aなどの場合のようにシビアに利益計画を作らなければならない場合でない限り、赤字の利益計画を作っても、上司からOKが出ることはほぼ無いと思われます。 そういった理由もあり、販管費から作成し、販管費を固定費と考え(厳密には変動費もありますが、ほぼ固定費です)、販管費に相当するだけの粗利は最低でも出るように売上計画を作成する必要があります。 「販管費に相当するだけの粗利は最低でも出るように売上計画を作成する」と言うと結局絵に描いた餅じゃないかと思われる方もいるかもしれないですが、誰も行ったこともない事業をやるならいざ知らず、きちんと事業として確立している事業に参入するのであれば、必ず粗利が出るくらいの売上計画にはなるはずです。 それでも、利益が出そうにないなら一度事業自体を見直す必要がありそうです。儲かる可能性はほぼ無いと思われます。
3. あとは積み上げるだけ
あとは各費目ごとに販管費から算定していって下さい。各費目の勘定科目にどのようなものがあるかわからなければ、上場企業の有価証券報告書を参考にしてみて下さい。どのような経費が発生しているのかがよくわかります。 例えば簡単な例で説明すると、 販管費の場合は、 給料手当=人員数×1人当たりの月額給与(役職ごと) 旅費交通費=人員数×1人当たりの月出張費等(役職ごと) 売上の場合は、 トラック事業:運送売上=トラック台数×1台当たりの月額売上高(トラックt数ごと) 宿泊業:宿泊売上=1人当たりの宿泊金額×1日又は月当たりの来客数 といった具合です。 簡単に説明しましたが、宿泊業なら他にもカラオケやゲームセンター、レストランがあったりで、他にも売上が見込めるものも当然あります。 必ず売上・経費が発生する要因があるので、何が原因で売上・経費が発生するかを考えて利益計画を作成して下さい。 例として運送原価の計算表と人件費を算出する表のテンプレートを作成したのでぜひご利用ください。 〈参考〉 運送原価計算表 人件費

4)まとめ

以上で、利益計画の作成の手引きを終わります。 とにかく一番大事なのは情報収集です。よりよい素材を求めてネットの世界を旅してみて下さい。素材がよければ出来上がった利益計画も信憑性が高く、説得力のあるものに必ずなるはずです。

Text = 合同会社UKトラストグループ