現役税理士が法人住民税の概要と計算方法をわかりやすく解説|計算例つき

法人住民税個人に住民税があるように、法人にも住民税があります。今回は、法人の住民税について税理士の視点も交えて解説していきます。

1)個人住民税と法人住民税の違い

1. 納税先
個人の住民税は市町村に納税します。 法人の住民税は法人所在地の道府県と市町村に納税します。 (個人住民税は、市町村が国税分(復興税)も道府県税分もまとめて徴収しています。)
2. 課税方式
個人住民税は賦課課税方式(国・地方公共団体が納める税額を計算する方式)です。 法人住民税は申告納税方式(自ら納める税額を計算する方式)です。
3. 税額の計算
個人の住民税は前年度の所得金額に応じて算定されるもの(所得割)と、一定以上の所得があればその所得の多少に関係なく算定されるもの(均等割)の合計になります。 法人の住民税は所得に応じて算定されるもの(法人税割)と、所得に関係なく会社規模に応じて算定されるもの(均等割)の合計になります。

2)法人税割の計算方法(所得に応じて算定)

法人税割は、法人税額をそのまま課税標準として税率を乗じて法人住民税(法人税割)を計算します。税率は法人の規模や、各道府県、各市町村により異なります。 支店などが他の県、市にある場合は、課税標準である法人税額を事務所の従業者の比で分割することにより、各課税団体ごとの課税標準額を計算します。これを、「課税標準額の分割」といいます。 〈参考〉【経営者必見】法人税を節税する3つの方法とその手順まとめ
~計算例:法人税割~ 法人県民税率5%、法人市民税率12.3%として計算
〈事例1:本店のみで支店がない場合〉 前提条件:本店従業員数10人、法人税額1,000,000円 のとき 道府県民税: 1,000,000 × 5% = 50,000円 市町村民税: 1,000,000 × 12.3% = 123,000円 となります。 〈事例2:本店と支店がある場合〉 前提条件:本店従業員数6人、支店従業員数4人、法人税額1,000,000円 のとき 道府県民税: 本店:1,000,000 × 6/10 × 5% = 30,000円        支店:1,000,000 × 4/10 × 5% = 20,000円 市町村民税: 本店:1,000,000 × 6/10 × 12.3% = 73,800円        支店:1,000,000 × 4/10 × 12.3% = 49,200円 となります。 道府県民税、市町村民税ともに、本店と支店の合計は、事例1の本店のみの場合と同額になります。

3)法人税均等割(会社規模に応じて算定)

均等割については、特別に難しい計算はありません。 均等割額は、法人の規模(資本金等の額、従業員数)や、事業所所在地ごとに異なりますが、所得に応じて変動するものではありません。 法人の所得が赤字の場合も均等割については納税しなければなりません。 均等割額については、各都道府県、各市町村によって異なるため、各都道府県、各市町村のHPをご参照下さい。 資本金等の額は、 a.資本金の額又は出資金の額 b.株主等から法人に払い込み又は給付した財産の額で、資本金又は出資金の額として組み入れられなかったもの等(資本準備金、加入金) の合計額(a+b)をいいます。 ※平成27年度税制改正では、均等割の税率区分の基準である資本金等の額について、以下2点が改正されました。 ・事業年度終了日の「資本金等の額」が、「資本金と資本準備金の合計額」を下回る場合には、「資本金と資本準備金の合計額」を基準とする ・無償増減資があった場合に加減算措置を講ずる 改正前(平成27年4月1日開始事業年度以前の法人)は、利益準備金の資本組み入れで資本金を増資していても、均等割の算定基準には影響しませんでした。 しかし、この改正により、無償増資で資本金を増資した場合も、払い込みによる増資と同様に均等割の算定基準に影響することとなりました。 ただし、平成22年4月1日以後の無償増資により加算対象となる増資相当額は、いわゆる利益の資本組み入れをした金額が加算対象になります。 (詳しい手続き等については、本年5~6月頃に総務省が公表する予定の改正後の法人住民税の申告書の記載要領に示されるのでそちらを参考にしてください。)

4)まとめ

いかがでしたでしょうか。慣れない言葉が多かった方もいらっしゃるのではないでしょうか。法人の経理は複雑な部分が多く、慣れるまで時間がかかるとは思いますが、ぜひ本サイトなどを用いて少しでも業務の効率を図ってみてください。

Text = 毛満税理士・社会保険労務士事務所 毛満勝彦