黒字なのに倒産する理由って?公認会計士が語る資金繰りの8つのコツ

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黒字なのに倒産?

あなたは、どうして会社が倒産するのかわかりますか?「赤字が原因でしょ」とおっしゃる方もいらっしゃるのですが、何年も赤字を続けながら存続している会社はいっぱいあります。実は資金(お金)が無くなり支払いが全然できなくなって倒産するのです。モノやサービスが全く売れなくて収入がほとんどなくて倒産してしまうのはある程度仕方がないのですが、実はある程度モノやサービスが売れていても、あるいは黒字でも倒産してしまうことはあります。

黒字倒産ですごく残念なパターンは、売上がグングン伸びていて、仕入もどんどん増やしてしているケースです。簡単に解説していきます。
会社がどんどん成長しているときは、入金も多いですが、その分支払いも多いです。後で詳しく述べますが、基本的に先に支払ってから入金があるので、タイムラグがあります。そのため、資金繰りをきちんとしないと特に成長しているときに限って(増やした支払いが先に来ますから)資金が回らなくなります。そして、資金不足で不渡り、または取引先の信用がなくなりどんどん悪い方向に進んでいき、倒産してしまいます。

また、後でお話ししますが資金繰りをきちんとやっていないといろいろ困ることが出てきます。
ここではそういう残念な事態を避けるためにも資金繰りのコツをお話しします。

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1)資金繰りを行わないとまずい5つの理由

資金繰りをきちんとしないと、いざ支払いの時にお金が足りなくなるということはわかるかと思います。どんなことが想定されるでしょうか?

1. 不渡り、銀行取引停止になってしまう

不渡りを出したというニュースはパッと世に広がります。これが最悪の事態で、取引先がいなくなり倒産につながってしまうわけです。

2. 給与が払えない、遅配で従業員の不安が募る

1日でも遅配があったり、払えなかったりした場合、従業員は不安になって辞めたり、モチベーションの低下などが考えられます。通常、給与振り込みは振込日の3営業日前までに銀行で手続きをしなければなりませんから、きちんと資金繰りをしないと遅れやすいですし、ついつい身内感覚で油断しがちです。しかし、遅配は従業員にとっては致命的に許せないことであることはお分かりいただけると思います。

3. 支払いが遅れるので取引先の信用を失う

支払いが遅れても1回くらいならば事務手続きのミスで言い訳が聞く可能性がありますが、2回目になるとほぼ確実に資金繰り的に苦しいのではないかと疑われます。このように信用不安先とみなされると、現金取引やサイト(支払いまでの日数)を短くされます。サイトが短くなったり現金と引き換えでないと仕入れができなかったりすると当然ますます資金繰りが苦しくなります。どんどん悪循環になるわけです。

4. 銀行の信用を失う

銀行は、支払いが遅れる先には貸さないか、もしくは条件を厳しく設定します。結構2~3日は大丈夫だと油断される方がいらっしゃるのですが、銀行の記録には残ります。1か月以上支払いが遅れると政府系などの融資はほぼ間違いなく断られます。

5. お金がないため投資の時期を逃す

手元にお金がないと、勝負どころでお金を使えないので、結果的にチャンスを逃すことが多いです。

2)資金繰りが必要である2つの理由

大きく分けて2つの理由があります。
1つ目は運転資本の問題があり、そのために運転資金が必要であるからです。
運転資本とは「売上債権 + 在庫 – 買入債務」のことを言います。

以下の図は、製造業の製造過程と資金の動きを表したものです。この図の通り、一般的に製造過程においては、仕入債務と在庫が先に発生して、仕入代金と在庫代金(外注費や労務費など)の支払が先にあり、最終的に売掛が回収されてようやく初めてお金が入ってきます。ざっくりいうとこの受取と支払のギャップが運転資本になるわけです。
製造過程
もう1つの理由は、支払いの中には売上入金と関係なく払わなくてはならないものが少なからずあるからです。典型的な例としては従業員の給与、借入金の返済額、事務所の家賃、水道光熱費などです。一般的な仕入債務ですと仕入分だけ売れて回収できればお金は払うことができますが、上記にものは入金とは全く関係なく、決まった日に必ず支払いが来ます。したがって、その分の資金を必ず用意しておく必要があります。

3)資金繰りの8つのコツ

では資金繰りをきちんとやるためにはどうしたらよいか、資金繰りのコツとしては以下の8つがあります。

1. 資金繰り表を作成して将来の出入りを管理する

簡単に言うと現金の出入りですからお小遣い帳と変わりません。将来のお金の出入りをつけて大事な支払に備えておくわけです。これがまず基本です。もう少し専門的に言うと、営業の資金(売上、仕入、給与など)と投資(固定資産の購入、売却など)と財務(借入と返済)を分けるとわかりやすいです。

2. 無用な資産を持たない

良く節税のためと称して中古のベンツなど不用不急のモノを買う方がいます。当然モノを買えば(たとえリースだとしても)お金は出ていきます。儲かって資金が余って仕方がない方はともかく、それ以外の方は節税よりキャッシュです。

3. 在庫管理をする

きちんと在庫管理をしていないと無駄なものを購入することになります。在庫が増えればその在庫が売れるまではお金がはいってきません。資金が寝てその分資金繰りが厳しくなります。

4. 顧客の格付けをして不良債権に気を付ける

常に顧客の信用力には気を付けて貸し倒れに気をつけまししょう。顧客を訪問した際の社内の活気や倉庫の在庫の様子(古い在庫がないかなど)をさりげなくチェックしましょう。貸倒れるということは仕入及び製造など支払いはあるにもかかわらず、入金はないことです。大損害で売らない方がよかったということです。極端な話としてあまり取引がなかった先から大口注文があって喜んで納入した直後に倒産したケースがありました。いわゆる取り込み詐欺にあってしまったわけです。

5. 相手の締日をうまく利用する

得意先がたとえば20日までに納入したものについて翌月末払いにするというような締日を持っていればできるだけ20日近くの日に納入できるよう得意先と交渉し自社でも努力しましょう。逆に自分が仕入れる立場であれば同様の条件であれば20日過ぎに納入してもらうようにしましょう。これで1か月分の資金がそれぞれ浮くわけです。

6. 入金日、支払日を工夫する

支払日は入金日の少し後に設定します。例えば得意先からの入金がほとんど末日だとすると支払は翌5日にするわけです。すると入金した分、余裕をもって支払いに充てられます。よくあるのですが入金日と支払日が同じ末日だと月末毎回パニックになります。
また、資金が逼迫している場合は別ですができる限り、締日、支払日をきちんと月1回に決めましょう。決まっていると資金繰り表も作成が楽で資金管理も容易になります。

7. 支払手形より銀行借り入れ

支払手形は短期的には支払サイトを伸ばせるので短期的な資金繰りは楽になるのですが不渡りの恐怖は避けられません。支払手形を出すぐらいでしたら借入してその資金でまかなった方が安心です。実は真面目に地道にやっている企業であれば制度融資や国金、保証協会付借入はけっして敷居の高いものではありません。

8. 売上サイクルより支払サイクルを長くする

大事ですが難しいのが資金のサイトです。できれば支払のサイト(支払までの日数)は受取のサイト(入金までの日数)より長い方が望ましいです。特に受取、相手はお客様なので難しいですができる限り早期回収をめざし、逆に支払は長めにしましょう。

4)まとめ

資金は人間でいえば血液で一定以上失うと企業は存続できません。したがって企業として存続するためには資金繰りという管理は必須です。コツについて全部いっぺんにやることは無理だと思いますが気を付けて少しずつできるものから実行していってください。確実にあなたの会社の資金繰りはよくなってきます。

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この記事は、川井公認会計士税理士事務所 川井 隆史様に寄稿いただきました。
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目次

  1. 会社の経理を始めるために
  2. 法人の決算に必要なものまとめ
  3. 貸借対照表で会社の資産状況を把握しよう
  4. 損益計算書で会社の利益を把握しよう
  5. 法人のための税申告・納付まとめ
  6. 法人にかかる税金は9種類もある
  7. 税金を滞納したら、どんな罰則がある?
  8. 法人のための節約のコツ
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