東芝の不正会計から見えるもの 〜大企業が不正会計に走る本当の理由とは〜

不正会計

不正会計のダメージは想像を超える

2015年4月3日に東芝より会計処理について調査の必要があるとの発表がありました。 調査の結果、さらなる不正会計が明らかになっているようで、大きな話題を読んでいます。 そこで今回は、不正会計とは何なのか、不正会計によって第三者にどのような影響があるのか、などについて解説していくとともに、不正会計について改めて考えていきたいと思います。

1)最近の東芝の業績と時価総額の変動⇒不正会計の影響

不正会計,図 この3年間で現在(5/15時点)わかっている不正会計は▲500億円強と発表がありました。 平成27年3月末に2兆1365億円だった株価時価総額は、5/19現在、1兆7369億円となり、- 3996億円となっています。このマイナスは大きければ大きいほど、信用が無くなったことを意味しています。つまり今回の不正会計の発覚により、約4000億円もの損失があったことがわかります。あくまでこの損失額は、株価時価総額から換算したものであるので、実際はもっと大きい損失が考えられます。

2)田中社長は、今回の原因を「内部統制が必ずしも完全に機能していなかった」と語ったが・・・

当初の発表では、工事進行基準に係る会計処理が問題とのことでしたが、その後、その他にもいくつか調査をしました。これらの結果を受けて、田中社長は、内部統制が機能していなかったと語りました。 ここでの工事進行基準とは、簡単に説明すると、決算日における工事進捗度を合理的に見積り、工事収益と工事原価を計上するものです。この進捗度の見積りがむずかしいのです。 また、内部統制とは、会社内で、業務の有効性や効率性を高めたり、財務諸表等の信頼性を担保したり、法令尊守、資産の保全を図ること等をいいます。

3)不正会計が表沙汰になった経緯と不正会計の動機

今回の東芝では、証券取引等監視委員会に届いた内部通報がきっかけで発覚しました。 社内の内部統制が機能していれば、素早い対処ができるため、不正会計が大きくならないと思います。しかし、内部統制が機能していない場合、内部通報に対する報復人事を恐れ、内部通報を社外へ行う為、余計に時間がかかり、不正が大きくなってしまいます。 ちなみに、2011年のオリンパスの不正会計が発覚したきっかけは、雑誌記者の通報でした。 ところで、どうして企業はバレたらマズいとわかっていながらも不正会計をしてしまうのでしょうか。 過去の事例から不正会計の動機を探りました。
・ 銀行融資を受けるために黒字決算にしなければならなかったため
・ 当面の資金繰りを乗り切るため
・ 巨額の不良債権を明らかにすると破綻へ直結するため
これらの理由から、不正会計がはじまったと考えられます。

4)中小企業が不正会計した場合の影響

もし不正会計(粉飾した場合)したら、どうなるでしょう。 しばらくの間は、
・ 銀行の借り入れが多くなる若しくは可能になる
・ 社会的信用が大きくなり、大口の取引が可能になる
といったことが考えられます。 しかし、しばらくすると、
・ 粉飾により税金を多く支払っている為、資金が枯渇しやすくなる
・ 経営が改善され、粉飾した部分を実現しない限り、粉飾したままの状態になる
・ 会社を抜本的に改善したいとき、不正経理があるためにオープンにできない
・ 不正があるため、経理を次の世代に引き継ぐことができない
・ 一度ゆるめた自浄作用は元には戻らず、粉飾を容易にするようになる
・ 会社の実態がわからなくなります。経営判断ができなくなる
などといったことが考えられます。

5)自社の不正会計を撲滅するためにできること

不正会計は、会社の調子が悪く、2期3期と赤字が続いたときに、強い動機が発生します。 その様なときに、どれだけ冷静に判断できるかが問題です。
・ 経理をどの社員でも見れるように、オープンにする
・ 経理担当者だけでなく、経営者・社員も経営者感覚で行動をするために、試算表を見る癖をつける
・ 税理士事務所等外部の専門家に見てもらう
これらの方法やその他の方法により自浄作用を強化することで、不正会計への動機を減少させます。

6)まとめ

最後に、これだけは覚えておいてください。 ~~~~~~~~~~~ 会計上の利益(当期純利益等)と,キャッシュフロー計算書の数値との乖離が大きい場合、注意が必要です。例えば、2-3期期にわたり損益計算書が増収増益であっても、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローが、「プラス」にならない企業は、「粉飾決算」の懸念があります。 ~~~~~~~~~~~ 不正会計は一度手を染めるとなかなかやめることができません。 経営者は、「不正会計をしない」という強い意志を持ちましょう。そして、社員みんなで会計に関心を持ち、上記のチェック方法で自社をチェックすることにより、自浄作用を強化し、キャッシュフローの強い会社にしましょう。

この記事は、溝口会計事務所 溝口 博基様に寄稿いただきました。 経営ハッカーでは、記事制作にご協力いただける方を募集しております。 お申し込みはこちらから