美術品等に係る減価償却資産の判定の改正点を解説【平成27年度改正】

美術品

美術品等の経理上の取扱いが平成27年1月から変わりました

平成26年12月19日に、美術品等が減価償却資産に該当するかどうかの考え方が改正され、減価償却の対象となる美術品等の範囲が広がりました。以下に、詳しく見ていきます。

1)美術品等は減価償却資産か?

減価償却資産とは、「時の経過によりその価値が減少する資産」であり、減価償却という手続きを通じて経費になっていく固定資産のことです。日々使用する機械や器具備品などは減価償却資産になりますが、美術品等については価値が減少していくのかどうか、疑問が湧くところです。たとえばピカソやゴッホの絵画を購入して社長室に飾っておくとします(羨ましいことです)。この場合、価値は減少しているでしょうか? 結論は、価値は減少していない、です。国税庁より、以下の2つのどちらかに該当すると、価値が減少しないものとする、という決まりが出されているからです。 1. 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの 2. 1以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。) 法人税基本通達7-1-1 所得税基本通達2-14 希少価値が高いものは価値が減少しないとされています。

2)今回の改正点

美術品等の取り扱いについて「減価償却資産かどうか」の判断基準が変更されました。 上記の2.の基準が現在は「1点100万円以上」となっていますが、平成26年末までは「1点20万円以上」とされていました。つまり今回から、歴史的価値・希少価値がなく、1点20万円~99万9,999円の美術品等は、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」を除き、「減価償却資産」と考えられることになったのです。 なお、何度か出てきた「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」ですが、具体的には、以下の要件を全て満たすような美術品等のことを指します。 ・ロビーやホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾・展示用であるもの ・移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなもの ・他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないもの

3)減価償却のやり方

減価償却の計算において、今後新しく取得した美術品等は取得日を償却開始日としますが、既に保有している美術品等はどのような扱いになるのでしょうか。 まず償却開始日ですが、平成27年1月1日以降最初に開始する事業年度から減価償却をすることになります。つまり、12月末日決算の事業者なら平成27年1月1日から、3月末日決算の事業者なら平成27年4月1日からということになります。 償却の方法は2つあり、美術品の取得日による方法と、27年1月1日を取得日とみなす方法です。 美術品の取得日による方法は、 ・平成19年3月31日以前…旧定率法又は旧定額法 ・平成19年4月1日~平成23年3月31日の間に取得…250%定率法又は定額法 ・平成23年4月1日以降…200%定率法又は定額法 を選択することになります。 27年1月1日取得とみなす方法は、200%定率法又は定額法を選択します。また、中小事業者等は、30万円未満の美術品等を少額減価償却資産として処理することもできます。 耐用年数は、器具備品に室内用装飾用8年(金属製は15年)がありますので、そちらを使用します。 〈参考〉減価償却の基礎知識【定額法と定率法】

4)償却資産税申告との関係

今まで減価償却をしていなかった美術品等を減価償却資産として処理し直すことは、固定資産税(償却資産税)に影響します。個人事業者と12月末日決算の法人は既に平成27年度の償却資産税申告時に減価償却資産として申告していると思いますが、その他の法人は平成28年度の償却資産申告にて申告することになるので、注意が必要です。 減価償却資産として処理しなければ固定資産税がかかりません。どちらが得か?と思う方もいらっしゃると思います。利益が出ていれば、固定資産税の増額よりも減価償却費を計上することによって法人税を減らす効果の方が大きいです。逆に赤字の場合は、法人税減税効果はなく、固定資産税だけがかかることになります。

5)償却資産税申告との関係

美術品等の扱いが変わること、どのように処理するかを、お分かりいただけましたでしょうか。美術品の扱いは、法人税や所得税、固定資産税に関わってきます。事業の状況によって変わってきますので、試算の上で自社に有利な方法を選択しましょう。

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