【保存版】経理担当者必見!法人税に関してよくある質問20選とその答え

法人経理
こんにちは、税理士の松井千春です。
今回は、法人税について、基礎的なことと、よくご質問をいただく事柄をQ&A方式でまとめてみました。

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1)法人税計算のしくみと法人の区分について

Q.1

法人税の計算は企業会計の利益を基に計算すると聞きました。決算書の利益に税率を掛けるだけでいいのでしょうか?

A.1

いいえ。企業会計の利益を基にしますが、課税の公平や税務政策等の理由から一定の調整が必要です。この調整は以下の4種類あります。

  益金算入(+)、益金不算入(-)、損金算入(-)、損金不算入(+)

(+)は、税務上の利益が企業会計の利益より増加する調整、(-)は、企業会計の利益から減少する調整です。これらの調整後の利益を「所得」といいます。法人税はこの「所得」に法人税率を掛けて計算します。

〈参考〉商品券も損金算入できるの?損金算入・不算入の予備知識

Q.2

「益金」って何のことですか?

A.2

一言で言うと、法人税を計算するうえでの収益のことです。
企業会計の収益とは若干異なります。例えば、「受取配当金」は企業会計上の収益ですが、税務上は一定のものについては益金にはなりません。そのため法人税計算にあたって益金不算入の調整が必要になります。(Q1参照)

Q.3

「損金」って何のことですか?

A.3

一言で言うと、法人税を計算するうえでの費用及び損失のことです。
益金と同様にその範囲が企業会計とは異なります。
例えば「法人税等」は企業会計上の費用ですが、税務上は損金にはできません。そのため法人税計算にあたって損金不算入の調整が必要になります。(Q1参照)

Q.4

「中小法人」というのはどのようなものですか?

A.4

中小法人とは資本金が1億円以下の法人をいいます。資本金が1億円を超える法人は、大法人となります。

Q.5

中小法人のみが受けられる制度があると聞きましたが、どのようなものがありますか?

A.5

中小法人であり、かつ資本金が5億円以上の法人との100%支配関係がない場合は、法人税法上以下のような制度の適用を受けることができます。

 ・所得金額800万円以下に対する軽減税率
 ・留保金課税の適用除外 
 ・交際費等の損金不算入額の計算
 ・貸倒引当金の一括評価計算上の法定繰入率の適用
 ・欠損金の繰戻還付の適用

また、中小法人のうち、大法人に支配されていない法人=中小企業者については以下のような制度の適用があります。

 ・少額減価償却資産の特例 
 ・機械等を取得した場合の特別償却
 ・各種税額控除の適用

2)役員に関すること

Q.6

役員の範囲ってどういう基準なの?

A.6

法務局への登記を必要とする取締役等のほか、取締役等になっていなくても法人税法上は、会長、副会長、相談役、顧問など実質的に法人の経営に従事している方は役員に含まれます。また、使用人であっても、株式の所有割合等の要件+経営に従事している場合も役員に含まれます。

Q.7

役員の給料の決め方にルールはあるの?

A.7

はい、あります。役員への給料は株主との契約でなりたっていますので、定款又は株主総会の決議により決定します。これは、株主の利益を害する危険を排除するためです。また、法人税法上役員給与として認めてもらうためには一定のルールを守る必要があります。 

Q.8

役員の退職金支給に関してはどうですか?

A.8

役員への退職慰労金の支給についても役員への給与と同じで株主総会の決議が必要です。

Q.9

役員への貸付金に対して利息を計上しなければならないと聞きました。その理由と利息の計算方法を教えてください。

A.9

会社が役員への貸付に対して利息を計上しなければならない理由は、株式会社は営利を目的として設立されたものなので、利益を求めない行為をするはずがないと税法が想定しているからです。

逆に役員が会社にお金を貸した場合、利息を徴収しなくても問題ありません。個人の行動は必ずしも営利を目的とするものではないからです。

利息の計算方法ですが、役員への貸し付けが金融機関からの借り入れと紐付きの場合は、その借入利率、特例基準割合(※)、全事業年度における平均調達金利等の合理的に算定した利率のうち低い利率を適用することが可能です。

※特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
無利息や、適正利率より低い場合は役員に対して給与として課税されることになります。

Q.10

死亡した役員の社葬を行いました。損金になるのでしょうか?

A.10

法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合には、その社葬を行うことが一般に相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができます。

また、会葬者が持参した香典等については、法人の収入としないで遺族の収入とすることができます。

3)交際費に関すること

Q.11

会議費は交際費に該当しないそうですがどのようなものが会議費になりますか?

A.11

会議に際して社内又は通常会議を行う場所で通常の昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は会議費となります。1人当たりの費用が5千円を超えても通常の昼食の程度であれば会議費として認められます。

Q.12

震災により被災した方々へ自社製品を提供したいと思いますが、交際費になりますか?

A.12

いいえ、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は交際費には該当しません。また寄附金にも該当せず広告宣伝費に準ずるものとして損金に算入されます。

4)寄附金に関すること

Q.13

義援金を支出しました。これは全額損金になるのでしょうか?

A.13

国内の災害に際して日本赤十字社、報道機関等に対して拠出した義援金等は、最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかでしたら、地方公共団体に対する寄附金に該当しますので、全額損金に算入されます。

海外の災害に際して、募金団体から最終的に日本赤十字社に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされている義援金等については、特定公益増進法人である日本赤十字社に対する寄附金となることから、損金算入限度額を超える部分の金額は損金に算入されません。

Q.14

義援金をクレジットカードで支払おうと思いますが、何か留意する必要はありますか?

A.14

寄附金は実際に支払った事業年度において支出したものと取り扱われますので、カード引落し日が寄附金の支出日となります。このため引落し日が決算をまたぐ場合はその義援金はクレジットカードの処理日の事業年度の寄附金としては取り扱えませんのでご留意ください。

5)租税公課に関すること

Q.15

交通違反などの罰金の処理はどうすればよいですか?

A.15

法人税法上損金の額に算入されない主な租税公課は以下の通りです。交通違反などの罰金も損金不算入なので、会計上は租税公課として処理をして、法人税の計算上は所得に加算する処理を行います。
 
 ・法人税、都道府県民税及び市町村民税の本税
 ・加算税及び加算金、延滞税及び延滞金(地方税の納期限の延長による延滞金は除く)並びに過怠税
 ・罰金及び科料(外国又は外国の地方公共団体が課す罰金又は科料も含む)並びに過料
 ・法人税額から控除する所得税及び外国法人税

6)前払費用について

Q.16

費用を前払いすることで節税ができるって本当ですか?

A.16

本当です。ただし、以下のような「短期前払費用」としての要件を満たしていなければなりません。主に適用できるものは、地代家賃、賃借料、保険料、会費などです。月払いの契約になっているものは年払いの契約に変更しなければなりません。
 
・一定の契約により継続的に役務(サービス)の提供を受けるための支出であること。ただし、等量、等質のサービスである必要があります。例えば、税理士報酬の年払いは等量、等質ではないため「短期前払費用」には該当しません。
 
・支払った金額を継続してその事業年度の経費にしていること。実際に支払をしないとダメです。また、毎期継続して同じ経理処理をする必要があります。
 
・支払時から一年を超える期間を対象とするものでないこと。2年分の前払いなど、1年を超える場合は短期前払費用には該当しません。

7)建物賃借時の処理について

Q.17

建物を賃借したときに①仲介手数料、②礼金、③保証金を支払いました。それぞれの処理について留意すべきことを教えてください。

A.17

それぞれ以下のような取扱いになります。

・仲介手数料 
全額損金算入されますので支払手数料等で経理処理をしてください。

・礼金 
税法上の「繰延資産」に該当しますので、その支払いが20万円未満の場合は全額損金算入できますが、20万円を超える場合は、5年間(一定の場合は賃借期間)で均等に償却することになります。

・保証金
契約書に例えば「保証金償却20%」と記載されている場合は、支払った保証金のうち20%は退去時に返還されないというものです。この20%部分は税法上の「繰延資産」となりますので、②の礼金等同様に5年間(一定の場合は賃借期間)で均等に償却することになります。残りの部分は通常通り、差入保証金として資産計上します。

8)その他

Q.18

中古資産を取得したのですが、耐用年数について教えてください。

A.18

中古の減価償却資産は、その資産を事業の用に供した時以後の使用可能期間を見積もり、その使用可能期間を耐用年数とします。しかし、実際に見積もることは困難な場合が多いですので、以下の算式で計算する簡便法が認められています。ただし、無形減価償却資産、生物についてはこの簡便法は適用できません。
 
 ・法定耐用年数の全部を経過したもの、法定耐用年数の20%に相当する年数

 ・法定耐用年数の一部を経過したもの
  (法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20% 
  
※上記で算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数は切捨て、年数が2年未満の場合は2年とします。

Q.19

棚卸資産の評価や減価償却資産の償却方法を当期から変更したいと思います。

A.19

変更をするには、変更しようとする事業年度開始の日の前日までに、税務署に変更の承認申請書の提出をし、その承認を受けなければなりません。従って、当期に入ってしまっていますので、翌事業年度からしか変更の承認を受けられません。

Q.20

中小企業倒産防止共済の掛金が損金になると聞きました。概要を教えてください。

A.20

中小企業倒産防止共済制度は、取引先の予期せぬ倒産による「連鎖倒産から中小企業を守る制度」です。取引先が倒産して売掛金債権等が回収困難となったときに共済金の貸付けが受けられます。そのほかに一時貸付金もあります。

法人が掛金を損金に算入する場合は、『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』と、損金に算入する額(法人税関係特別措置の適用を受ける額)を記載する『適用額明細書』に必要事項を記入し、確定申告書に添付することになっています。

留意すべき点は、解約は自由(得意先の倒産の事実がなくてもOKです。)ですが利息が付かないことと、掛金の納付月数が40か月未満で解約した場合、掛金のうち受け取れない金額が出ること、12か月に満たない場合は、掛金の全額が受け取れなくなります。

また、解約して受け取ったときは、その金額はその事業年度の益金(収入)として受け入れないといけませんので、解約のタイミングを誤ると受け取った事業年度の法人税が高額になる可能性があります。

9)まとめ

いかがですか?上記の他にも会社を経営していくうえ法人税法上悩ましい事柄が多々あるかと思います。税法は毎年改正もあり複雑です。信頼できる税理士を見つけていただき、御社が益々発展されることを祈念いたします。
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この記事は、松井千春税理士事務所 松井 千春様に寄稿いただきました。
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目次

  1. 法人にも確定申告って必要なの?
  2. 法人税とは
  3. 法人の確定申告の全体的な流れ
  4. まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
  5. 法人税の申告書類の作り方
  6. 作成した申告書を提出して納税する
  7. 最後に
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