現役税理士が所得税と住民税の控除額の計算方法の違いをわかりやすく解説

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 皆さんは、所得税と住民税の計算方法の違いを意識して節税策を考えられていますでしょうか。所得税の節税は考えていても、住民税にまでは対策が行き届いていない場合も見受けられます。そこで、今回は特に両者の控除額の違いについて解説させていただきたいと思います。

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1)所得税と住民税の関係は?

1. 所得税の計算

所得税は所得金額から扶養控除等の「所得控除額」を差し引いた課税所得金額に所得税率を乗じ、そこからさらに住宅ローン控除等の「税額控除額」を差し引いて、最終の納税額が計算されます。

税率は5~45%(平成27年分以降)の超過累進税率となっています。なお、平成25年から平成49年までの各年分の所得税については復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が併せて課されています。

〈参考〉総合課税の税率|所得税の税率と計算方法について

2. 住民税の計算

住民税は、すべての人に一律に課される「住民税(均等割)」と所得金額をベースに課される「住民税(所得割)」から構成されます。
このうち「住民税(所得割)」の計算は、所得税と同様に、所得金額から「所得控除額」を差し引いた課税所得金額に税率を乗じ、そこから「税額控除額」等を差し引いて、納税額が計算されます。住民税の税率は10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)となっています。なお、この税率は条例にもとづき自治体によって若干異なる場合があります。

〈参考〉
現役税理士が個人住民税の計算方法と納付方法をわかりやすく解説
現役税理士が法人住民税の概要と計算方法をわかりやすく解説|計算例つき
住民税の高い都市、安い都市|都市によって差はあるの?

3. 両者の関係

このように所得税と住民税(所得割)は計算方法が同じような構造となっています。しかし、その計算要素となっている「所得控除額」と「税額控除額」では各控除項目の金額(あるいは限度額)が異なっています。また、住民税と所得税のどちらか一方だけに認められている「所得控除額」や「税額控除額」もあります。
以下では「所得控除額」と「税額控除額」に分けて、所得税と住民税の取扱いの違いについて解説していきたいと思います。

2)所得控除の違いについて

1. 控除額に違いがないもの

・医療費控除、社会保険料控除、雑損控除、小規模企業共済等掛金控除

2. 控除額に違いのあるもの(人的控除)

・基礎控除、配偶者控除(一般)、扶養控除(一般)
→所得税38万円 vs 住民税33万円

・障害者控除(普通)、寡婦控除(一般)、寡夫控除、勤労学生控除
→所得税27万円 vs 住民税26万円

3. 控除額に違いのあるもの(人的控除以外)

・地震保険料控除(限度額)
→所得税5万円 vs住民税2万5,000円

・生命保険料控除(限度額)
→所得税12万円 vs住民税7万円

4. 所得税でのみ認められる所得控除

・寄附金控除
その年に支出した特定寄附金(国や地方公共団体、特定の公共法人などへの寄附金)の額の合計額(所得金額の40%が限度)から2千円を控除した金額が寄付金控除となります。なお、特定寄付金のうち、公益社団法人等、認定NPO法人等または政党等に対する寄附金で一定のものについては「所得控除」に代えて「税額控除」を選ぶことができます。

〈参考〉肉・米・パソコンまで!?知らないと損するふるさと納税のおすすめ12選

3)税額控除の違いについて

1. 計算方法や控除率が異なるもの

・住宅ローン控除
所得税においては、住宅ローン等の年末残高の1%等を基準に住宅借入金等特別控除が認められています。
住民税においては、所得税で住宅借入金等特別控除の適用を受けていて、かつ、所得税において控除しきれなかった額がある場合には、一定の上限額まで住民税から控除することができます。
なお、勤務先の年末調整や税務署の所得税確定申告の内容から住民税での控除額が決定されますので、地方自治体に申告書等を提出する必要はありません。

・配当控除
株式の配当などの配当所得がある場合、その金額に所定の配当控除率を乗じた金額が控除されますが、所得税と住民税ではその配当控除率が異なります。

2. 所得税に特有の税額控除

・政党等寄付金特別控除
政党等に対する寄附金がある場合には「(政党等に対する寄附金の額の合計額-2千円)×30%」の計算式による金額が所得税の税額控除額として認められています。

3. 住民税に特有の税額控除

・調整控除
上述のように、所得税と住民税では「所得控除」の金額に差があります。このため、国から地方への税源移譲にともなって地方税率が高くなった場合、国と地方の合計税率が変わらなくても、個人の税負担が大きくなる可能性があります。
これを解消するために所得控除(人的控除)に起因する差異の一定率を「調整控除」として税額控除できるようにしています。

4)節税のポイント

所得税の確定申告をする際には課税所得がいくらになるか気になりますが、確定申告がない住民税の課税所得まではあまり意識していない場合が多いのではないでしょうか。

節税のポイントは所得税がゼロや還付の状態になったとしても油断をしないこと。
たとえば、所得税がすでに還付の状態になっていたとしても、まだ医療費の領収書がたくさんあって医療費控除を使えるのなら、住民税がゼロになるまでは所得控除しておくことです。
住民税額がよくわからないという場合には「使える控除はすべて使っておく」というスタンスで処理するのも一法かと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。所得税と住民税の控除計算では意外と差異があると思われた方がいるかも知れません。これまで住民税の計算にまではあまり気が回らなかったという方も、本稿をご参考に住民税の節税を考えてみてはいかがでしょう。

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この記事は、信濃橋税理士法人 北川 ワタル様に寄稿いただきました。
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  6. 法人にかかる税金は9種類もある
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