退職金の所得税と所得控除の計算方法をわかりやすく解説

退職金

1)退職金とは

退職によって勤務先より一時に受ける給与だけでなく、各種の社会保険制度に基づく一時金や適格退職年金契約に基づく退職一時金も退職手当に含まれます。(所得税法第30条、31条) 退職手当は、雇用等の勤務関係を基礎とした仕事の対価として支給されますので、毎月の給与とその性格は似ています。しかし、退職手当と給与の性格で明らかに違っている点があります。それは、給与については勤務関係が続いている限り仕事に応じて継続的に給与を受けますが、退職手当については、勤務関係が終了した時に一時に受けるもので、継続して支給されないという点にあります。

2)退職金にかかる所得税について

退職手当は一般的に老後の生活のための資金として充てられることも多く、この退職手当について通常の給与と同様の所得税を課されると大きな負担となってしまいます。 そこで、この退職手当については、その他の所得とは別に分離して税金の計算がされるようになっています。以下は、課税される退職所得の金額を算出する式となっています。  ( 収入金額 - 退職所得控除額 )× 0.5 = 退職所得の金額  この計算で算出された退職所得の金額に対して、実際に所得税率を掛けることによって退職所得にかかる税金が算出されることになります。
1. 収入金額
実際に退職手当を受け取る金額は、一定額が源泉徴収されているかと思います。収入金額とは、実際の手取金額ではなく源泉徴収される前の金額となりますので、収入金額を算出する際は、手取金額に源泉徴収額を足します。 手取金額 + 源泉徴収額 = 収入金額
2. 退職所得控除額
退職所得控除額に関しましては、勤務先での勤続年数に応じて金額が変わってきます。 スクリーンショット 2015-06-29 13.00.37※1 勤続年数の1年に満たないものは切り上げます。例)16年3月→17年 ※2 障害者になったことが直接の原因で退職した場合には、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額が退職所得控除となります。
3. 所得税の算出
上記の1.の金額から2.の金額を差し引いたものを半分にしたものが、退職所得の金額となります。そして以下の表より、税額を計算することになります。 スクリーンショット 2015-06-29 13.00.49 また、復興特別所得税として所得税額に2.1%を掛けたものが課されます。 所得税額 × 2.1% = 復興特別所得税額

3)具体的な計算例

退職手当:20,000,000円(源泉徴収前)、勤続年数:24年3月の場合
1. 収入金額
収入金額は、源泉徴収前のものとなりますので、20,000,000円となります。
2. 退職所得控除額
勤続年数 24年3月 → 25年(端数を切り上げます)   8,000,000+700,000×(25年-20年)=11,500,000円 勤続年数が20年を超えていますので、控除額は5年×70万円に800万円を加えた金額となります。
3. 所得税の算出
退職所得の金額 (20,000,000-11,500,000)× =4,250,000円 上記で算出してきた収入金額から控除額を差し引いたものを半分にしたものが退職所得の金額となります。   所得税額 4,250,000×20%-427,500=422,500円   復興特別所得税額 422,500×2.1%=8,872円   合計 422,500+8,872=431,372円 算出した退職所得の金額を『所得税の速算表』より該当する所得金額の税率を掛けて、その後に控除金額を差し引きします。また、復興特別所得税に関しては所得税の金額に2.1%を掛けて算出します。 この一連の計算により算出された431,372円が退職手当にかかる所得税の税額となります。

4)計算するための3つのポイント

退職手当は給与と同じように勤務先等から支給されますが、その性格は上記で述べましたように異なります。そのため、退職手当に関する所得税の計算はかなり優遇されており、これは計算する上でのポイントともなりますので、以下の3つの要点を押さえておいて頂ければと思います。 ・退職所得控除額の控除 ・退職所得の金額算出時に2分の1の金額となる ・分離課税(他の所得と合算しないため、他の所得に対しての税率の影響を与えない)

まとめ

いかがでしたでしょうか?退職手当の計算はそこまで複雑ではないことがお分かりいただけたかと思います。他にも何か分からない計算方法があれば、ページ上の検索窓から調べて見てください。

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