決算書の読み方をわかりやすく解説~財務諸表分析にチャレンジしてみよう!~

決算書

「決算書を読める」ということは、言い換えれば「財務諸表分析ができる」ということに他なりません。
そこで、今回は簡単な財務諸表分析のやり方についてご説明したいと思います。
「財務諸表分析」と聞くと専門的な知識がないとできないものなのかな、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、基本的な知識さえあればご自身でもExcelの表計算機能や電卓を用いながら簡単に分析ができてしまいます。

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用語の定義について

企業会計のフレームワークにおいて、実は「決算書」という用語は正式な用語ではありません。「財務諸表」が正式な用語になります。

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(財務諸表等規則)によれば、「財務諸表」には、「貸借対照表」・「損益計算書」・「株主資本等変動計算書」・「キャッシュ・フロー計算書」・「附属明細表」が含まれますが、今回はそのうちの「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」について、ここでは「決算書」と定義して、以下「決算書」と表現させていただきます。

それぞれの「決算書」と主な見るべきポイントについて

貸借対照表

企業活動の結果として、企業がどのような資産を保有し負債を負っているか、すなわち財政状態が表示されています。
資産の部・負債の部・純資産の部の3つの部から構成されています。
以下が、細かい勘定科目を省略した貸借対照表の簡略的なイメージになります。
貸借対照表

大項目ついて
  • 資産の部・・・決算日において会社の保有する財産や権利などの資産の状況を表します。流動資産・固定資産・繰延資産の3つに分かれています。
  • 負債の部・・・決算日において会社が負っている法的債務やそれに準ずる義務である負債の状況を表します。流動負債・固定負債の2つに分かれています。
  • 純資産の部・・・項目はいろいろありますが、資産総額から借金でまかなわれた分を引いた自己資本部分を表します。
主な見るべきポイントについて
  • 流動比率
    流動比率

    1年内に現金化できる資産と1年内に返済しなければならない負債の比率。短期的な会社の安全性をみることができます。一般的には200%以上であれば安全性は高いといえます。

  • 当座比率
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    当座資産は、現金・預金・売掛金・有価証券など、流動資産の中でも特に換金可能性の高い資産を意味します。流動比率よりも低く算定されますので、より厳密な安全性を見ることができます。一般的には120%以上であれば安全性は高いといえます。

  • 自己資本比率
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    総資本とは、負債および純資産の合計のことです。金額的には資産合計とも一致します。
    総資本に占める自己資本の割合が高ければ、財務的な安全性は高くなるといえます。自己資本比率を1から控除すれば、負債比率(総資本に占める負債の割合)も計算できます。

  • 資本欠損・債務超過
    純資産の部の総額が資本金・資本準備金・利益準備金の合計を下回ると資本欠損(当初拠出した資本の一部が食いつぶされている状況)、純資産の部の総額がマイナスになると債務超過(資産合計<負債合計となり、当初拠出した資本の全額が食いつぶされている状況)となります。これに該当する企業は財務リスクが非常に高い会社であると言えます。

損益計算書

どれだけその企業が利益を上げているか、すなわち経営成績が表示されています。
利益については、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益と異なるレベルで表示されます。
以下が、細かい勘定科目を省略した損益計算書の簡略的なイメージになります。
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大項目ついて
  • 売上総利益・・・売上高から売上原価を差し引いたもの。対象となる決算期における純粋な売上に基づく利益を表します。
  • 営業利益・・・売上総利益から人件費や事務費、減価償却費等の販売管理費を差し引いたもの。対象となる決算期における本業による利益を表します。
  • 経常利益・・・営業利益に営業外の収益・費用(利息収入、借入金支払利子等)を加減算したもの。対象となる決算期における会社の事業全体の利益を表します。
  • 当期純利益・・・経常利益に固定資産の受贈や除却など、事業とは直接関係のない特別な事象によって生じた損益を加減算したもの。対象となる決算期における会社の最終的な利益を表します。税引前と税引後の2種類あります。
主な見るべきポイントについて
  • ROA(Return on Asset 総資本利益率)
    ROAROAは借入金および株主資本を合わせた総資本全体から、どれくらい効率的に事業に関する利益を生み出したかを表しています。
    なお、支払利息は負債の調達額に依存する費用項目ですので、総資本が生み出した利益率を評価するにあたって、利益から控除してしまうのは適切ではありません。したがって、経常利益に加算して調整しています。
    ROAはさらに以下のように分解することで、分析を深めることができます。
  • ROA

  • ROE(Return on Equity 純資産利益率)
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    株主資本から、どれくらい効率的に利益を上げているかを表現する指標になります。株主にとっては、負債の利息や特別損益、税金もすべて控除された税引後当期純利益が指標計算にあたって考慮すべき利益となるため、上記においては税引後当期純利益を計算に用いています。
    ROEもROAと同様、以下のように分解することで、さらに分析を深めることができます。
    ROEROEは資金調達に当たって負債を多く利用すればするほど高くなります。一方で、負債を多く利用すればするほど利子負担により利益が圧迫されて倒産リスクが高まります。したがって、ROEが単純に高ければいいわけではなく、負債比率とのバランスにおいて評価する必要があります。

    ROAやROEについては適正なレベルは業種ごとに異なりますので、一概に議論するのは難しいですが、例えば、財務総合政策研究所が出している法人企業統計調査(https://www.mof.go.jp/pri/content/e-stat_houki.xml)などを利用することで、業種に応じた分析をすることが可能です。

  • キャッシュ・フロー計算書

    企業の資金繰りの状況を表示します。
    以下が、細かい項目を省略したキャッシュ・フロー計算書の簡略的なイメージになります。
    キャッシュ・フロー

    大項目ついて
    • 営業活動によるキャッシュ・フロー・・・文字通り、営業活動による収入から支出を差し引いたものになります。本業にもとづくキャッシュ・フローを表現しています。
    • 投資活動によるキャッシュ・フロー・・・有価証券や投資有価証券の取得・売却、有形固定資産の取得、貸付による支出などが該当します。
    • 財務活動によるキャッシュ・フロー・・・資金調達活動によるキャッシュ・フローを表します。借入の増額や返済、株式の発行、社債の発行や返済に基づく入出金などが該当します。
    • 現金及び現金同等物に係る換算差額・・・たとえば外国通貨を保有している場合に、為替の変動による換算差額がこの項目に入ってきます。
    • 現金及び現金同等物の増加額・・・上記4項目の合計金額になります。これに期首残高を加えることで期末残高が計算されます。
    主な見るべきポイントについて
    • 営業活動によるキャッシュ・フロー
      プラスであれば、本業から順調にキャッシュが回収されているわけですから、営業活動の状況は良好であると考えることができます。一方、マイナスであれば、本業から順調にキャッシュが回収されていないということになりますので、注意する必要があります。

    • 投資活動によるキャッシュ・フロー
      企業が成長していく過程において設備投資はどうしても必要になりますので、マイナスであるからと言って一概に悪いことではありません。
      逆にプラスである場合は、何らかのリストラを行うことで資金を捻出している可能性もありますので、なぜ増えたのか、注記等を参考にその理由を把握することが大切です。

    • 財務活動によるキャッシュ・フロー
      一般的には、営業活動・投資活動による両キャッシュ・フローの合計がプラスであれば、余剰資金で資金返済を行うことができますのでマイナス、営業活動・投資活動による両キャッシュ・フローの合計がマイナスであれば、追加の資金調達を迫られますのでプラス、となります。

    • 現金及び現金同等物の増加額
      プラスになっていれば前期末残高と比べてキャッシュは増えていることになります。一方で、マイナスになっている場合は、マイナス幅が現金及び現金同等物の前期末残高を超えてしまうと資金ショートにより黒字倒産となってしまいますので、どのくらいのマイナス幅になっているのか、注意が必要です。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。決算書の読み方の基本とキーとなる指標についてご説明差し上げましたが、ぜひ電卓片手に、一度ご興味のある会社の決算書を改めてご覧になってみてください。その際には同業の他社の決算書をあわせて比較しながらご覧になるとさらに効果的かと思います。きっといろいろな新しい発見があるはずです!

    大手監査法人における海外経験も含む13年にわたる幅広い実務経験、その後のベンチャー企業での執行役員・管理本部長としての経験により、特にベンチャー企業様の内部統制構築に強みがあることが当事務所のセールスポイントです。 財務・経理だけでなく、労務・人事などのプロセスについても幅広い視野を持っています。 フットワークの軽い当事務所までぜひお気軽にご相談ください!!

     
     

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    目次

    1. 法人にも確定申告って必要なの?
    2. 法人税とは
    3. 法人の確定申告の全体的な流れ
    4. まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
    5. 法人税の申告書類の作り方
    6. 作成した申告書を提出して納税する
    7. 最後に
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