「経営者特有の相続トラブル」を避けるためにしておきたい3つのこと

souzoku

もともと相続は揉めるもの!?

「相続」といえば、「争族」と揶揄されるほど、揉め事の象徴のようなイメージを持っている方も多いと思います。しかし、実際の相続の現場では、まったく揉めずに平和に終わるケースも多々あるのが事実。

そこで今回は、相続トラブルに発展する原因をご紹介するとともに、「経営者特有の相続トラブル」を避けるためにしておきたい3つのことについてお話しします。

目次
1) 相続トラブルの「大きな誤解」
2) 実はあっけない相続トラブルの「原因」
3) 「経営者特有の相続トラブル」とは?
4) 経営者特有の相続トラブル その1 「自社株式の分散の問題」
5) 経営者特有の相続トラブル その2 「自社株式の納税資金・購入資金の問題」
6) 経営者特有の相続トラブル その3 「個人保証の問題」
7) まとめ

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1)相続トラブルの「大きな誤解」

「どういう家庭が相続トラブルに陥りやすいか?」という質問に対して、多くの方が「裕福で財産が沢山ある家庭」と回答しますが、実はこれは大きな誤解。

平成25年度の司法統計によると、遺産分割の紛争件数8,994件のうち、遺産価格が5,000万円以下のケースがなんと全体の約75%も占めています。つまり、「財産が少ないから揉めない」というのは誤解で、「財産が少ないから揉める」というケースが多く存在していることを知っておく必要があるでしょう。

2)実はあっけない相続トラブルの「原因」

一方、遺産価格が5億円以上のいわゆる富裕層では、遺産分割の紛争件数は51件で全体の0.6%しかありません。ある程度財産を持っている方は、どのように遺産を分けるかを事前に専門家に相談し、遺言書などで遺産分割方針を定める場合が多いのです。

このことから、相続トラブルの根本原因は「財産があるかないか」ではなく、「事前に揉めないような対策をしたかどうか」であることがわかります。「何もしないと相続は揉める」。そう思っていた方が正しいのかもしれません。

3)「経営者特有の相続トラブル」とは?

では、経営者に相続が起こった場合はどうでしょう?一般の家庭と同じように遺言書などで遺産の分割方法を指定しておけば、相続トラブルを防ぐことは可能でしょうか?

実は、経営者の相続は事業承継と密接に絡み合っているため、「経営者特有の相続トラブル」というものが存在します。以下では、その中でも特に注意しておきたい3つのことをお話しします。

4)経営者特有の相続トラブル その1 「自社株式の分散の問題」

現経営者から後継者に事業承継する際には、経営の安定化を図るため後継者に自社株式を集中させる必要があります。

しかし、通常自社株式は、経営者が保有する財産の中で大きな部分を締めますので、相続の際に不平等感なく遺産分割をするためには、後継者以外の相続人にも自社株式の割り当てが必要な場面があり、自社株式を分散させたくない後継者との間で相続トラブルが起きる可能性があります。

この問題に対する対応策としてまず考えられるのが、「種類株式の活用」です。具体的には、後継者となる相続人に対しては「普通株式」を相続させ、一方、後継者以外の相続人に対しては「議決権制限・配当優先種類株式」を相続させることで、後継者に議決権を集中させながら、後継者以外の相続人には平等に財産権を与えることが可能となります。

また、もう一つ有効な対応策として注目されているのが、平成19年の信託法大改正によって利用できるようになった、いわゆる「株式信託」といわれる手法です。具体的には、現経営者を「委託者」、後継者を「受託者」、各相続人を相続発生時の「帰属権利者(分かりやすく言うと相続人)」として、自社株式を信託財産とする信託契約を現経営者と後継者の間で締結しておきます。

こうすることで、相続が発生した際に自社株式は各相続人に平等に相続されますが、この自社株式の議決権は受託者である後継者が行使できますので、後継者に議決権を集中させながら、後継者以外の相続人には平等に財産権を与えることが可能となります。

5)経営者特有の相続トラブル その2 「自社株式の納税資金・購入資金の問題」

自社株式を後継者に承継する際、その資金をどう確保するかが問題となります。つまり、後継者が現経営者の親族の場合、自社株式を相続した際には通常多額の相続税が発生することから、その納税資金の確保が問題となります。また、後継者が現経営者の親族外(従業員など)の場合には、現経営者からの自社株式の購入資金の確保が問題となります。

この資金問題の対応策としては、まず事前に自社株式の評価額を算定し、相続税の納税資金または自社株式の購入資金がどれくらい必要かを把握しておくとよいでしょう。その上で、自社株式の評価額を下げるための方策や、必要な資金を確保するための準備をする必要があります。

なお、経営承継円滑化法による「自社株式の相続税納税猶予制度」を利用することによって、相続税の納税猶予を受けることが可能な場合がありますが、従業員の雇用維持要件など一定の要件を満たさなくなった場合には利子税を加算して納付しなければならないため、この制度の利用には慎重な検討が必要です。

6)経営者特有の相続トラブル その3 「個人保証の問題」

中小企業の経営者の方々は、金融機関からの借入に対して個人保証(連帯保証)をしているケースがほとんどです。したがって、事業承継によって経営者が交代する場合、金融機関としては後継者に対して連帯保証人になるよう求めるケースがあります。

しかし、後継者が親族外の従業員の場合には個人資産が十分ではないケースが多いため、金融機関が前経営者の個人保証を解除してくれない場合も考えられるでしょう。

平成24年度に野村総合研究所が行った「中小企業の事業承継に関する調査に係る委託事業作業報告書」によると、親族以外に事業を引き継ぐ際の問題点として「借入金の個人保証の引継ぎが困難」という回答が上位に上がっています。このため、現経営者は事業承継を行う数年前から、会社の借入金の圧縮を検討しておく必要があるでしょう。

なお、平成26年2月から運用が開始された「経営者保証に関するガイドライン」によって、金融機関に適時適切に情報開示することなどを条件に、経営者保証なしで融資を受けられる可能性が出始めていますので、事前に相続・事業承継の専門家に相談しておくとよいでしょう。

7)まとめ

経営者の方の相続の場合には、「事業承継」という経営者特有の課題があります。しかし、これを相続トラブルに発展させないための方法は、一般の家庭の相続と何ら変わりがありません。

相続トラブルを回避するポイントは、事前に対策をしておくこと。相続が発生する前であれば、打てる手段があります。ひとりで悩んで悶々とせず、まずは相続・事業承継の専門家に相談してみるのがいいでしょう。

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目次

  1. 法人にも確定申告って必要なの?
  2. 法人税とは
  3. 法人の確定申告の全体的な流れ
  4. まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
  5. 法人税の申告書類の作り方
  6. 作成した申告書を提出して納税する
  7. 最後に
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