上場準備の際に覚えておきたいコーポレートガバナンス・内部管理体制についての5つのポイント

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はじめに

「経営ハッカー」の読者のみなさまの中には、上場を目指されていらっしゃる企業の関係者の方々も多いのではないかと思いますが、上場にあたっては、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性は必ず審査を受ける項目となっています。

ご参考までに日本取引所グループホームページ「上場審査基準」の上場審査の内容から、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制に関する部分を抜粋してみました。(http://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/index.html

<東証一部・二部>

article1

<マザーズ>

article2

<JASDAQ>

article3

ご覧のとおり、いずれの市場においても、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の適切な整備・運用が求められているわけですが、本稿では、具体的にどのような点に留意していけばいいのかを簡潔にまとめてみたいと思います。

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内部統制・5つのポイント

「上場審査等ガイドライン(東京証券取引所)」Ⅱ.4では、「内国会社における企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性」と題し、上場審査に際して満たすべき5つのポイントが示されています。要約すると以下の通りになります。

ポイント①
役員の適正な職務の執行を確保するための体制が適切に整備・運用されている状況にあると認められること→【会社機関の整備】


株主総会や取締役会、監査役といった会社機関が形骸化していないかどうかがポイントとなります。代表的なにチェックポイントとして以下のような点が挙げられます。
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(*)大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)の会社の場合は、監査役会の設置が必要。

ポイント②
経営活動を有効に行うため、内部管理体制が適切に整備・運用されている状況にあると認められること→【各種規程類の整備・運用、内部監査体制】


まず重要なのは各種規定類の整備でしょう。特に、就業規則や賃金規程など、従業員に直接影響する人事・労務関連の規程は優先的に整備を進める必要があります。

規程類の作成にあたって、インターネットを検索すればいろいろな規程類のサンプルがでてきますが、それをそのまま利用してしまうのは少し危険ではないかと思います。会社の実態に合わせた作りこみができているかどうか、特に金銭が絡むような条項については、従業員との間であとあとトラブルにならないような作りこみが必要ですので、専門家と相談しながら進めていくのが無難です。作りこみが甘いことが理由で後から結局余計なコストがかかるくらいだったら、最初からある程度のレベルのものを整えておくことをお勧めします。

人事・労務以外にも、販売管理・購買管理・生産管理・在庫管理・原価計算・固定資産管理・資金管理など、内部統制を整備すべきエリアは多岐にまたがりますので、それぞれのエリアについて、実態にあった規程の作成および規程に沿った運用が求められます。

また、内部監査体制についても適切に整備・運用されている状況にあることが必要ですので、上場前に適切な計画に基づき実施できているかどうか、再度ご確認ください。

ポイント③
経営活動の安定かつ継続的な遂行及び適切な内部管理体制の維持のために必要な人員が確保されている状況にあると認められること→【人材確保】


特に管理部門における人材の確保は、どの会社におかれても重要な課題の1つではないかと思います。実際に私も「どなたかいい人いませんか?」という問い合わせを受けることが少なくないのですが、上場にあたっては管理部門が果たすべき役割は多岐にわたりますので、早い段階での準備が必要ではないかと思います。

どうしても人材を確保できない場合は、アウトソーシングの導入についても検討する必要があります。

ポイント④
実態に即した会計処理基準を採用し、かつ、必要な会計組織が、適切に整備・運用されている状況にあると認められること→【会計体制】


ポイント②とも関連しますが、経理規程を整備し、会計処理基準の採用について明確化しておく必要があります。

会計組織については、スタートアップ企業の場合、最近はfreeeのような優れたクラウド会計システムもでてきていますので(寄稿しているのでお世辞を言うわけではなく(笑)、私も使っていてとても便利だと思っています)、必要な帳簿体系が網羅的に整備できるので便利ではないかと思います。

なお、上場に当たって会計監査を受ける必要がありますが、その際の留意点については、日本公認会計士協会が発行している「新規上場のための事前準備ガイドブック」に詳しく載っていますので、ご参考になさってください。

ポイント⑤
経営活動その他の事項に関する法令等を遵守するための有効な体制が適切に整備・運用され、また、最近において重大な法令違反を犯しておらず、今後においても重大な法令違反となるおそれのある行為を行っていない状況にあると認められること→【法令違反防止体制】


当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、法令違反が起きないような体制作りが必要です。たとえば、従業員に対する教育機会を設ける、内部通報制度や外部通報制度を設ける等、企業としての自主的なコンプライアンス対策があることが求められます。

また、経営者の方による風通しの良い企業風土作りも重要だと考えます。風通しの悪い企業風土の下では、経営陣にとって不都合な情報が現場サイドから適時に上がらない、その結果として会計不正につながる可能性を高めてしまいますので、風通しのよい組織風土の会社作りが大切になってきます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。【会社機関の整備】、【各種規程類の整備・運用、内部監査体制】、【人材確保】、【会計体制】、【法令違反防止体制】の5つのポイントをあげましたが、対応すべき点が多いので、早め早めの対策が肝心かと思います。

とりわけポイント②の【各種規程類の整備・運用、内部監査体制】は、作成すべき書類も多く、実務上のボリュームが大きいです。私も業務の中で上場支援についてアドバイスさせていただく機会が多いのですが、とりわけ人事・労務関係についてはご相談が多い印象がありますので、専門家と相談しながら早めの対応が求められると考えます。

大手監査法人における海外経験も含む13年にわたる幅広い実務経験、その後のベンチャー企業での執行役員・管理本部長としての経験により、特にベンチャー企業様の内部統制構築に強みがあることが当事務所のセールスポイントです。
財務・経理だけでなく、労務・人事などのプロセスについても幅広い視野を持っています。
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目次

  1. 法人にも確定申告って必要なの?
  2. 法人税とは
  3. 法人の確定申告の全体的な流れ
  4. まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
  5. 法人税の申告書類の作り方
  6. 作成した申告書を提出して納税する
  7. 最後に
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