会社設立時に必要な法人登記について解説 | 取締役のみの株式会社

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会社設立は法人登記から始まります。

会社を設立することによって、個人で事業を行う場合とは異なる業務を行うことが可能となります。最も大きな違いは、会社は集団で業務を行うことが前提となっているため、複数人の経費が費用として認められやすくなっていることが挙げられます。会社を設立するためには、法人登記が必要です。

ここでは、会社設立のための法人登記を行うための事項を記載していきたいと思います。

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1)会社及びその機関の決定

1.会社の種類

会社の種類は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4種類で、それぞれメリット、デメリットがあります。この会社の種類を決定することから会社設立は始まります。

今回は簡単にそのメリット、デメリットを記載します。株式会社は大規模会社に合わせた組織形態であり、いくつか機関(会社運営上の組織)設計に自由度があります。しかし、利害関係者が多くなることを前提に考えられているため、債権者保護や情報開示の充実も規定されています。

合名会社、合資会社、合同会社は小規模組織を前提とした組織です。それぞれ、出資者(会社法では社員といいます。)の責任が無限責任のみ、無限責任と有限責任の両方、有限責任のみという組織です。ここでいう無限責任とは、会社が倒産した際に出資者が出資額以上の責任を取る必要があることで、有限責任とは、出資額を超える責任を取る必要がないことをいいます。

2.会社の機関

株式会社を除く合名・合資・合同の各会社組織は会社を代表しない出資者がいるかどうかを決定する必要があります。

株式会社は、取締役会を設けるかどうか、監査役、会計参与、会計監査人、委員会を設置するかどうかで、17種類の機関設計が可能でした。さらに、2014年6月から監査等委員会が新たに規定されました。おおむね、ガバナンスを充実させると会社意思決定に時間を要し、自由度がなくなるというトレードオフ関係になっています。

まず、最も小規模な取締役のみを機関とする株式会社の設立登記方法から記載していきます。また、個人事業から資産の引き継ぎはないものとし、会社設立業務を行う発起人以外に出資者はいないこととします。

2)取締役のみの株式会社

会社法で登記は907条から938条まで記載されていますが、会社の設立については会社の種類によって、株式会社は911条、合名会社は912条、合資会社は913条、合同会社は914条にそれぞれ規定されています。

株式会社の設立登記に関する911条の3項には登記すべき項目が30号まで記載されています。しかしながら、例えば、4号は

「株式会社の存続期間又は解散の事由についての定めがあるときは、その定め」

と規定されており、一般の会社で記載する必要がない規定もあります。
以下に、中小企業で一般的な会社が必要とする項目を列挙してみます。

1.目的
2.商号
3.本店及び支店の所在場所
5.資本金の額
6.発行可能株式総数
7.発行する株式の内容
9.発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
13.取締役の氏名
14.代表取締役の氏名及び住所
30.第二十八号の定款の定めがないときは、第九百三十九条第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

といった10項目でしょうか。

では、各項目を詳細に見ていきましょう。

まず1号の目的です。会社はどのような事業を行うかを登記によって公にする必要があります。

具体的には

1.紅茶葉の輸入、販売
2.カップの販売
3.前各号に付帯する一切の業務

のように記載します。株式会社の場合、この事業の目的を記載した定款について公証人の認証が必要になりますが、事業の目的が登記可能なものかどうかは所管の登記官が判断します。

このため、当該目的が登記可能なものであるかどうかを事前に所管の法務局で相談し、可能な限り登記が可能であることを相談し、許可をもらったことがわかる旨等をメモなどでもらっておきましょう。また「前各号に付帯する一切の業務」は、必ず最後に記載しておくべき項目です。

2号の商号ですが、以前は近隣市町村で同様の商号を用いることができませんでしたが、現行の会社法では比較的自由にできます。ただし、会社の種類である株式会社は商号に用いなければならないことや不正な目的(他の会社と誤解されることを目的)で商号をつけてはならないこと、および銀行、信託、証券等、誤解されるおそれのある名称はその業務を行わない会社はそのような商号をつけてはならないこと担っています(会社法6、7、8条)。こちらについても、目的と同様に法務局に相談した方がよいでしょう。

3号にある本店及び支店の所在場所ですが、自宅住所でも構いません。地番まで記載することになります。

5号の資本金ですが、1円から会社を設立することができます。しかし、会社を設立するだけでも最低20万円程度は必要になります。会社が必ず利益を出すと計画できる場合はともかく、設立費用程度は資本金として準備しておくべきでしょう。

一人や発起人数名のみで会社を設立する場合は、資本金の金額を振り込んだ預金通帳があればよいのですが、募集設立(出資のみ行い、設立業務等は行わない人を含めた設立方法)の場合は、払込取扱機関(一般的には銀行)から払込金保管証明書等の証明書が必要となります。

6号の発行可能株式総数については今後どの程度会社規模を大きくしていくかという観点から判断すべきものだと思いますが、今後の会社の自由度を大きくするため(公開会社になる場合には発行済株式数の4倍が発行可能株式総数の限度となります)、一般的には設立時に発行する株式数の4倍にします。

7号にある発行する株式の内容は、非公開会社にするための記載を行います。「非公開会社」とは、株式の取引が制限される会社で、会社経営を円滑にするため、株式の売却などに株主総会や取締役会の承認を必要とするものです。具体的には下記、法務省が公開している記載事例をご参照ください。

9号の発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数は、通常、普通株式を何株発行するか記載します。株式数は特に制限はないのですが、資本金の額で割り切れる数にしておけば、一株あたりの資本金額が明確になり、実務上便利です。

13号、取締役全員の氏名を記載します。

14号には表取締役の氏名及び住所を記載します。取締役が一人の場合は、取締役の氏名、住所を記載しますが、複数の取締役がいる場合は、全員のものを記載することが原則です(会社法348条1項)。住所については、地番まで記載します。

30号は公告する方法を規定したものです。例えば、会社法440条1項では定時株主総会後に、株式会社は貸借対照表を公告することが義務づけられています。

3)実際の登記手続

2)で説明した事項を以下のように、CD-R又はOCR用紙等に記載します。記載の順序は会社法と異なりますのでご留意ください。

「商号」○○商事株式会社
「本店」○県○市○町○丁目○番○号
「公告をする方法」官報に掲載してする。
「目的」
1 ○○の製造販売
2 ○○の売買
3 前各号に附帯する一切の事業
「発行可能株式総数」800株
「発行済株式の総数」200株
「資本金の額」金1000万円
「株式の譲渡制限に関する規定」
当会社の株式を譲渡するには,取締役会の承認を受けなければならない。
「株券を発行する旨の定め」
当会社は株券を発行する。
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務太郎
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務一郎
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務次郎
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」法務太郎

法務省から以下のURLに書き方が示されています。
http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI50/0001.txt

次に登記時に提出する書類ですが、
前述の登記すべき事項を記載した用紙(CD-Rも可)のほか、
発起設立(設立業務を行う人だけが出資する株式会社の設立方法)の場合
株式会社設立登記申請書 1通
定款 1通
発起人の同意書 同意すべき項目の数
設立時代表取締役を選定したことを証する書面 1通
設立時取締役,設立時代表取締役の就任承諾書 各役員の数
印鑑証明書 就任承諾書を作成する役員各1通
払込みを証する書面 1通
資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書 1通
委任状 1通
印鑑カード交付申請書 1通

上記、資料については下記アドレスに細かい解説が記載されています。
http://www.moj.go.jp/content/001175500.pdf
http://www.moj.go.jp/content/001175467.doc

4)提出書類について

1.株式会社設立登記申請書

登記すべき事項については、「別紙のとおり」として、OCR用紙等に記載しても構いません。

課税標準金額には、資本金の金額を記載します。

登録免許税は資本金の0.7%ですが、最低金額は15万円ですので、2,142万円程度以下の資本金の場合、15万円になります。

会社設立時から多額の資本金を設定する会社はないと思いますが、念のため、2,143万円以上の資本金の場合であっても、登録免許税が安くなる方法(以下リンクを参照してください)はあるので、検討する価値はあると思います。
http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/sankatsuhou/outline/measure-001.html

2.定款

定款には4万円の収入印紙を貼る必要がありますが、電子定款はこれを貼る必要がありません。従って、4万円安くなります。

株式会社の設立時には定款に公証人の認証が必要となります。定款は署名押印のほか、割印も必要です。いずれも、個人の印鑑証明がある実印で行い、同時に印鑑証明も発起人の全員分が必要です。定款の認証に発起人全員が行くことができない場合は、行くことができない発起人の委任状が必要となります。司法書士や行政書士の先生にお願いする場合は、発起人全員の委任状が必要となります。

公証人役場に提出する際は、公証人役場に保管するもの、法務局に提出するもの、会社保管のものの3通を作成する必要があります。

また、収入印紙とは別に認証手数料が5万円、定款の謄本1枚につき250円(おおよそ2,000円程度あれば問題ないのではないでしょうか)が必要になります。ちなみに、法務局に提出するものが謄本となります。

3.発起人の同意書

発起人とは会社を設立する業務を行う人です。発起人全員の合意が株式の発行に関するもののみの場合は、設立時発行株式に関する発起人の同意書のみとなります。

それ以外については、法務省のHPを参考にしてください。

5)まとめ

株式会社の発起設立(会社設立業務を行う人のみの出資で会社を設立する場合)のうち、金銭のみの出資を行う設立方法を記載しました。

会社の設立は設立登記により完了します。登記官によって登記方法が若干異なるのが現状ですので、時間がない場合や手間が惜しい場合は、司法書士の先生等にお願いすることをお勧めします。

会社設立業務を行わない人も出資を行う株式会社の設立登記や他の形態の会社の設立登記については、今後、記載していきたいと思います。

大手監査法人及び準大手監査法人で複数回の株式公開支援業務を行っており、将来において株式公開を踏まえた経理業務及び内部統制体制を整えるためのアドバイザリーが可能です。
学生時代はバイオ関連の研究で修士号を取得しており、バイオベンチャーの業務内容は十分に理解することができます。

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会社設立についてもっと詳しく知るには

一口に会社設立と言っても、そこには様々なやり方、種類があります。実際に起業する前に、どのような選択肢があるのかを把握しておくことが大切です。
このガイドでは、まずは会社の種類から設立にかかる費用まで、会社設立の前に必要な情報をご紹介。その上で、電子定款の作成方法や登記など、実際の設立の流れを最短で終えられるよう、実務的な知識をご紹介しています。
本ガイドがお客様のビジネスの第1歩としてお役に立てれば幸いです。

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目次

  1. 個人経営主と法人のメリットを比較
  2. 会社の種類は?4つの形態の違いを比較
  3. 新会社法は会社が守るべきルール
  4. 会社は6万円の費用で設立できる
  5. 最短時間で会社を設立するための流れとは?
  6. 会社設立の際に決めるべき5つのこと
  7. 定款の作り方とは?定款は会社のルール集
  8. 電子定款の作成手順を完全解説
  9. オンラインで電子定款を送信してみよう
  10. 紙で行う定款作成・認証方法まとめ
  11. これで完了、登記の手順
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