個人事業主にも税務調査はやって来るのか? いつ調査を受けてもいいよう、日頃から準備しておくべきこと

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税務調査の対象って法人だけじゃない?個人事業主にも来る?

そもそも、税務署の組織は法人課税部門と個人課税部門にわかれています。同じ事業でも、「法人=法人税法」、「個人事業主=所得税法」と取り扱う税目がまったく違うからです。

つまり、税務署は「個人事業主に対する税務調査のノウハウ」を持っています。代表的なのは法人が提出する法定調書です。法定調書とはデザイナーなど特定の業種の個人事業主に支払った金額を確定申告シーズン前の毎年1月31日まで提出する書類です。

その情報は税務署にはKSK(国税総合管理システム)という全国で一元管理しているホストコンピュータに入力されます。他にも確定申告書の内容もインプットされて、あらゆる業種のデータベースが出来上がっています。したがって、個人事業主でも申告内容とデータベースを比較しているので、税務調査はあるものと心得てください。

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税務調査に来られたら、どんなことが起きる?どんな尋問をされる?

さて、税務調査からどんなことをイメージしますか?

「よく分からない」
「税金を取られた」
「調査官の言っていることが、そもそも理解できない」

など、調査の現場がイマイチ想像できないのではないのでしょうか。

税務調査の頻度は数年に一度なので、経験のある起業家自身であっても、時が経てば調査の手法を忘れてもおかしくありません。

税務調査のチェックする項目は業種によって異なりますが、調査初日の午前中に事業概要を必ず訊かれます。具体的には創業に至る経緯、取引の全体像、経理体制などです。それによって、会社のお金・物やサービスの流れ、そして間違いやすいポイントを把握します。

調査官は2~3日間で会社の3~5年分の確定申告書をチェックするので、調査初日の午前中に力を入れています。そして、その日の午後から納品書・請求書・領収書・帳簿を調べ始めます。まんべんなく見るのではなく、業種別と間違いやすいポイントを重点的に見ます。

主には以下の項目です。

①外注費が必要経費のウェイトを占めていれば、外注先との取引内容について質問してきます。
②仕入れがあれば、在庫の計上漏れを疑います。在庫=所得金額だからです。
③必要経費の中にプライベートの費用が算入されていないかチェックします。
④収入金額・必要経費の計上するタイミングが正しいかどうか調べます。基本的に納品日・サービス提供日に計上しますが、現金預金の入金・支払い時点と勘違いするケースがよくあるからです。

以上のように、調査官が質問する以上、会社側から証言を得ないと仕事になりません。調査官は相手が緊張していることを熟知しているので、多くの場合は初日の午前中から雑談を交えながら調査します。

たとえば、海外旅行の話題、税務署の出勤時間など当たり障りのない話などです。また、書類が整理されていれば素直に褒めます。その結果、創業時の理念について熱弁する人、中には学歴まで語るケースまであります。このように会社側が気持ちよく話せる環境作りに調査官は慣れています。

税務署がやってくる時期はどう決まる? どんな個人事業主がターゲットになる?

税務調査に関する生の情報が不足・断片的な背景には、「実調率の低さ」があります。実調率とは税務調査の対象となるべき法人・個人のうち、実際に調査が実行されている割合です。

平成25年は個人が1.0%・法人が3.0%という状況です。そのために税務調査のターゲットとなる個人事業主を効率よく選定せざるを得ないのが現実です。

おもな調査ターゲットは以下のとおりです。

① 事業が軌道に乗っている個人事業主

目安となる年数は、「創業してから5年くらい」といわれています。根拠は、税務調査でさかのぼって調査できる年数が原則5年だからです。

② 確定申告した内容とデータベースに不自然な差異がある場合

税務署は業種別に利益率などのデータが蓄積されており、コンピューターの判断で調査のターゲットになります。

③ 業績が前年より伸びているのに、現金預金・在庫などのストックが不自然に少ない場合

税務署は所得金額だけでなく、ストックも前年・前々年と比較しています。

④ 所得金額が極端に少ない場合

確定申告の内容から生活が成り立たないと判断されれば、調査対象になります。その判断材料とするため、確定申告書に所得別の収入金額を記載する欄が設けられています。

⑤ 業績が急激に変化した場合

業績が延びた場合だけなく、悪化した場合も調査のターゲットになりえます。実をいうと、税務署も調査対象の選定には神経質になります。キチンと税務調査が実施されているかどうかを、会計検査院がチェックするからです。
(たまたま税務調査のときに会計検査院の話題を切り出したら、調査官は苦笑いしていました)

このように、調査のターゲットとなる個人事業主は意外と幅広いのです。

慌てふためかないよう、日頃からどういうことに気を付けていればよい?

税務調査を受けたことのない個人事業主にとって、税務調査は未知の世界であり、不安感を抱くことは仕方ありません。そのために日ごろの準備が大切です。

具体的にすべきことは、以下のとおりです。


① 脱税志向を持たない

税金を不当に安くしようとする個人事業主をたまに見かけますが、その99%は調査官から見れば幼稚で簡単に、見抜かれてしまいます。むしろ、追徴課税という余分な税金を支払うだけ損です。

② 事業用とプライベートの現金・預金口座を完全に分離する

プライベートの預金口座に収入金額の一部を得意先から振り込ませて、所得隠しをする個人事業主がまれにいますが、マイナンバー制度によってすぐに発覚してしまいます。

③ 支払った領収書を保存して、事業との関連性を説明できるようにする

必要経費になるかどうかは、事業との関連性の有無で決まります。とはいえ、フリーランスのセミナー講師が集客のために美容院で髪型を整える費用を必要経費に落とすのは無理があります。なぜなら美容院費用は、社会通念上はプライベートのために支払うものだからです。つまり、経費とするには常識の範囲内である必要があり、拡大解釈はできません。

④ 税務調査の日程調整はお互いの合意できめる

調査官は忙しいので、希望日を指定してきますが、必ずしも合わせる必要はありません。ただし、税務調査を拒否することはできません。そこことは肝に命じましょう。


⑤ 税務調査の初日に、調査官の身分証明書の提示を必ず求める

税務署を偽る人に個人情報が流出してしまうと、大変な損害につながります。ひとこと伝えるだけで済みますので、くれぐれも忘れないようにしましょう。

ところで、なぜ脱税志向を持たないことが大切なのでしょうか? それは発覚したときのリスクが大きいからです。まず、追徴課税の中でも最も重たいペナルティーである『重加算税』が課されます。

次に、税務調査のターゲットになりやすくなる点です。基本的に調査官は性悪説の思考回路なので、また同じことを繰り返すと判断します。結局、脱税志向を持たないことで税務調査対策の土台となります。

<関連リンク>

白色申告で税務調査が入る可能性はあるのか | 確定申告の基礎知識
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まとめ

税務調査は税理士以外はなかなか経験できないので、一般の方は不安になるかもしれません。しかし個人事業主の不安をよそに、税務署は所得隠しを摘発するために、税務調査を効率よく進めるノウハウを駆使します。

そのために業種別の情報を集めてデータベースにするのはもちろん、法定調書で個人事業主の確定申告対策まで施しています。したがって、個人事業主に税務調査があるのは当然です。しかも、個人課税部門という個人専門の部署が調査を行う以上、脱税は通用しませんのでご注意ください。

TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。

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