外国人向けビジネスの消費税 ~Amazon輸出、Airbnb、免税店における違い

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1.外国人向けビジネスにおける消費税

今年はじめにAirbnbが発表した2016年に訪れるべき地域で「大阪市中央区」がダントツの世界一となり、話題を集めました。2015年に同地域でAirbnbを利用した宿泊者数が前年比7,000%超の伸びを示したというインパクトのある発表でした。

ebay輸出やAmazon輸出など従来からのアウトバウンドビジネスに加え、訪日外国人旅行者数の急増に伴い、インバウンド向けビジネスも活況を呈しています。上記のAirbnbなどを通じた民泊事業、また、いわゆる「爆買い」の恩恵を受けた量販店、百貨店は言うに及ばす、小規模物販においても免税店の許可を取ることにより売上を数倍に伸ばしたという店舗が多くあります。

このような外国人向けビジネスですが、消費税の取扱いはそれぞれの業態によって異なります。今回は様々な外国人向けビジネスの中から、①Amazon輸出などの「越境EC」、②Airbnbなどの「民泊」、そして、③近年、対象商品の範囲が拡大された「免税店」を中心に、消費税の取扱いを概観してみることにしましょう。

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2.消費税の基本的な考え方

消費税は会社の法人税や個人事業の所得税とともに確定申告が必要となる主要税目。基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下など免税事業者でない限り、申告および納税の必要があります。

消費税の仕組みは、売上など資産の譲渡等の際に「預かった消費税」から、仕入代金や経費として「支払った消費税」を控除した差額を納めることになります。売上より仕入や経費が上回った年度、あるいは、事業用建物など大きな買い物をした年度には消費税が還付となることもあります。

また、消費税は国内で消費される場合に課されるものであるため、資産の譲渡等であっても海外向け販売など輸出に該当する場合には免税取引となり、消費税が課されません。この場合には「預かった消費税」がないという扱いになるので、仕入代金や経費に含まれる「支払った消費税」が還付されることになります。

計算方法が上記とは少し異なる「簡易課税」という制度もありますが、今回は上記の基本的な構造を前提にお話を進めていきたいと思います。

3.越境ECの場合

ebayやAmazonなどのプラットフォーム、あるいは自社ECサイトを利用した海外向け販売である越境ECの場合、基本的には輸出免税取引となり、これらを主要事業としている場合には消費税還付の恩恵を受けることになります。

輸出諸掛等を度外視して考えると、税込108円で仕入れた商品を108円で販売した場合、一見、利益ゼロのように思えますが、事後的に仕入にかかる消費税だけが還付されますので、その分が利益になると考えることもできます。

ここで留意しないといけないのは、消費税還付の恩恵を受けられるのは消費税の課税事業者だけという点です。基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下の場合など、免税事業者となっている場合には消費税の還付はありません。

もし、最初から輸出メインの事業であると分かっている場合は、所轄税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、あえて課税事業者を選択するという方法もあります。

4.民泊の場合

最大手のAirbnb、ホテル予約サイトExpedia傘下に入ったHomeAway、中国版Airbnbの異名を持つ自在客などのバケーションレンタル・プラットフォームを通じた民泊事業が注目を集めています。これに伴い、国家戦略特区法による旅館業法の適用除外、あるいは旅館業法(施行令)自体の改正など規制緩和が進められています。

それでは、訪日外国人旅行者に対してこのような宿泊サービスを提供した場合、消費税の取扱いはどのようになるでしょうか。一般的に、非居住者に対する役務(サービス)提供には輸出免税の規定が適用されます。しかし、非居住者が「国内において直接便益を享受するもの」については輸出免税の対象とはなりません。

つまり、日本国内でサービスの便益を受けてしまうようなもの、たとえば、飲食店、電車・バス、映画館、美容室といったサービスについては輸出免税とはなりません。宿泊サービスもこの「国内において直接便益を享受するもの」に該当しますから、民泊事業は消費税免税の恩恵を受けられないということになります。

5.免税店の場合

「免税店」や「免税ショップ」という言葉は、街中のドラッグストアや量販店などのTax Free Shopを指す場合と、国際空港内などで見られるDuty Free Shopを指す場合の両方に使われています。

前者のTax Free Shopは消費税法上「輸出物品販売場」と呼ばれ、消費税が免税になる店舗のことをいいます。これに対して、後者のDuty Free Shopは消費税だけでなく、関税、酒税なども免除される関税法上の保税地域に設置される店舗です。

ここでは、前者の免税店(輸出物品販売場、Tax Free Shop)について説明します。免税店として消費税が免除されるためには所轄税務署に「輸出物品販売場許可申請書」を提出して許可を受ける必要があります。その上で外国人旅行者等の非居住者に一定の手続にしたがって販売する必要があります。

平成26年10月1日より飲食料品、医薬品等の消耗品にまで対象範囲が拡大されました。消耗品の場合には、買い上げ品に、開封すると開封済みであることが分かるような包装をしなければなりません。国内でありながら海外に物品を輸出しているのと同じような状態になります。したがって、免税店を運営する事業者は越境ECの場合と同じように消費税還付の恩恵を受けることになります。

<関連リンク>

「爆買い」さらに増える? 訪日外国人旅行者の免税制度が拡充へ
消費税の輸出免税│国外で消費されるものは免税

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。同じ外国人向けビジネスと言っても、消費税の取扱いはそれぞれ異なることがご理解いただけたかと思います。なお、上述のDuty Free Shop(保税免税店)は国際空港内だけでなく、沖縄の市中にも店舗が存在しています。さらに2016年1月には三越銀座店内に「Japan Duty Free GINZA」がオープンしました。

今後も外国人向けビジネスの環境は、規制緩和なども含め、大きく変わっていくものと思われます。そのような環境下でビジネスを考えるにあたっては、見かけの利益率だけでなく、消費税の影響まで含めた採算性の判断が重要となりそうです。

2001年、公認会計士2次試験合格後、大手監査法人、中堅監査法人(国際的会計事務所のメンバーファーム)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。

マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。監査法人時代には、国内はもとより、タイ、シンガポール、マレーシア、香港、昆山、深セン、上海等への出張も多く、現地工場、販社における原価計算、在庫管理、債権管理、資金管理等の検証や各国制度に関する情報収集に努めた。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。財務会計を中心としたアドバイザリーサービスを提供。

【著作】
税務経理協会『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』太陽ASG有限責任監査法人/グラントソントン太陽ASG税理士法人編  ※第6章「減損会計」執筆
事務所名:北川 ワタル事務所

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目次

  1. 法人にも確定申告って必要なの?
  2. 法人税とは
  3. 法人の確定申告の全体的な流れ
  4. まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
  5. 法人税の申告書類の作り方
  6. 作成した申告書を提出して納税する
  7. 最後に
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