freeeが語る「経理効率50倍」の実際

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freeeの広告の1つに、「経理効率50倍」というものがあります。いったい何がどうして効率50倍なのか、IT業界と税理士業界の両方を知る筆者が、具体的な例を基に紐解いてみたいと思います。

これを読んでいただければ、小規模な事業所にとって、freeeの活用がどのように経理業務の効率アップにつながるかのイメージを持てるはずです。

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0)はじめに

はじめに、私がfreeeに感じているシステム的な感覚について触れておきます。筆者がどっぷりIT業界にいた2000年初頭、業務システム設計の基本として「発生源入力」と「シングルインプット」という言葉が流行っていました。

たとえば経費精算をする人が経費精算のために入力したデータ(発生源入力)が、会計システムでそのまま使われる(シングルインプット)という、業務の流れと会計データの流れを一致させることが、業務効率化を実現する上で重要視されていました。

営業が発行した請求データが、そのまま会計データになる。仕入発注者が発行した発注データが、そのまま会計データになる。例を挙げるとキリがありませんが、とにかく会計システムは、最終的な業務データが蓄積される、業務統合システムの核となる位置づけでした。

業務を行う発生源でデータを入力する事と、データ入力は会社全体で1回のみにすることを徹底することが非常に重視されたわけですが、freeeを見ていると「連携」技術を使って、「発生源入力」と「シングルインプット」の発想が色濃く根付いていると感じます。

さらに約20年が経過した今、「シングルインプット」は一部「自動インプット」に進化しています。具体的にみていきましょう。

1)業務をすることで会計データが入力される仕組み

通常税理士が顧問先の経理をチェックするとき、損益計算書で言えば、売上→仕入→販売管理費といった順番で物事を見ていく習性がありますが、これは業務の流れで会計データを見ているからです。ここでは理容師・美容師業(以下理容師業等)を例にとって、業務の流れに沿いながら説明していきます。

①売上データ取込のポイント

理容師業等の場合、売上高としてはレジの現金取引、クレジットカードによる信販取引、そしてホットペッパー等のポイント取引が発生します。これら複数の売上取引について、Airレジなどのレジシステムを通じたfreeeへのデータ取込が可能です。レジに関しては、サロン管理等も含めた専門性の高いサービスがありますが、これらレジシステムからの売上情報をfreeeは取り込みます。

レジのデータは、現金売上、信販売上、ポイント売上が区別して集計されています。最初に、この売上データの連携についてポイントをお伝えします。

まず、信販売上データはレジデータから計上しないことと、ポイント売上は売掛金として計上するように設計することが必要です。ポイント売上は通常そのままの額がポイント発行会社から入金されるため、入金があったときに売掛金を消し込むことができます。

信販売上については、信販会社へ支払う手数料の経理が必要になるので、レジシステムの信販売上データは無視して、信販会社が提供するデータを取り込む必要があります。信販会社からデータ連携すれば、売上の発生日に、その都度売上高が計上されます。また、信販会社の手数料もその都度計上され、差引残高が売掛金として積みあがっていきます。

そして信販会社から入金があったタイミングで売掛金が消し込まれまる、という流れになります。信販会社の手数料の仕訳も自動で行われますが、その際にきちんと消費税は非課税として処理されるという心憎い配慮もされています。

また、経理データを後の経営分析に役立てる視点から、売上区分毎に品名を分けて登録することも必要です。特に現金売上の計上については、少なくとも技術売上と物販売上は別品目で計上するように設計すべきです。これもfreeeであれば一度登録すれば取引区分毎に品名等の設定を覚えてくれるので、経営者は入力についてそれほど意識する必要はありません。もっとも、売上データの分析についてはレジシステム側で顧客分析や地域分析も含めて行えるものもあり、会計データでどこまで分析を行うかは経営者判断ということになります。

ここまでで、売上計上について、データ入力という作業が発生していないことに注目してください。

②仕入データ入力のポイント

次に仕入についてですが、期中の発生主義経理を実現したい場合、仕入高の計上については、どうしてもデータ入力作業が必要になります。理容師業等において、細かな代引き等の現金払いのものを除けば、仕入は通常15日や20日締め、翌月払いとります。

これらについては、会計データの経営への活用という観点から、お金を支払った月ではなく、実際に仕入を行った月に発生主義に基づいて計上しておきたいところです。仕入先は10~20件程かと思いますが、仕入請求書を基にシステムで未決済の取引として登録していくことで、買掛金が認識されます。

仕入先に対する支払は銀行振込などで行うと思いますので、銀行の勘定データを取り込む際に、買掛金毎に消込を行うことができます。この時、取引先毎に確認しながら買掛金の消込を行うので、freee上で支払の管理を行うことができます。

大切なのは請求書ベースで発生時に買掛金を計上することなので、経営者が発生月に買掛金計上を行えば、税理士事務所はその入力データを基に、買掛金の消込経理を行うことができます。買掛金の消込が終わると、未払い状態のものだけが支払管理レポートに残ることになります。

この残高と、証憑である仕入請求書の残高をチェックすることで、買掛金残高が正しい事を確認していきます。仕入については、小規模事業所では多くの場合発注システムが存在しないため、データの入力作業が必要になりますが、ここでも会計システム上1度のみデータを入力する「シングルインプット」になっていることに注目してください。

③販売費及び一般管理費データの取込・入力のポイント

また販管費についてですが、freeeの良さを最大限引き出すためには、クレジットカードや振込での支払いを使って、現金による取引を最小限にすることがポイントとなります。

また、個人事業主の方であれば、必ず事業専用のクレジットカードを作り、個人的な消費が事業用の会計帳簿に出てこないようにすることがポイントです。クレジットカードのデータは、実際の使用日に費用計上と未払金計上が行われることで未払金が累積していき、銀行からの引き落とし日に未払金の消込が行われるという流れになります。

このように、費用計上についても発生主義経理を、手間をかけることなく徹底できることになり、より有用な経営情報を迅速に提供できることにつながっています。また、税理士事務所と連携する上でより効率的な経理を行うために、事務用品・消耗品はたとえばアスクル、書籍等はAmazonと、費目ごとに取引先を分けてしまうことも有効です。

クレジットカードは1つで十分ですが、freeeはこれらネット取引の明細も取り込みます。2重計上を防ぐための設計さえきちんと行えれば、これらネット系の明細を取り込むことも経理効率化につながります。

最後にどうしても残ってしまう現金取引ですが、ここまで経理を設計してくると、残る現金取引は、①コンビニなどでのちょっとした買物、②交際費のようなワリカンの参加費等、③店舗での小口現金程度に絞られます。

このうち①については、nanacoカード等の電子決済取引であればデータ取込できるので、残り②と③のみが残ることになります。③の小口現金については、従業員に一旦立て替えてもらう経費精算制度を導入すれば、freeeの経費精算機能を使って従業員にデータ入力してもらうことができますが、小規模な店舗ではそこまでする必要はなく、小口現金を事業主が管理しながら、②の電子決済できない現金支出と合わせて入力していけば事足ります。

また、販管費の中の重要な項目として、給与等の源泉徴収事務が発生する経理もありますが、これもfreee給与を使えば給与計算という業務を行うことによって会計データの入力を完了できる、発生源入力、シングルインプットの思想が活きた設計になっています。

もっとも、どこまでやるかはやはり経営判断なので、税理士事務所に手書きの給与台帳を提供して、源泉徴収事務、法定調書合計表の作成含めて委託してしまってもよい領域かと思います。

④その他のポイント

販売管理費以外で入出金があるものとしては、補助金収入などの特別な利益や、借入金の返済利息などの営業外の支出が考えられます。ただ、これらは銀行を経由した取引になるので、補助金の支給決定通知書や借入返済表などの現物証票類さえあれば経理作業としては問題なく、税理士事務所側で圧縮記帳等の処理を行うことができます。

また、個人事業主の場合、家事按分の問題が発生します。自宅の一部を事務所として使っている場合などは一部個人消費を含む支出を事業用口座から支出する必要があります。また、確定申告を意識した経理を行う必要があるので、健康保険料や国民年金等の控除項目になる出費を事業主勘定としてfreeeに入力しておくことも有効です。

特に税理士事務所へ依頼する場合、外部にいる税理士が控除項目を漏れなく認識する必要があります。これらの確定申告に関わる支出項目については、経営に関係ないデータであっても、あえて事業用口座から支出することで、確定申告業務がより効率的になります。

2)freeeの「業務効率化50倍」を実現するためのポイント

以上freeeを使った会計を設計してきて、筆者が実際にやっていることを説明しました。

ここで挙げた例はレジ売上が発生する業種ですが、請求書を発行する業種においても発生源入力、シングルインプットの思想が業務効率化の上で重要になります。具体的にはfreeeで請求書を発行すれば、それがそのまま売上データ・売掛金データとして経理されます。

筆者の経験上、一人親方業や、税理士のような士業は業務としての請求書発行を行うことで、売上高の経理が完了します。売上高については漏れなく正確に、証票類とセットで計上することが特に求められます。税理士事務所においても売上高は重点的にチェックする項目ですので、請求情報を外部税理士事務所と共有できることは、随時売上と入金のチェックを行うことに繋がり、双方にとって大きなメリットになります。

最後にfreeeを使って「経理効率50倍」を実現するためのポイントをまとめておきたいと思います。

  1. 売上についてはfreee連携ができるレジ・もしくはcsv出力できるレジを選ぶこと
  2. 請求書を発行する業種についてはfreeeで売上請求書を発行するか、freeeと連携できる請求書発行システムを選ぶこと
  3. 仕入については事業主が仕入請求書を基にfreeeへ入力を行う必要があること(仕入だけは連携するデータがないことが多い)
  4. 販管費についてはクレジットカードなどを利用し、現金取引をできるだけ少なくすること
  5. 個人消費と事業経費を明確に分けること。ただし、個人的な支出について、健康保険や国民年金など、確定申告に関係するものは敢えて事業用の銀行やクレジットカードから支出し、会計データとして認識できるようにすること
  6. 経営のための会計を、好きになること

最後のポイントについて、とても重要なことなので追記します。実は経理効率が上がることで最も重要なことは、単に経理作業に手間がかからなくなることではありません。テクノロジーを使って経営数値が迅速に提供され、それが視覚的なデータとして提供されることで、会計が好きになることが重要です。

freeeは単なる確定申告のためだけのシステムではありません。日々提供される会計データを使って、視覚的に売上分析や仕入分析を行ったり、経費削減分析を行ったりすることができます。

会計を好きになるということは、会計データを経営に活かすことにつながっていきます。会計が好きになれば、より強い経営が実現できるはずです。この会計がもたらす経営への寄与度を加味たうえで、各ユーザーが「経理効率50倍」を評価してほしいと思います。

上智大学卒業後、日本オラクル㈱にて会計パッケージの13社同時展開プロジェクトを経験後、携帯キャリア会社、自動車メーカーの担当マネージャーとして多くのプロジェクトに携わる。同社退社後、米国ベンチャー企業を経て2007年に税理士事務所へ入所、その後2015年3月税理士登録、現在に至る。

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目次

  1. 法人決算と提出処理
  2. 会計ソフトの目的
  3. freeの特徴
  4. 日々の経理におけるfreeeの操作方法
  5. freeeを使った収支分析
  6. 決算申告に必要な作業
  7. freeで行う決算書作成
  8. 税理士の役割
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