算定基礎届は給与担当者泣かせ? 給与ソフト開発者にややこしさと面倒くささを解説してもらった

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算定基礎届は、社会保険の保険料を決める標準報酬月額を見直すため、年に1回の提出が必要です。4月から6月に支払った賃金から一カ月あたりの平均賃金を計算し、その金額を保険料額表にあてはめて算出します。

実際に支給される報酬は毎月変動するわけですが、社会保険料やそれぞれの給付額の計算式や条件パターンはじつに面倒です。その手間を省くために計算用の枠を設け、これを「標準報酬月額」として算定の基礎としています。

標準報酬月額とは、実際の報酬額とかけ離れることのないように、年ごとに行われる見直し作業、いわゆる「定時決定」の際に提出する届出書のことです。算出したら、結果を書類に転記し年金事務所や健康保険組合に送り返す必要があります。

そこで、freeeの給与ソフト開発者に「算定基礎届」をじっくりと説明してもらいました。

職種とか業界で計算式変わる?全国一律?都道府県で差はない?

――社会保険料って、住んでいる場所で計算式が異なることってありますか?

厚生年金は全国一律ですけど、医療保険・介護保険は都道府県で計算式が異なったりします

――せこい話ですが、けっこうな差があるんですかね?

それほどでもないです。最大でも0.5%違うくらい

――じゃあ、「保険料率が低い場所に引っ越ししよう!」と考えるほどではないですね

はい、その必要はないです(笑)

――では、性別や年齢で変化はあります?給与額のみで計算されると考えればいいですか?

純粋に給与額で決まります。等級ってのがありまして、給与の合計金額で等級が決まります

――等級っていわばゾーンですよね?つまり、上の等級に上がるかどうかギリギリにいる人は、給与がちょっと上がるだけで1段階等級が上がってしまう可能性が…

ありますね。そうなると、支払う額が増えてしまいます

――「4~6月は、等級が上がりすぎないよう意図的に残業しないほうがよい」って言われるじゃないですか。あれって本当ですか?

本当です。仮にその3か月に残業しまくると、等級上がってしまう可能性があります。後ろ(7月以降は)は気にしなくてよくって、4~6の3か月で金額が決まるわけです

――算定基礎届は月額でもらった給与で決まるとのことですが、住宅補助等の手当も含まれますか?

含まれます。もちろん、残業代もです

――じゃあ、算定基礎届の等級を上げないためには、4~6月だけは残業しなければいいんですね

理論上はそうですね。ただ、そんなに都合よく残業をコンロトールできる勤め人がいったい何人いるのか甚だ疑問ですが(笑)

――たしかに…。ところで、社会保険は性別は関係ないんでしたっけ?

性別は無関係ですが、年齢はじつは関係しています。年金、医療保険に加えて、新たに介護保険が40歳から始まります

――あ、私も介護保険払ってます。あれって、これまでの社会保険に対して、純粋に追加で負担が乗るかんじですよね

ですね。40歳になった翌月から支払いが発生します

――待ったなしで負担増加になるんですね…

算定基礎にかかる計算&作業の手間暇は誰が負担している?

――算定基礎届ってサラリーマンだけの話ですよね?個人事業主とか経営者はまた違いますよね。

サラリーマンだけの話ですよ。つまり、事業所からお給料もらう人の話です。厚生年金、健康保険、(医療保険、介護保険)に限ります

――素朴な疑問なんですけど、算定基礎届の計算って誰がやってくれているんでしょうね

給与担当者ですね。6月になると郵送で資料がドッサリ届くので、それを片っ端からやっつけていくかんじです

――郵送の資料ということは……手書きでやるのが基本ですかね

そうです。その資料を見みながら算定基礎届の紙を印刷して、全社員分の数字を書き込んでいくんです

――それを1つ1つ計算して処理していかねばならないと?

気が遠くなりますよね。6月って給与担当者にとっての繁忙期でして、しかも労働保険の年度更新もからむんですね。住民税とか

――給与担当者はダブルで忙しいわけだ

ええ、数字を間違えたら年金事務所、健康保険組合から「もしかして、こうじゃないんですか」って電話での問い合わせが来ますしね

――給与担当者も間違えちゃうことがあるんですか?

あります。パートの計算で間違うことが多くって、見落としてしまうんですよ。というか、そもそもパートは異なる計算方法があることを認識していない担当者もいらっしゃって、むしろそのケースのほうが多いかもしれません

――そんなに間違えやすいことなですかね。それともパートが特殊ケースだったりするとか?

厚生労働省のパートタイマーの定義と、その会社の就業規則上のパートタイマーの定義が異なるため、給与担当者も誤ってしまうことがあるんです

――なにそれ、ややこしい……

じゃあ、誰が厚生労働省の定義するパートタイマーを指すのかと言われると、特に厚生労働省におけるパートタイマーは「こう定義する」といったカッチリした通達はないんです

――……えっと、そもそもパートさんってちゃんと定義されていない?

じつはパートの定義はあいまいで、はっきりしてません。法律的には「週35時間未満働く人」をパートタイマーと呼ぶのですが、会社独自でパートタイマーを定義していると、手続きのパートタイマーの定義と違ってしまうことがあるのでミスを犯しやすい部分なんです

――どんなに注意しても、ヒューマンエラーが起きそうですね。で、すべての資料が整ったとして、算定基礎届の書類ってどこに提出するんですか?

年金事務所と健康保険組合に出せばOKです(ただし、協会けんぽの場合は年金事務所に提出すれば、健康保険の等級変更も処理してくれる)

――大企業の場合でも、給与担当の人がシャカリキになって送り返しているんですか?千人単位の会社の担当者って、段ボールを抱えて郵便局に行きはしないですよね

それはないです(笑)。大きい会社は、社労士さんにお任せすることが多いです

――でも小さい会社だと?社労士さんがいないと自分らでやるしかない?

そうです。社労士さんにお願いしていない中小企業や零細企業はたくさんあるので、自分で手を動かすしかない給与担当者はごまんといます

――給与担当者さんって、大変なんですね…

でも、一般社員は算定基礎届は意識はしなくOKです。なぜなら、給与担当者(とか社労士)が必死にがんばってくれるから

――そっかー、じゃあわれわれ一般社員は給与担当者に感謝しなくてはいかんですね(笑)

そのとおりです。「給与事務なんて、どーせお気楽な事務作業しかやってねーんだろ」なんて、思っちゃダメですよ(笑)

この手間暇のせいで、誰の時間がどれくらい失われている? 軽減する方法は?

――ここまで話を聞いて、「算定基礎届の計算とか集計作業は超絶に面倒くさい」ことがわかりました

はい、むちゃくちゃ面倒です。給与事務をされている担当者なら激しく同意してくれるはず

――ここから少々あからさまに自社商品をとりあげますけど、年金事務所に提出する資料は、freeeの月額変更届・算定基礎届の機能を使えば、ボタン一つで計算してくれるのだとか?

そうです。全部計算して、入力された資料がPDFで印字されて出てきます

算定基礎届

――あら素敵、印刷して使ってねってことですね

そうです。通常は表紙、総括表、アンケートなどまとめて返送するんですけど、A4の用紙1枚に5人の社員名が記載されます。ですので、社員30人なら6枚PDFが生成されます。

――計算が不要になるってことは、人力で計算しなくていいわけか。給与事務担当者には朗報なのでは?

そうなんですよ。しかも、特殊ケースもカバーしてくれます

――特殊ケース?さっきのパートさんの話でしたっけ

そう、中途入社、パートもfreeeが見分けてくれるんです。つまり、計算ミスが起こらない。さらに、十分な日数を働いていない場合は通常とは違う計算方法になるんですけど、freeeはそのケースも自動で判定してくれるんです

――すごいじゃないすか

算定基礎届

入社年月日、パートとかの属性も自動で挿入してくれます。中途入社で「6月だけが算定基礎届の対象ですね」って場合、ちゃんとそのこと書いて提出すべきなんですが、従来だとここを記入漏れしたまま提出することもあって、そうすると組合側の担当者に「なんで?どういうこと?」と思われて電話が来ることもあります

――給与担当者は「ごめーん、じつはかくかくしかじかで…」って説明対応に追われることになる、と

そうです。よって備考情報は地味なんですけど、書き漏らせない必須事項なんです

――自動化されれば、担当者は特殊ケースを考えなくてよくって、解放されるわけだ

それが省略されるだけで、事務所と担当者の双方の時間と労力が浪費されなくて済みます

――ちなみに手書き作業だけでいうと、freeeを使うことでどれくらい作業が軽減されます?

肌感ですけど、5分の1になるかなと。まあ、一概に言えないんですが、人数が多いほどメリットを享受できますよ