会社員の給与の所得税、計算方法を分かりやすく解説します

給与

収入のあるところ課税有りの言葉通り、給与からは所得税が引かれます。

日本の企業では、給与日は毎月1回のところがほとんどです。受け取る方も、給与日が近くなると何だかソワソワしてしまいます。さてその給与ですが、明細を見ると何だか色々引かれています。よく「手取り」と言いますが、引かれた後の「実際に自由に使える金額」のことを言います。

色々ひかれるものの代表に所得税があります。どんな計算方法で計算されているのか、知っておきましょう。

目次:
第1章 全般的なこと
1)給与にも締日と支払日があります。
2)扶養家族について
3)給与から差し引かれるもの
4)給与所得に含まれるもの
5)給与所得控除額について

第2章 月々と賞与時の計算方法
6)月々の給与の所得税の計算方法1:月額表甲欄の場合
7)月々の給与の所得税の計算方法2:月額表乙欄の場合
8)賞与の所得税の計算方法

第3章 年末調整で1年分の所得税を精算します
9)年末調整とは
10)年末調整を行う時期
11)給与の所得税についての考え方(収入と所得について)
12)給与の所得税についての考え方(所得から控除されるもの)
13)所得から控除されるものについて(社会保険料)
14)所得から控除されるものについて(小規模企業共済)
15)所得から控除されるものについて(生命保険料)
16)所得から控除されるものについて(地震保険料)
17)税額控除されるもの

最後にまとめ

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第1章 全般的なこと

:1)給与にも締日と支払日があります。

企業では色々なお金の動きに、締日と支払日を設定しています。毎日色々なものが動いていく中で、その都度支払いをするのは合理的ではないからです。

給与にも同様に締日と支払日があります。給与は社員の生活費ですので、締日と支払日は比較的近く、1週間から10日程度に設定されているところがほとんどです。月給制の場合などは、基本給部分は当月払いで、残業や休日出勤は翌月払いと決めているところもあります。

そのように月給制や日給制、時給制と給与の支払い方は様々ですが、所得税の計算方法の基本的な部分は同じです。なお、税金上では給与所得という言葉を使います。

給与担当者あるある:
時給制から月給制へ移行することがよくあります。試用期間は時給で、正式採用になって月給になるようなケースです。この時、勘違いが生じる人がいます。実例を挙げましょう。

4月1日採用、6月末まで試用期間で、7月1日から正社員になりました。

  • 時給の時は 前月16日から当月15日で締め切り、当月25日支払いです。
  • 月給になると、基本給部分は当月分を当月25日支払い、残業は前月16日から当月15日分までを25日基本給部分と共に支払います。
  • 従って、7月25日の給与日には、6月16日から6月30日までの時給計算の給与と、7月分の基本給部分(残業はしなかった。)とを合算して振り込んでいました。

このようにして適切に支払っていたのですが、その人が翌年の3月で退職しました。退職後しばらくして本人から、最後の給与が支払われていないと電話がありました。4月25日に3月分の振り込みがあると思っていたようです。担当者が確認しましたが、適切に処理されています。本人にもう一度7月分の給与明細で確認するようお願いして電話を切りました。

翌日はその人の父親から、その次の日には母親から電話がありました。同じ説明を繰り返すのですが、どうも納得してくれません。「給与明細なんて捨てた。もらっていないのは確かだ」と繰り返します。銀行の通帳で7月分の金額とその他の月の金額を比較してもらって、どうにか分かってもらえました。このような締日の勘違いは結構あるようです。締日が変わった時に一言添えるのが親切かもしれません。・・・あーあ。疲れる。

:2)扶養家族について

会社に勤めるにあたって、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」という書類を提出します。奥様(控除対象配偶者と呼びます)や16歳以上の扶養家族(扶養親族等と言います)がいる人は、扶養の人数等によって所得税が変わってきます。16歳未満の子供は児童手当の関係から、下部にある住民税に関する事項の欄に記入します。

控除対象配偶者と扶養親族等については、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」の裏面に説明があります。該当するかどうかの判断に役立ててください。

給与担当者あるある:
扶養家族の数で所得税が大きく違ってきます。奥様がパートで働いているときなど、会社の方で把握しにくい場合があります。基本的に本人からの申告に従って処理しますが、ときどき税務署から扶養家族の修正と所得税の追徴が来ることがあります。申告のウソはいつかばれますから、正しく申告してもらいましょう。

:3)給与から差し引かれるもの

給与から天引きされるものに、社会保険料と所得税があります。その他に会社によっては給食代や車通勤の場合の駐車場代などもありますが、所得税の計算に関係してくるのは、社会保険料です。

社会保険料には、厚生年金保険料と健康保険料、雇用保険料の3種類があります。健康保険料と厚生年金保険料は給与の金額に応じて等級と保険料が決まり、雇用保険料は給与に一定の掛け率を掛けて求めます。

給与の支給額から社会保険料の合計額を引いた金額を元に、月々の給与や賞与時の所得税額を導き出します。

:4)給与所得に含まれるもの

給与所得には、通常給与と言われるもののほかに、諸手当や現物支給のものも含まれます。

◎ほとんどの人が貰っている通勤交通費も(定期券の現物支給も同様です。)、金額によっては所得税課税の対象になります。
・公共の交通機関又は有料道路を利用して通勤する人は、1カ月の定期代等が10万円を超えた部分が課税の対象になります。
・自転車や車通勤の人は、通勤距離によって課税されない金額が違ってきます。この人達については、通勤距離の把握も必要になってきます。
◎年間の優良社員表彰などで現金や商品券を渡した場合なども、所得税の対象となります。
◎食事の支給については、食費の半額以上を本人が負担した場合は、課税の対象になりません。
◎社宅や寮の貸与については、一定の算式に基づいた賃借料を社員が負担していれば課税の対象にはなりません。(役員に貸与している社宅がいわゆる豪華社宅であった場合は、通常考えられる賃貸料によって判断されます)
◎結婚祝い金や香典、災害見舞金は現金を渡しても、社会通念上妥当な金額であれば課税の対象にはなりません。

給与担当者あるある:
アパレルメーカーで、百貨店の販売員をたくさん抱えている会社です。正月三が日に出勤した人には、「お年玉」として現金を支給していました。所得税の処理のために、給与明細上で「その他支給額(課税)」「その他控除額(非課税)」としていました。プラス・マイナスで給与明細上は0円ですが、先に現金を渡していますので、本人には現金分がプラスです。

給与明細を見た本人から電話がありました。「この控除は何ですか?あのお年玉は結局自分で払ったのですか?」・・・「ちょっと待ってください。その他支給額がありますよね」と、上記の説明を繰り返したのですが、「じゃあ、あのお年玉は銀行からもらったんですね!」と、電話を切られてしまいました。・・・あーあ⤵。それからはこのようなケースの時は、説明文を入れるようにしています。分かってもらえているかどうかは、疑問ですが・・。

:5)給与所得控除額について

源泉徴収をするときは、その年1年間の給与等の収入の合計額から、給与所得控除額を引いた金額に対して課税することになっています。給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて次のように定められています。
 
給与等の収入金額 給与所得控除額
162万5,000円以下である場合  65万円
162万5,000円を超え180万円以下  収入金額×40%
180万円を超え360万円以下  収入金額×30%+18万円
360万円を超え660万円以下  収入金額×20%+54万円
660万円を超え1,000万円以下  収入金額×10%+120万円
1,000万円を超え1,200万円以下  収入金額×5%+170万円
1,200万円を超える場合  230万円

しかし、月々の源泉徴収事務には、「給与所得の源泉徴収税額表」の月額表や日額表を使用します。この月額表や日額表には、あらかじめ給与所得控除相当額が織り込まれていますので、月々の計算の都度この給与所得控除を計算する必要はありません。

また年末調整をするときには、これらとは別に「年末調整のための算出所得税額の速算表」や、「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」などを使用して、その年の源泉徴収税額を求めることになります。

第2章 月々と賞与時の計算方法

:6)月々の給与の所得税の計算方法1:月額表甲欄の場合

月々の給与時の所得税は、「給与所得の源泉徴収税額表」(月額表及び日額表)を使用して求めます。「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」を提出している人は、月額表の甲欄を参照します。2カ所以上から給与を貰っていて、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」を別の会社に提出している人は、乙欄になります。

月額表甲欄の使用例を上げてみます。
*「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」を提出している人
  ア)給与の金額(月額)    415,000円
  イ)社会保険料合計額      58,300円
  ウ)扶養親族2人(控除対象配偶者有り・控除対象扶養親族1人)

①社会保険料控除後の金額を求めます。
  415,000円-58,300円=356,700円

②月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額欄」から、該当する行を求めます。
 この場合は、「356,000円以上359,000円」の行になります。

③扶養親族等の欄から2人を選び、②の行と交わる部分に記載されている金額になります。

④この場合は、7,450円となります。この金額が、その月の給与から差し引かれる源泉所得税及び復興特別所得税の金額です。

このように税額が出ましたら、源泉徴収簿へ記入しておきます。記入する項目は、給与の支払い額、社会保険料等の控除額、社会保険料等控除後の金額、扶養親族の数、算出税額、徴収税額です。この数字を積み上げていって、年末調整の資料に使います。

:7)月々の給与の所得税の計算方法2:月額表乙欄の場合

月額表の乙欄を使用する人は、2カ所以上から給与を貰っている人などで、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人です。ダブルワークをしている人は、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」は1カ所の勤務先にしか出せませんので、どちらかの勤務先で月額表の乙欄で源泉徴収されることになります。

月額乙欄の使用例
  *「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」を提出していない人
   ア)給与等の支払い額(月額)     80,750円
   イ)給与等から控除する社会保険料   なし

①給与等から社会保険料を引かれていませんので、支払い額がそのまま社会保険料控除後の金額になります。

②月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額欄」から、該当する行を求めます。
 この場合は、「88,000円未満」の行になります。

③その行の乙欄を見ますと、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額の3.063%に相当する金額」となっています。

④80,750円×3.063%=2,473円(円未満は切り捨て)が求める税額です。

この場合も、源泉徴収簿へ必要事項を記入しておきます。「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」の提出が無い人は、年末調整はできませんが、源泉徴収票の発行は必要になります。日額表の使い方も月額表と同様です。

:8)賞与の所得税の計算方法

賞与時の所得税の計算方法は、月々の給与の時と少し違ってきます。「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」が提出されている人の計算方法です。賞与に対する所得税率は前の月の給与の額が関係してきます。例を上げてみましょう。

*「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」を提出している人
  ア)賞与の支給額               554,000円
  イ)賞与から控除する社会保険料合計額      78,790円
  ウ)前月の普通給与の社会保険控除後の金額   200,820円
  エ)扶養親族の数                  2人
(控除対象配偶者あり、控除対象扶養親族1人)

①「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用します。

②「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の甲欄の「扶養親族等の数2人」の欄を見ます。

③前月の普通給与の社会保険控除後の金額200,820円が含まれている「133千円以上269千円未満」の行を探します。②と③が交わるところに記載されているのが、賞与に掛ける税率になります。今回の例では、2.042%になります。

④給与の時と同じように、賞与の支給額から、社会保険料を引いた金額
 554,000円-78790円=475,210円に、2.042%を掛けた9,703円が賞与に対する所得税額になります。この場合も、1円未満は切り捨てます。
※賞与では社会保険料も賞与額から算出しないといけないので、エクセルで計算式を入れたものを作っておくと便利です。

第3章 年末調整で1年分の所得税を精算します

:9)年末調整とは

このようにして、月々の給与とそれに対する所得税が積み上がっていきます。1月1日から12月31日を1年として、1年分の所得税の精算をするのが、年末調整です。給与所得控除に関しては、月々の所得税の計算に使用する月額表に盛り込まれていますが、1年の中で扶養親族の増減などもありますので、年末調整で精算しましょう…と言う考え方です。

ですので、年末調整は大部分の給与所得者にとって、確定申告の役目を持っています。なお、医療費控除などを受けようとする人は、自分で確定申告をする必要があります。

:10)年末調整を行う時期

年末調整は、原則としてその年の最後に給与等を支払う時に行います。毎月の給与の支払い日が10日で年末の賞与が15日の場合は、12月の賞与時に行います。給与の支払い日が25日で、賞与が15日に支給される時は、12月の給与の支払い時に行います。

しかし、計算の都合上給与や賞与に含めずに別個に精算する会社もありますし、1月の給与時に精算する会社も有ります。どちらも認められている方法です。その年の途中で不幸にもなくなった人や、海外への転勤などで日本に住まなくなった人は、その時点で年末調整を行います。

:11)給与の所得税についての考え方(収入と所得について)

毎月の給与から差し引かれる所得税ですが、月々の所得税は概算で引かれていると思ってください。それを精算するのが年末調整になります。基本的な部分を理解すれば、年末調整の作業も簡単に処理できます。

まず覚えていただきたいのが、収入と所得の違いについてです。簡単に言えば、入ってきたものが収入で、様々な控除をした後の金額が所得です。給与明細で言えば、基本給や各種手当を合計した支給合計額から通勤交通費の非課税部分を除いた金額が収入になります。その金額から社会保険料を引いた金額が所得と考えてください。ですので、この所得に対して所得税がかかります。

:12)給与の所得税についての考え方(所得から控除されるもの)

給与所得から控除されるものに給与所得控除が有ることは、見出し5で述べました。その他にも次にあげるものが控除されます。代表的なものの説明は、次項でしていきたいと思います。

  • 社会保険料・小規模企業共済等・・・次項で詳しく説明します。
  • 生命保険料・・・次項で詳しく説明します。
  • 地震保険料・・・次項で詳しく説明します。
  • 配偶者特別控除・・・配偶者控除の対象とならない配偶者で、所得金額によって控除額が決まります。
  • 障害者控除・・・本人が障害者の場合と、親族等が該当する場合が適用されます。
  • 寡婦控除・・・本人が該当する場合に対象になります。特別の寡婦に当たる場合も有ります。
  • 寡夫控除・・・本人が該当する場合に対象になります。
  • 勤労学生控除・・・本人が該当する場合に対象になります。
  • 配偶者控除・・・給与所得者と生計を一にする配偶者で所得が38万円以下の人。
  • 扶養控除・・・給与所得者と生計を一にする親族等で所得が38万円以下の人。
  • 基礎控除・・・これはみんなに当てはまります。

以上が所得から控除されるものです。直接税額から控除される税額控除に、

  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除

があります。

:13)所得から控除されるものについて(社会保険料)

普通、会社員は給与から社会保険料が控除されています。これは間違いなく本人が直接払ったものですし、金額についても会社の方で把握できています。

年末調整の時に「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」が配られます。これは、主に生命保険料控除の書類と思っている人が多いですが、右下の方に「社会保険料控除」の欄があります。

年度の途中に入社したような場合、入社前にどこかの会社に勤めていた人は、その会社から退職の日までの源泉徴収票を添付すれば、この欄は記入しなくても良いです。しかし、入社前は学生であったり自営業であったりして、国民年金や国民健康保険料を自分で納めていた人や、健康保険の任意継続の制度を利用して自分で保険料を支払っていた人などは、この欄に記入します。介護保険料、雇用保険料も同様です。給与から引かれた社会保険料と合算した金額を社会保険料控除できます。

途中入社の人に対しては、この部分に記入すべき金額が無いか確認する心配りがあると、良い担当者と言えますね。他にも、生計を一にする親族に対して次のようなケースが認められています。

①奥様が専業主婦の場合や、子供さんが20歳以上の学生で、国民年金保険料をご主人の収入から支払っているような場合。
②後期高齢者医療制度の被保険者が居て、その保険料を支払っている場合。
③農業者年金の保険料を支払っている場合。

:14)所得から控除されるものについて(小規模企業共済)

小規模企業共済金は、あまり耳慣れない言葉ですが、証明書類を添付することで所得控除の対象になります。掛金の多少にかかわらず証明書類が必要です。次にあげる掛金が対象になります。

①独立行政法人中小企業基盤整備機構と締結した共済掛金。名前が長くて少し分かりにくいですが、一般には中小機構と呼ばれる組織です。この中小機構が「経営者の退職金制度」を目指して作った共済制度の掛金です。

②確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金。これは掛金を個人ごとに明確に区分し、掛け金と運用収益との合計額をもとに、将来支給される年金額を決めましょう。と言うようなシステムです。

③地方公共団体が条例の規定により、精神又は身体に障害がある者に関して実施する心身障害者扶養共済制度で一定の要件に該当する契約に基づく掛金。

:15)所得から控除されるものについて(生命保険料)

生命保険料控除は、広く一般に理解が行き渡っていますね。一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3種類に分けられています。さらに時代と共に生命保険の受け持つ役割が広がり、一般の生命保険料と個人年金保険料は新・旧に区分されています。

控除額の計算方法はⅠとⅡに分かれています。

計算式Ⅰ 新保険料等用 計算式Ⅱ 旧保険料等用
金額 控除額の計算式 金額 控除額の計算式
20,000円以下 全額 25,000円以下 全額
20,001円〜40,000円 金額×1/2+10,000円 25,001円〜50,000円 金額×1/2+12,500円
40,001円〜80,000円 金額×1/4+20,000円 50,001円〜100,000円 金額×1/4+25,000円
80,001円以上 一律に40,000円 100,001円以上 一律に50,000円

上記の計算式から各保険料控除額を求め、3種類の控除額を足し合わせます。それぞれ上限が40,000円と50,000円と2種類設けられていますが、全部合わせた生命保険料控除額の上限は120,000円です。

:16)所得から控除されるものについて(地震保険料)

損害保険会社が扱う地震保険も控除の対象になっています。昔は積み立て傷害保険のような満期返戻金の有る損害保険もあって、それも保険料控除の対象となっていました。その名残として、旧長期損害保険料も控除の対象に残っています。

各損保会社から送られてくる控除額証明書に基づいて、金額の記入と計算をします。地震保険料は支払った金額そのままで、上限は50,000円です。旧長期損害保険料は10,000円までは支払った金額、10,000円を超えるものは支払った金額の1/2に5,000円を足した金額で、上限は15,000円です。この二つの金額を合わせた上限が50,000円に設定されています。

:17)税額控除されるもの

所得控除は所得金額から控除額を引きます。引いた金額に対して税額を求めましょう、という考え方です。

最後にダイレクトに税額から引きましょう、という節税効果の高い税額控除があります。(特定増改築等)住宅借入金等特別控除と、難しい言葉で言いますが、一般に住宅ローン減税と言われるものです。

住宅を取得する際に住宅ローンを借り入れた場合、一定の期間ローンの残高に応じて、税金が戻ってきます。ローンの残高によってはかなりの金額が税額控除されますが、そもそも納めた所得税額以上は戻ってきませんので、がっかりすることになる人もいます。

この制度を利用するには、住宅を取得した翌年に、個人で確定申告をしないといけません。確定申告をしますと、その翌年からは自動的に証明用紙が銀行などから送られてきますので、会社に提出すると年末調整で税額控除してもらえます。

担当者あるある:
若い夫婦が35年ローンを組んで自宅を新築した時の話です。年末調整関係の用紙を提出するときに、ニコニコしながら言ってきました。「これで沢山年末調整で返ってくるね!」と。でも、彼は3人の子持ちです。そもそも所得税がほとんど引かれていないんです。折角の税額控除も返す税金がなければ、税務署も無い袖は振れないよと伝えると、とても残念そうにしていました。

最後にまとめ:

毎月の給与計算も所得税計算も、基本を押さえておけば順調にこなしていくことができます。年末調整の時期が近づけば、税務署でも説明会を催しています。ぜひ出席しましょう。

しかし会社の人員が増えてくると、手計算では間に合わなくなりますので、給与ソフトを導入した方が良いでしょう。驚くほど効率よく給与計算事務ができるようになります。給与ソフトを選ぶときは、最新の税法に対応してくれるタイプを選ぶと安心です。

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目次

  1. 給与計算って?意外と複雑な給与の仕組み
  2. 職業規則や給与規定は、給与計算のルール
  3. 入社手続きに必要なものまとめ
  4. 給与明細を見れば給与計算がわかる
  5. 残業代の計算は、◯倍で考えよう
  6. 労働保険は、年度更新が重要
  7. 社会保険の計算と定時改定
  8. 所得税の計算と源泉徴収の仕組み
  9. 住民税は計算が不要?
  10. 年末調整とは?その流れと必要な作業
  11. 源泉徴収票の構成を理解しよう
  12. マイナンバーにはどんな対応が必要?
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