会社が潰れる理由は「創業者のモチベーションが下がること」 カズワタベはなぜ福岡でビジネスを立ち上げたのか

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起業の両輪は「こういう社会を作りたい」というビジョンと、「どのように実現していくか」という実際の会社運営です。理想と現実をどのように突きあわせていくかは、実際の起業経験がなくてはなかなかイメージができないもの。

 そこで今回は、クリエイターを支援するウェブサービス「Grow!」、釣り人のための釣果共有アプリ「ツリバカメラ」、釣り専門の情報メディア「釣報(ツリホウ)」と、さまざまな事業を立ち上げてきた株式会社ウミーベ代表取締役のカズワタベさんにお話を伺いました。いろいろなことに行き当たりながらも大胆に乗り越えてきたカズワタベさんのお話から、企業をめぐる理想と現実が浮かび上がってきます。

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「バズるけど儲からない」バンドの経験から生まれた Grow!

僕はもともと音楽大学出身で、卒業後は就職せずに在学中からやっていたクラブジャズバンドを2年間やっていました。そんな中で、音楽に限らずウェブ上に公開されてるコンテンツってバズりはするんだけど、なかなか収益に繋がらない状況がもどかしかったんですね。
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世の中にはこういった才能があるけれど収益が得られない人たちがたくさんいて、そういう人たちが収益を得ることで創作により時間を割ける環境を作りたかった。そこで、ウェブ上でクリエーターにチップを渡せるサービス「Grow!」を作ったんです。
grow-topGrowのトップページ

Grow!を立ち上げたときには、CCO(Chief Creative Officer)としてデザインをはじめとしたクリエイティブ分野、それから広報やPRなどを担当していました。

早すぎた「クリエイター支援」という発想

Grow!は2011年にアメリカで実施されたビジネスコンテストで入賞、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から数千万円を調達しました。最終的には事業が成立する前に開発費等で調達した資金が底をつき、ピボットを余儀なくされ僕自身は独立してしまいました。それが2013年のことです。そのため、今はGrow!というサービス自体は残っていません。

 個別のコンテンツで課金するnoteなどがこれだけ流行っているのを見ると、ちょっと時代が早すぎたのかなと思うこともあります。
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当時は割り切れないところもありましたが、今考えると「仕方がなかったな」と思います。自分の感情と経営判断は別ですし、サービスがうまくいかなかったのは自分含め経営陣の実力不足でした。

3人での合議制。意思決定のフローを明確にしておくべきだった

当時の反省点を今振り返ると、社内の意思決定のフローを明確にしておくことは大事だったと思います。CEOとCTO、それにCCOである僕の3人で創業したのですが、3人での合議制だと全員がGOを出さないと動けない。スキル的には補完し合えていたのですが、スピードが出せなかったのが反省点です。たとえば開発に関してはCTOが全権を握って意思決定を行って、適切な頻度で事後に共有する、といった方法はありえたかなと思います。

 あとはサービスの設計にも問題がありましたね。解決しようとした問題に対して、アプローチが複雑すぎた。もっとシンプルに取り組むべきでした。

フリーランスなら、昼間ビールを飲んで、深夜に作業したっていい

その後、ウミーベを立ち上げるまでは1年半フリーランスとして活動しました。やっていたのは主にウェブサイトの制作・運営・更新です。コーポレートサイトなどが多かったですね。

 実は中学生か高校生くらいの頃からHTMLは触っていたんです。もう存在しないはずですが、Yahoo!ジオシティーズで作ったサイトがいくつかあります。いわゆる黒歴史ですね(笑)。当時はバンドのウェブサイトに使用機材が載っていることが多かったので、真似して自分のギターの写真を載せたりして。
kazz-watabe4仕事中にはSONYのMDR-CD900STで音楽を聞いている。音楽をやっていた人間なら必ず知っている、名ヘッドホンだ。

その延長線上で学生時代にウェブ制作のアルバイトをやっていて、最低限の技術や知識はそこで身につけました。技術というのは、習得せざるを得なくなって身につけるものだと思っています。このときに身につけたことがフリーランスに繋がったことは確かですが、今もいろいろな技術をその都度アップデートしています。

僕の場合、独立することについて特に不安はありませんでした。大変だと思ったこともそれほどありません。何回か経済的に危なくなったことはありましたが、友人の助けもあってやっていけていました。ただ、フリーランスや起業というのは、向き不向きがあると思います。僕はなにより他人に縛られるのが苦手なんですね。フリーランスだったら、昼間ビールを飲んで、深夜に作業したっていい。全体としてはすごく働いていたとしても、そこに柔軟性があって自分で決められるということが僕にとっては大切でした。
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営業する必要がなかったフリーランス時代

フリーランス時代、自分から営業したことはほとんどありません。もともと経営者だったので、身の回りにもそういった関係者が多く、「こういうことをやりたいんだけど、どうしたらいいかな」と相談を受けることが多かったんです。「それなら僕ができますよ」という流れで仕事になっていくことがほとんどでした。

 あとはウェブ界隈で僕のTwitterを見てくれている人が多くて、それも仕事に繋がっていきました。発注する側としては、やっぱりはじめての人に出すのは不安なんです。そもそも連絡をきちんとしてくれるのかとか、ちゃんとしたものが出来上がるのかわからない。でもTwitterを見て、僕がどういう人でどんなスキルを持っていてどんなものを作っているのかを知った上で声をかけてくれる人が多かったので、そのギャップが生まれなかった。それは良かったなと思います。
umeebe1ウミーベはその名の通り海辺にある

福岡という場所だからこそできること

1年ほどフリーランスとして働いた後で、福岡に移住しました。福岡へはそれ以前に2回遊びに来たことがあったんですが、3回目の訪問は物件の契約のためでした。

 よく知らない土地への移住に抵抗はなかったのかよく聞かれるんですが、子どもの頃の体験がフットワークを軽くしてくれたんです。僕は元は長野生まれなんですが、親の仕事の都合で、松本、長野、新潟、宇都宮、山形、横浜、東京…と各地を転々としながら育ってきたんです。

 東京には9年住んでいたのですが、基本的に地方都市育ちなもので、人が多すぎるように感じてしまって……人口密度や街のサイズ感が肌に合わなかったんです。そんな中で福岡に遊びに来たときにちょうど良さを感じて、移住に至りました。

umeebe2ウミーベオフィスからの景色

福岡ではウミーベ株式会社を立ち上げ、釣り人が釣った魚の写真を共有出来る「ツリバカメラ」のアプリを開発しました。西日本の方が釣りをしている人口が多いというデータもありましたし、実際に釣りをしている人が多いなという自分の肌感覚もあって、東京を離れて福岡にいるからこそやる価値のある事業になるなと考えたんです。

たった4日で立ち上げた「釣報(ツリホウ)」

ウミーベでは経営をしながらデザインもやっています。ツリバカメラのデザインが終わって、開発チームに引き継ぎ終わって手が空いたタイミングで、試しに釣り関連の情報を配信するメディア「釣報(ツリホウ)」を立ち上げました。もともとテストプロジェクトとしてはじめたのでスピード重視、4日で立ち上げました。

 うまくいかなければ一ヶ月か二ヶ月で畳むことも考えていたのですが、立ち上げて半年で100万ページビューを達成することができました。 思った以上にウェブ上で釣りの情報を求めてる人がいたということですね。これからはさらに情報の量と質を高めていくとともに、釣具メーカーさんとも連携していく予定です。

umeebe3オフィスの目の前で魚が釣れることも

起業家だけれど、資本主義は好きじゃない

スタートアップをやっていたり、サッカーが好きだったりで妙にリア充だと思われてることがあるんですが、基本はものすごく文化系なんです。中学高校と吹奏楽部、大学は音大に行って、下北沢と吉祥寺に入り浸りのサブカル野郎でした。僕の人格は完全にライトノベルとマンガで形成されています(笑)。
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そんなこともあって会社をやってるくせに資本主義的な考え方はあまり好きではないんです。とは言え世の中の大半は資本主義で、自分が好きな文化的なものをに継続性を持たせるためにはそのルールを理解していないといけないなと思って事業をやっているところはあります。

 たとえば昔アメリカで流行したヒッピームーブメントは今振り返れば一時的な「若者の現実逃避」のように映るけど、もし彼らがそれを続けられるだけのお金か、収益源を持っていたらもっと長く続けていられたはずなんですね。芸術や音楽だけでなくビジネスの世界でもあの影響を受けて世界に影響を与えた人は少なくありません。

 将来的には資本主義的なものと、そうじゃないものの橋渡しができればと思っています。

スタートアップ、最大のリスクとは

スタートアップって、資金がなくなったときどうなるのか不安だと思われることが多いんですが、実は会社を潰さないことはそこまで難しくないんです。最終的に社員を自分ひとりだけにすれば、数十万円の収益があれば会社自体は延命できる。固定費を上げていて突然売り上げが落ちたりすれば潰れてしまうこともありますが、きちんとキャッシュフローを見ていればそうそう起きることではありません。

 どんな状況であれ、一番のリスクは創業者のモチベーションが下がることだと思ってます。モチベーションが下がった瞬間に、事業の成長は鈍化してしまいます。

 起業すること自体はとても簡単です。法務局に書類を出せばすぐにできる。でも成功するまでにかかる期間は正確には予測できません。だからこそ起業したら、自分にとってモチベーションが継続するような事業や、環境を生み出すことが大事だと思います。
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会社設立についてもっと詳しく知るには

一口に会社設立と言っても、そこには様々なやり方、種類があります。実際に起業する前に、どのような選択肢があるのかを把握しておくことが大切です。
このガイドでは、まずは会社の種類から設立にかかる費用まで、会社設立の前に必要な情報をご紹介。その上で、電子定款の作成方法や登記など、実際の設立の流れを最短で終えられるよう、実務的な知識をご紹介しています。
本ガイドがお客様のビジネスの第1歩としてお役に立てれば幸いです。

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目次

  1. 個人経営主と法人のメリットを比較
  2. 会社の種類は?4つの形態の違いを比較
  3. 新会社法は会社が守るべきルール
  4. 会社は6万円の費用で設立できる
  5. 最短時間で会社を設立するための流れとは?
  6. 会社設立の際に決めるべき5つのこと
  7. 定款の作り方とは?定款は会社のルール集
  8. 電子定款の作成手順を完全解説
  9. オンラインで電子定款を送信してみよう
  10. 紙で行う定款作成・認証方法まとめ
  11. これで完了、登記の手順
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