意外につまずいた法人成り(その1)~個人と法人で同じ銀行口座にしたがために~

法人成り

個人事業主にとって法人設立はひとつの目標となるもの。将棋のように「法人成り」なんて言ったりもします。ところが個人事業主と法人は経営者こそ事業主→代表取締役でも、お財布を二つ作成するため、会計的にはなかなかつまずくポイントが少なくありません。特に煩雑な手続きとなってしまうのが、「個人と法人を同じ銀行口座にした場合」です。

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1、法人用口座はすぐに作れない

法人成りを決め、定款と株主構成を決めて登記簿謄本の発行まで完了した。法人成りの作業自体はこれで完了です。友人から「社長」と呼ばれるようになった責任感はとても大きなものでしょう。ところが、肝心の法人で受け取った売上を入金する銀行口座は、この時点で作成することはまずできません。

銀行口座は登記簿謄本と、法人名などが決定してから依頼して作成する「法人印」が必要です。登記簿謄本は法人設立から1週間前後のため、少なくともこの期間に法人を設立することはできません。

2、個人用口座を使用する

そのとき、多くの経営者は個人用口座を使用することになります。法人成り後の使用も問題ありません。ただ、法人成りにより誕生する会社は前身を個人事業としていたため、毎月一定の売上が入ってきます。

たとえば便宜上わかりやすく、A株式会社が1月1日に設立したとしましょう(実際に元日の設立は聞いたことがないですが…)、この会社の代表取締役はBさんで、以前は個人事業主としてCという屋号で活動していました。

前月の12月31日まで個人事業主の仕事で獲得した「個人事業主」のお仕事が入金され、個人事業として税金(所得税と個人事業税)の対象となります。ただ、現在は銀行口座からデータが自動的に移動する会計ソフトも多く、個人口座を法人と個人事業で同一のものを使用していると、「両方に売上として登録」されてしまう場合があります。これには要注意です。

「売上」として帳簿に載せた場合、当然ですがそこには税金が発生します。個人事業として売上計上したお金を、法人にも売上として計上すると二重計上となってしまいます。そのため、個人事業の売上はすべてまとめて法人に移動して「元入金」として考える必要があります。勘定としては、(貸)現金 (借)資本金という形になるでしょう。

3、法人用の銀行口座が完成してから口座登録!

銀行口座が完成し次第、会計ソフトの銀行口座として使用開始するようにしましょう。自動ではなく手動で勘定を入力する場合もこの時点で「売上」入力のスタートです。繰り返しになりますが、それまでは売上ではなく、「元入金」として入力するようにしましょう。

ここからは入ってくるお金はすべて売上です(時には雑収入という場合もあります)。そのまま入金額=売上高として計上しても問題ありません。ただ、すべてが解決というわけではありません。注意すべきポイントが2点残っています。

(1)個人事業として契約した仕事を法人として計上していないか。

法人成りに際し税理士に依頼したところ、次のような指摘を受けました。

「個人事業主として受けた仕事は個人事業として入金すべき。法人の銀行口座ができたからと法人として売上計上してしまうと、厳密には税務上問題がある」

つまり、個人事業として受けた仕事(契約書を締結した仕事)を法人として計上すると、完全にアウトではないにしろ税務上の問題が残るという指摘でした。この背景には、個人事業と法人による税率の違いがあります。

これも先ほど触れましたが個人事業主は所得税と個人住民税、そして個人事業税の対象になります。一方で法人は法人税と法人住民税がかかります。詳しい税率の記載は省きますが、これらの税率は異なるため、個人事業主として受けたものを法人として受けると厳密には問題があるという指摘なのですね。

(2)前期比較、四半期比較が煩雑

元入金を活用することで、法人に計上する元入金のなかに「個人事業主としての売上」と「元来の元手金」が発生することになります。法人成り後、経営層は随時「事業は前期と比べてどうなっているか」「四半期としてどうなっているか」を判断することになります。

ところが売上が元手金に含まれてしまうと、ここを確認する作業がとても煩雑になる、というデメリットが発生します。特に売上推移は自動的に算出する場合も多く、「ここは算出された図とはことなる」という現象が発生してしまいます。

社内でそのデータを扱うのみの場合であればまだしも、銀行などの金融機関に資料を提出したり、投資家の審査を受ける場合は都度都度「個人事業からの転換で」と言っている時間はありません。

法人化が決まれば個人事業の段階から法人に契約を移し、個人名の口座でも「個人事業で使用していたものとは別の口座」を準備して、ぬかりなく法人成りの日を迎えることが大切だといえるでしょう。

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目次

  1. 法人にも確定申告って必要なの?
  2. 法人税とは
  3. 法人の確定申告の全体的な流れ
  4. まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
  5. 法人税の申告書類の作り方
  6. 作成した申告書を提出して納税する
  7. 最後に
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