【社長借入金】 社長から多額の借り入れがあった会社の問題点とは

社長借入金

税理士事務所で勤務していたころ、税務申告をはじめ、経理指導、年金相談などに従事しておりました。当時担当していたクライアントさんは個人事業主や中小企業が多く、そのほとんどが1人もしくは2、3人で運営されていました。

今回は、小規模の法人によく見られる社長借入金に関することについて実体験を踏まえて書きたいと思います。

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会社が社長から多額の資金を借り入れたら?

前職において様々な会社の監査担当をさせていただいた時に、大抵の会社では多額の社長借入金(社長の名前が勘定科目になっていたこともあります)が計上されているのを見てきました。

社長様の感覚からすれば、自分が作った会社と社長は一体なので、会社の資金繰りが悪くなった場合に社長名義の通帳から会社名義の通帳に振り替えること自体、特に問題に感じることなく行われるように思います。ただ法律上では問題があります。会社のことを法人(法律上の人)というくらいですので、他人間の資金の貸し借りなのです。

※モデルケース・・・リーマンショックの影響を受け、業績が悪くなり始めて資金繰りが悪化したため、社長名義の口座から法人名義の口座に数回振り替えた結果30,000,000円の社長借入金が計上されることになった。

【貸借対照表】 (単位:円)
流動資産 10,000,000 流動負債 1,000,000
固定資産38,000,000 長期借入金7,0000,000
社長借入金30,000,000
資本金   10,000,000
48,000,000 48,000,000

社長借入金があるとどうなるか以下に説明します。

①自己資本比率が悪化する。

自己資本比率とは返済不要の自己資本が、資金調達全体のどれだけにあたるかというものです。

(借入前)10,000,000÷18,000,000×100=55.6%
(借入後)10,000,000÷ 48,000,000×100=20.8%

自己資本比率が明らかに悪化します。これは銀行からの借入金がある場合には貸付の査定にあたって悪影響を与えると言われています。モデルケースの方は銀行以外にも信用金庫からの借入金もありましたが、信用金庫の営業担当の方に話を聞いたら社長借入金の実態は資本金と変わらないでしょうと言って特段問題視はしないと言われたのを覚えています。

これは、銀行と信用金庫の組織形態の違いでそのように言われたのか、当時の法律で融資の基準をゆるくしていたのかはわかりませんが、融資に悪影響を与えるおそれがあることは覚えていてください。

②社長が亡くなった場合に相続製法上の問題が生じる。

社長という立場で見たら、会社が返済義務のある貸付金ということです。社長個人の資産です。私が担当していた時にこれが問題になりました。

社長様が急病でお亡くなりになった際に、この社長借入金の分が相続財産に含まれるということで被相続人の間で問題になりました。社長様は40代後半でしたのでこれから決算書に計上されている社長借入金を減らしていく必要がありますとアドバイスをしてはいましたが、あまりにも突然に亡くなられたので相続税の対策を実行する事もできませんでした。相続の問題は親族間でトラブルになる恐れもあります。是非覚えておいてください。

社長借入金をどうやって消していくか

①役員報酬の代わりとして社長借入金を返済する。

この方法は会社の業績が赤字になる可能性が大きい、累積欠損が残っている時には有効です。社長には給与所得は生じないので所得税法の問題は生じません。現実に資金移動が必要ですのでそもそも会社に返済資金がなければやれません。

②債務の株式化(DES)の実行

これは社長借入金を資本金に振り替えるというものです。手続きは減少させる社長借入金の分の株式を債権者(社長)に割り当てます。

自己資本比率を上昇させることにもなりますので、金融機関などの外部からの信用力のアップに繋がります。ただ、社長借入金を資本金に振り替えた結果、資本金が1億円以上になる場合は法人税法上、交際費の損金不算入や外形標準課税の適用を受ける、法人住民税の均等割の金額が跳ね上がるなどといったデメリットもあります。

③社長が会社に対する債権の返済義務を免除する。

会社が多額の赤字を抱えている場合に有効です。社長が会社に対する債権を免除する旨の書面を作成する必要があります。繰越欠損金があるならそれを考慮して債務免除する金額を決定する必要があります。

「個人と法人は別物」と知っておかないとトラブルに巻き込まれることも

そもそもの話ですが、一般常識的に考えれば会社の社長が自分の口座から会社の口座へお金を移すことにそこまでの問題があるとは思いません。しかし、法律の見地からすれば「個人と法人は別物」です。この考え方は例えば役員報酬の決定や自家用車を社用車にするなど色んな場面で出てきますので覚えておいてください。

そういった時に法人税の問題や所得税の問題がどうしても絡んできますから、税理士事務所の人にアドバイスを貰う必要があるということを知っておいてください。

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目次

  1. 法人にも確定申告って必要なの?
  2. 法人税とは
  3. 法人の確定申告の全体的な流れ
  4. まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
  5. 法人税の申告書類の作り方
  6. 作成した申告書を提出して納税する
  7. 最後に
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