「法人成り」した個人事業主が確定申告で気をつけるべきポイント

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「法人成り」って何ですか?

個人で事業をしてきた人が法人を設立することを「法人成り」といい、ゼロから法人を設立することとは区別しています。個人事業主が法人を設立すると、持っていた資産や商品を法人に引き継ぐ処理が必要になります。

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では、なぜ「法人成り」するのでしょうか。それは、個人事業主より法人のほうが、次のようなメリットがあるからです。

信用が増す

会社法により資本金が1円でも株式会社が設立できるようになりましたが、一般的には資本金は数百万円以上という法人が多いです。「資本金がある」ということは、「お金を調達する力がある」ということです。

取引先や銀行などの対外的な信用力が個人事業主のときよりも増します。取引先の中には法人であることが条件だったり、経営状況を確認してくるところもありますし、一般的に法人のほうが銀行からの融資が受けやすいといわれています。

節税になる

個人事業主と法人では、法人のほうが節税になることが多いです。

・社長の給料を経費にすることができる。
個人事業の場合は個人事業主=自分のため、自分への給料を経費にすることができません。
法人の場合は、法人と自分(社長)とは別人格のため、社長への給料を経費にすること
ができます。

・消費税の納付の免除がある。
資本金1,000万円未満の法人は、設立から2年間消費税の納付が免除されます。
※2年目については、前年度上半期の売上高や給料の支払額などの判定により免除されないこともあります。

・税率が違う。
個人事業主の場合、所得税は累進課税といわれる課税方式です。これは利益がでればでるほど高い税率になるしくみです。いちばん高い税率ですと、住民税と合わせて50%を越える税率になります。一方法人の場合は、法人税・法人地方税合わせておおよそ30%前後の税率といわれています。

・赤字がでたとき
個人事業主も法人も、赤字は翌年以降に繰り越すことができます。しかし繰り越せる年数が違います。個人事業主は3年間に対し、法人は9年間繰り越すことができます。

では、実際に「法人成り」した場合、個人事業主の申告や法人の申告で気をつけること
は何でしょう?

先述したとおり、「法人成り」は個人事業主が法人を設立することです。そのため、個人事業主=法人の代表取締役であることが多く、社長からしてみると組織が変わっただけで、実際に資産や商品が移動したということはありませんし、個人事業主と法人の間でお金のやり取りは事実上ありません。

しかし、税法上、法人と社長とは別人格のため、個人事業主が法人化するときには「個人から法人へ資産や商品を売った」という処理が必要になります。

「法人成り」で必要になる処理

<個人事業主の申告>と<法人の申告>の両方で処理が必要になります。
具体的に処理方法をみていきましょう。

<個人事業主の申告>

1. 商品
「法人成り」する前日に在庫として持っていた商品は、法人に売却したことにしないといけません。「売上金額」にも決まりがあり、通常販売価格の70%以上にしなければならなりません。

2. 固定資産
「法人成り」する前日に持っていた固定資産も、法人に売却したことにしないといけません。その「売却価格」は、法人なりした前日の帳簿価額にしなければなりません。
一般的には、その年の期首の帳簿価額から、「1月1日から法人なりした前日までの減価償却費」を引いた金額になります。(ただし、確定申告では譲渡所得として処理します)

例)期首帳簿価額 320万円 
1月1日から法人なりした前日までの減価償却費 50万円
  よって、270万円で売却したことになります。

3. 債権・債務
売掛金や未収入金などの債権や、買掛金や借入金などの債務は、法人に引き継がなくてもよいことになっています。引き継ぐ場合は法人なりした前日の帳簿価額で引き継ぎます。

一方、法人の処理については以下のとおりです。

<法人の申告>

1. 商品
こちらは、個人事業主の申告とは逆に、商品を仕入れたことになります。仕入金額は、個人事業主の申告で売上にした金額と同じ金額で処理します。

2. 固定資産
こちらも個人事業主から固定資産を購入した処理になります。金額は、法人なりした前日の帳簿価額です。

ここでの注意点は、新品ではなく、あくまで中古の固定資産を購入したことになる点です。新品の固定資産の購入と中古の固定資産の購入では、減価償却費の計算に使う耐用年数が異なります。中古の固定資産では新品のものより耐用年数は短くなります。

※中古資産の耐用年数の計算式
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

例)法定耐用年数が10年で、経過年数が5年の中古資産の耐用年数
(法定耐用年数10年-経過年数5年)+経過年数5年×20%
=5年+1年=6年
耐用年数は最低2年です。耐用年数のすべてを経過した中古資産は耐用年数2年で
計算することになります。

3. 債権・債務
個人事業主のところで説明したように、債権・債務は引き継がなくてもかまいません。引き継ぐ場合は法人なりした前日の帳簿価額で引き継ぎます。

あくまで個人から法人への売却です。現金の動きがない場合、上記の資産や負債の差額は
「未払金」で処理します。

例)【資産】 商品100万円 固定資産270万円 売掛金50万円 合計420万円
【負債】 買掛金30万円

で引き継いだ場合 資産420万円と負債30万円の差額390万円が未払金になります。
仕訳は、以下のとおりです。

借方:仕入(または商品) 100万円  貸方:買掛金  30万円
借方:固定資産      270万円  貸方:未払金  390万円
借方:売掛金        50万円
  
このように「法人成り」することにはメリットが多いですが、その年度では処理が複雑になります。注意して申告しましょう。

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