消費税の納税を免除される「免税事業者」とは?

消費税の免税事業者とは

 国内において個人や法人の事業者が物品やサービスを提供するとき、その販売価格には消費税が上乗せされます。この消費税を預かった事業者は、通常、毎年決まった時期に消費税を納税する必要がありますが、一定の小規模な事業者等は、その消費税の納税を免除される場合があります。

このような事業者を一般に「消費税の免税事業者」、または、単に「免税事業者」と呼びます。

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免税事業者の要件と判定フローチャート

 消費税の納税義務を免除される免税事業者となるためには一定の要件があり、一定期間における課税売上高(注1)、または、給与等支払額(注2)と、法人の場合には資本金の額により判定されます。ほとんどの場合は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であれば、免税事業者と判定することができます。

前々事業年度の売上高がない場合でも同じであるため、開業2年は消費税を払う必要がないと言われることが多いですが、一定の場合には課税事業者となるため、正確な条件を確認する必要があります。特に、平成25年以降開始する事業より、特定期間(前事業年度の上半期)の判定が加わったため、この点、注意をする必要があります。

 具体的には、以下のいずれかの要件を満たした事業者は課税事業者に該当することとなり、免税事業者となることはできません。

  • 基準期間(注3)における課税売上高が1,000万円超である。
  • 特定期間(注4)における課税売上高、および給与等支払額が1,000万円超である。
  • 設立から2年以内で、資本金の額、または、出資の金額が 1,000 万円以上である。
  • 消費税課税事業者選択届出書を提出している。
  • 納税義務の免除の特例(注5)により課税事業者となる。

(注1)課税売上高とは、消費税が課税される資産の譲渡にかかる売上高であり、税抜価格で計算します。土地の売買等にかかる売上高は消費税が課税されないため、課税売上高とはなりません。
(注2)給与等支払額とは、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定の代わりに用いられる給与等の金額であり、所得税の課税対象とされる給与、賞与等が該当し、所得税が非課税とされる通勤手当、旅費等は該当せず、未払額は含まれません。特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定について、課税売上高に代えて、給与等支払額により判定することができます。
(注3)基準期間とは、原則として、個人事業者はその年の前々年、法人はその事業年度の前々事業年度を指します。たとえば、個人事業者の平成28年分の確定申告における基準期間は、平成26年1月1日~平成26年12月31日となります。
(注4)特定期間とは、原則として、個人事業者はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間、法人はその事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間を指します。たとえば、個人事業者の平成28年分の確定申告における特定期間は、平成27年1月1日~平成27年6月30日となります。
(注5)相続・合併・分割等について免除の特例により課税事業者となる場合を指します。

注意:上記は簡易的な判定を示すものですので正確なご判定には国税庁や税務署の情報をご確認ください。
参考:消費税法改正のお知らせ(国税庁webサイト)

免税事業者は消費税を請求して良いのか?

 免税事業者は消費税の納税義務を免除されるため、「消費税を請求して良いかどうか」という疑問が生じます。この点、結論から先に申し上げると、現状では、免税事業者も消費税を請求して良いということになります。

 消費税法や国税庁の通達には免税事業者は消費税を請求してはいけない旨は規定されておらず、一方で、国税庁の通達には免税事業者からの仕入れについても課税仕入れとする旨が規定されており、免税事業者も消費税を請求して良いものと取り扱われております。免税事業者においても、仕入れの際には消費税を支払っている訳であり、その分、売上高に消費税を付加することは当然の権利であります。

取引先によっては、免税事業者に対して消費税を請求しないよう要求するケースもありますが、このような要求は免税事業者に対してであっても「消費税転嫁対策特別措置法」により禁止されておりますので、免税事業者であっても消費税は請求をしましょう。

なお、飲食店や小売店など商品の価格をメニューや店頭に表示する業種の場合には、消費税を含んだ価格を表示する「総額表示方式」の対象とはされませんが、消費税と本体価格の区別はせず、請求すべき消費税を含んだ総額での表示が望ましいものと思われます。

 上述の通り、現状では、免税事業者も消費税を請求して良いこととされておりますが、平成31年10月に予定されている、消費税率10%への引き上げと、それに伴う軽減税率の導入により、免税事業者の消費税請求が難しくなる可能性があります。これは、インボイス制度という方式の導入により、仕入税額控除のためには消費税額の記載と届出が義務化されるこのよるものです。この点、詳細につきましては、税理士へお問合せ頂くか、時期が近づきましたら改めて解説をさせて頂きたいと思います。
 

課税事業者を選択した方が良い場合

 免税事業者であっても消費税を請求することができる一方、免税事業者は消費税の納税が免除されるため、預かった消費税が利益となります(「益税」と言います)。このように、免税事業者では益税が発生することから、免税事業者を選択できる多くの状況では、免税事業者となることが事業者にとって有利ではあります。

 しかしながら、事業者によっては、預かった消費税よりも、支払った消費税の方が多いという場合があり、このような事業者では消費税を納税するのではなく、多く支払った消費税の還付を受ける権利が発生します。ただし、免税事業者は消費税の還付が受けられないことから、消費税が還付される可能性が高いような場合、課税事業者を選択することがあります。

 課税事業者を選択した方が良い場合は、具体的には以下です。

  • 輸出業者のように、経常的に消費税額が還付になる場合。
  • 開業時に設備投資を行い、課税仕入れが多く、課税売上げが少なくなる場合。

 まず、一点目の輸出業者の場合については、輸出は免税取引となるため、売上高に消費税が課税されません。一方で、仕入れについては消費税を支払っていることから、輸出業者は支払った消費税分の還付を受けることができます。そのため、輸出業者については課税事業者を選択した方が良い場合が多くなります。

 次に、開業時に設備投資を行う場合については、開業時は売上高がまだ少なく、課税売上げが少ないことが多いですが、一方で設備投資が必要となる場合には、その設備機械の購入が課税仕入れとなり、預かった消費税以上の支払いが発生している可能性があります。このような場合には、消費税の還付を受けるために、課税事業者を選択した方が良い場合もあります。

ただし、一度、課税事業者を選択した場合、2年間は免税事業者となることはできないため、単年度の消費税の還付額だけでなく、翌期以降の売上計画等もよく検討して、総合的に判断をする必要がある点、留意が必要です。

 免税事業者の判定や、課税事業者の選択には、例外的な事項も多く、ご自身でよくお調べいただくか、お近くの税理士や会計事務所、または当事務所へお問合せいただき、慎重にご判断を頂けますようお願い致します。

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目次

  1. 法人にも確定申告って必要なの?
  2. 法人税とは
  3. 法人の確定申告の全体的な流れ
  4. まずは法人決算書と勘定科目内訳明細書
  5. 法人税の申告書類の作り方
  6. 作成した申告書を提出して納税する
  7. 最後に
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