「テレワークを許すと社員はサボるんじゃない?」って質問されまくるので、その理由を考えてみた

こんにちは。先日、CMSプラットフォーム Movable Type の最新バージョンとなる Movable Type 7 の来年初頭リリースを発表したシックス・アパートで、昨年から在宅で働いている作村です。

在宅ワーカー目線で、テレワークについて語り始めてから本稿が3回目です。シックス・アパートが全社的にテレワークを導入してから、お客さん、パートナーさん、知人、さらには親&親戚からもよく訊かれる「テレワークはサボりが増えない?」という質問について考えてみました。

要するに、「テレワークを許可したら、みんな仕事をサボるんじゃないの?大丈夫なの?」って疑心暗鬼ですね。総務省の平成28年度統計によるとテレワークを一部でも導入していない企業の割合が約84%で、フルタイムで導入していない企業はもっと多いでしょうから、そう考えるのもわかります。

ということで「テレワークとサボりについて」を書きます。

>>【誰も語らないテレワークの現実】 良いこと尽くしなの?デメリットないの?孤独に苛まれてるんじゃないの?

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サボりを隠したり、仕事しているフリをするのはナゼなのか

私たちは当たり前のように「仕事をサボることは悪いこと」と考え、在宅勤務はサボりを助長する仕組みだと連想してしまう。しかし、雇用者が心配するならまだしも、被雇用者の私たちが心配するのはどういうことだろう? 四十過ぎの息子の新しい仕事ぶりを親が心配するのはどういうことだろう?

そんなことをもやもやと考えているときにわたしが出会った本。神保町にある会社の近くの三省堂で本をあさっていた時に目に飛び込んできた一冊の分厚い本。

「これだ!」

と直感した。


※「道徳感情はなぜ人を誤らせるのか」…とても刺激的なタイトル

この本を読み、他人(ひと)のサボりを心配する原因は、
私たちの社会や日本人が正しいと信じていた心、すなわち道徳心こそが、私たちの生活と仕事のあり方を縛り付けている正体なのでは?
と疑うことができた。

この本では、アダム・スミスの道徳感情論をもとにして、冤罪が発生するメカニズムを説いている。この冤罪発生メカニズムは、冤罪に限らず人間(ひと)が間違いを犯すとき全般に適用できる。このメカニズムをわたしなりに咀嚼して「テレワークはサボりを助長する」と人びとが最初から一定の図式に当てはめてしまう原因について考えてみた。

成果主義がある程度浸透した現在(いま)。サボろうが、仕事しているフリをしていようが、成果さえ出していれば、仕事ぶりの評価には大きな影響が無いはずだ。それなのになぜ、私たちはサボりを隠したり仕事のフリをするのか? 原因は周囲からの評判なのだろう。自分の仕事ぶりが評判として社内で伝播する恐怖。

「Aさんは、いつもフェイスブックでチャットしてる(怒)」
「Bさんは、1時間もかけてメールの文面を考えてる(怒)」
「Cさんは、背後の気配を感じ取って巧みに[Alt]+[Tab]押してる(怒)」

本来、サボりは自分自身の問題で、他人(ひと)が仕事してようがサボってようが自分には関係ない。関係ないはずなのに、「サボり=悪」と最初から一定の図式に当てはめる道徳心が他人(ひと)のサボりを許せない、見過ごせないのだ。

人物評価の絶対的な信仰・教義が崩れるとき

シックス・アパートでは2016年8月から在宅勤務を開始していて、出社するときや都内のお客様やパートナーさんへの訪問が無いときは、好きなところで仕事をしてよい。テレワークを始めたころはわたしは近所の目が気になって、昼食に外出するときでも、きちっとした格好や、時間帯を気にしていたが、今やスウェットにパーカーで街を闊歩している。

白状すると、そんなわたしも、いい年した大人が平日の昼間から住宅街をのんびり歩いているのを見ると

「あの人、仕事してるのかな…?」

と心の中で訝しむ。わたし自身も、自分以外の人を最初から一定の図式に当てはめようとする「世間の評判の奴隷」なのだ。他人(ひと)は俯瞰的な目で見なければならない。

少年時代を振り返ると、無遅刻・無欠席は優等生の証と崇められ、夏休みのラジオ体操の参加マークを全部揃えると大人から褒められ、それが自分でも誇らしかったものだ。そして遅れてくるヤツや休みがちなヤツをダメ人間と決めつける。

いま考えれば、定刻にその場・その空間にいることは評価指標のひとつ(ワンオブゼム)でしかないのに、いつしか自分も、定刻にその場・その空間にいることが周りの大人からの評判を良くするコツだと覚える。体に染み付いたそのコツは、悪習(悪臭)になっていったわけだ。

仕事には繁閑(はんかん)があり、家庭の事情もひとそれぞれなのに、始業時刻から終業時刻まで会社にいることが評価の基準になる。居る必要が無いのに会社に居るのだからサボりや仕事のフリをするのは当然だろう。そう、テレワークを開始すると社員はサボりを開始するのではなく、今でもサボっているのに決められた時間に会社にいるという評判で社員を評価してしまっている。

テレワークが始まることで、今まですがっていた無遅刻・無欠席という人物評価の絶対的な信仰・教義がなくなってしまう恐怖心、それこそがテレワークに及び腰になっている企業の正体だろう。そして、決められた時間にその場に居さえすれば、一定の評価を受けられたのが、在宅勤務になりそれが通用しない新しい社会で果たして自分が会社および社会からどのように評価されるか、不安に感じてしまう私たちの心……それこそが働き方改革が進まないもう一つの正体だろう。

働くこと、時間、空間の分離

ここで、厚生労働省が管轄する平成29年度の職場意識改善助成金(テレワークコース)の申請マニュアルの一文を紹介する。

なお、テレワークを行ったと申請する日の業務時間に、在宅していたかまたはサテ
ライトオフィスにいたことが証明できる書類として、①GPS機器による場合は、業
務時間におけるGPSによる位置情報(地理座標)及び時間を記録できる機器(GP
S機器)のログ情報(概ね1時間毎に記録されたもの)を提出してください。
また、②朝礼、夕礼メールによる場合は、テレワークを実施する日の業務の開始時
及び終了時に、企業名、対象労働者の氏名、日時、場所、業務実施予定の概要(実施
予定時間帯及び実施予定内容)(開始時)、業務実施結果の概要(実施時間帯及び実
施した内容)(終了時)について記載したメールを、申請事業主及びテレワーク相談
センターへ送信してください。

テレワークを導入する企業への助成金の支給条件が、社員を時間と空間に縛り付けることとになっている。在宅勤務だと同僚の目という監視が届かなくなり、その人物の評判を手に入れられない。だから人の目が届かないからGPSやカメラで監視しようとする。ICTやクラウドを活用した働き方改革ってそういうことなのだろうか?

いや、違う。「そこにいること」でその人物の仕事を評価するのは、もう辞めた方がいい。

なお、労働基準法との兼ね合いと、近年のブラック企業問題を通してわかる劣悪な労働環境を鑑みて、このようなテレワーク助成制度になってしまったことは想像にたやすいが、それでも残念でならない。

わたしが自分の働き方を紹介するときに、在宅勤務やテレワークやリモートワークなどの単語を便宜上使っているが、目的とするところは「働くこと」と「時間と空間」の分離であり、労働者を時間や場所に縛り付ける働き方とは180°発想が違う。

サントリーのCM動画を観てほしい。クラフトボス『新しい風・誰もいない』篇だ。

時間と場所に縛り付けるから「仕事のフリ」が生まれる

在宅勤務やテレワークなら、無駄なサボりを意味のあるサボりに変えられるかもしれない。会社でやってる仕事のフリは単なる暇つぶしだ。これが在宅勤務になると周りの目がない(評判を気にしなくていい)から、仕事のフリをする意味がなくなる。サボりが息抜きに変わる。

家事や買い物などで身体を動かすことは仕事の能率によい影響がある。仕事の能率はその人の調子・健康状態に左右されるものだ。人は常に100%の力を発揮できるわけではない。

在宅勤務なら意義のあるサボり改め「息抜き」ができる。社員にとっても会社にとっても生産性が上がるなら合理的だ。

また、テレワークは無駄なサボりの伝染を断つことができる。「あの人がサボってるなら、私もサボろう」というサボりの社員間連鎖が起きない。在宅勤務なら「あの人」がサボってることがわからないから伝染しようがない。

在宅勤務によるサボりの「見えない化」で組織内のサボりの蔓延を防げる。「仕事の見える化」といわれて久しいが、「仕事の見えない化」の効果もバカにできない。「見えない化」の効果は伝染防止だけではない。

「あの人の仕事ぶりを見てるとイライラするけど、目の前に居ないとどうでも良くなる」

そう。寛容になれる。中国古典の菜根譚(さいこんたん)※にもそうある。

中国の古典の一。前集222条、後集135条からなる中国明代末期のものであり、主として前集は人の交わりを説き、後集では自然と閑居の楽しみを説いた書物。

「小さな失敗は咎めない」
「かくしごとは暴かない」

近づきすぎないコミュニケーション。「一歩下がって人に譲れば、道は広くなる」とも菜根譚はいう。在宅勤務によって、同僚、上司、部下の距離を適度にとることでその人を俯瞰的に見ることができて小さな所為でイライラしなくなる。

真面目で模範的とされてきた社員の図式が崩壊する

企業は、「その時間帯にその場に居ること」を社員に求め、そうすることで一定の評価を得られることを知っている社員もこの働き方を甘受してきた。その代償が「サボり・仕事のフリ議論」を通して見えてくる、企業の生産性の低下である。繰り返しになるが、テレワークを始めると社員はサボるのでなく、テレワークを始めると、「企業」も「社員」も今まですがっていた真面目な勤務態度という人物評価の絶対的な拠り所がなくなるのだ。それが怖いから、テレワークとサボりを関連付けて議論を真相から遠ざけようとする。

テレワークを始めることと仕事をサボることは、それぞれアトランダム(個別の事情)に発生する事柄で、なんの因果関係も無い。

サントリーのCMも言う通り、まさに新しい風が吹いてる。正しいと思っていたことが正しくなくなり、悪いと思っていたことが悪くなくなる。新しい道徳心に自分の道徳心をアップデートしない企業と人間(ひと)は、時代に取り残されるだろう。

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事業開発担当として2011年より、シックス・アパート株式会社に勤務。現在は、経営企画も兼務。東京生まれ。社会人としてのほとんどの時間を横浜/鎌倉で幸せに過ごす。一児の父。好きな言葉は「合理的な非常識」。2016年夏、テレワーカーとして働き始める。自らを実験台にテレワークの様々なアイデアに挑む。
※当連載の内容は個人によるもので、シックス・アパートを代表するものではありません。
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