【パラグアイ在住の日本人経営者の視点】日本人は海外からこう見られている~仕事編~

私(松田)は現在、パラグアイという南米の国でビジネスをしている、ある日本人です。

近年、日本のアニメや漫画が世界中で人気があること、日本人のいい話、感謝される日本、日本の技術のすごさ、歴史、街の清潔さ、おもてなしの心、食文化などなど、日本賛美のテレビ番組やネットニュースなどをよく見ます。しかし、その反面ストレス社会の代名詞、過労死という言葉が残念ながら日本発の言葉として海外に流布してしまうなど、日本人の仕事ぶりについてはある意味世界が注目しているといえるかもしれません。

私は日本で社会人経験があり、さらに海外に出てみて日本人の仕事に対する価値観の偏りを目の当たりにしました。

今回は「日本人の仕事観が海外からどのように見られているか」を紹介してみます。

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kakutei

日本のサービスは海外のそれと比較にならない

こういった言い方は最近のテレビやメディアに賛同するようで「またか、、」と思われてしまうかもしれませんが、確かに日本人の仕事というのは素晴らしいと思います。

コンビニのおにぎり然り、飲食店然り、消費者への配慮(サービス・接客)という観点から見ると世界トップレベル。もしくはもうナンバーワンといっても過言ではないと思います。私も日本へ帰国するたびに感心しますし、外国人と話していて日本のサービスを悪く言う人に会った経験はほぼありません。日本人の仕事ぶりの特徴を一つ述べると

「こだわり」

がすごいと感じます。話が大きくなるので例えば洋服について話してみましょう。

海外の洋服屋さんといえば、男物も女物もごっちゃにして売られていたり、「こんなの使う人いるの?」というような服が置いてあるのもよくあることです。しかし、日本ではスーツはスーツ屋、B系のファッションならB系、レディースはレディースとまとまって売られていますし、お店の清潔さだけでなく陳列や、店員さんの知識量もすごいです。

この日本の当たり前は決して海外の当たり前ではありません。洋服だけじゃなく、バーテンダーや、飲食店でもこの商品はどこの商品なの?という問いかけにちゃんと答えられる国はすごく少ないです。あるいは、企業においてもプレゼンテーションをする場合などは単語一つ一つの意味を理解し、ロジックを組んで発表しているのがよくわかります。パワーポイントなどの「厚み」がすごいな。と感じます。

もちろん、それは他社に負けまいとする競争心がそうさせるのであったり、自分の発表に確信を持ちたい…という不安の表れかもしれませんが、いずれにしてもすごいものはすごいです。

100%か0%か、振り幅のすごい日本

しかし、それだけキチっとしているということは、細かいことにも配慮し、重箱の隅にさえホコリを残さないような仕事を求められている。と言いかえることもできます。その為、日本の考え方は非常に極端です。常に100%を求められるといいますか、100%と0%の間がないというか、なんなら90%の仕上がりでは仕事をしていないと判断されたり、変わらない気質だと思いますけれど、もう少し許容範囲を広げてもいいのではないかと思ってしまいます。

日本のサービスや細かな仕事ぶりは正直にいって極端(やりすぎ)です。もちろん、いち消費者から見ればありがたいですし、ありがたいと思ってしまうことが競争を加速させてさらに細かくなってしまう…のだともよくわかります。この細かさが生まれてしまう背景は、日本人の特性に関係していると思えます。

例えば、日本人には失敗を許さない傾向があります。100%出し切ったうえで失敗するならまだ許せる。けれど90%の力で失敗するのは許さない…という考え方です。

この考え方は上司、部下、双方の立場からみても絶妙に悪いことだと思います。部下から見れば、いつまでもやらなくてはならない(それが自分の100%だと思える所まで追い込まれる)。そして上司から見れば、そう言っておけば失敗しても成功しても何かしらのコメントを言えます。日本人はマネジメントが上手でないので、上司にとって満足の行く仕上がりでも何かしらケチをつけないといけない。あるいは失敗したらお前が100%の力を出さないからだ。という枝葉末節にこだわるマネジメントをしがちです。

例えば、コンセプトをもう少し捻ったらよかった、インパクトが弱かった。だからもう少しこうしよう。という前向きなコメントではなくて、誤字脱字や言い回しを注意することが多いなどです。この考え方があることで、いつまでたっても100%の仕上がりにしないと気がすまなくなるわけですね。

一方で、日本人は本当におもしろい気質を持っているといいますか、やっぱり極端だなと思ってしまうのが、「外国人に異常に寛容」です。海外の方と取引をした場合、仕上がりが日本並みのクオリティーでなくても満足する傾向がありますし、日本語が通じないとわかると納品物に気になる部分があっても突っ込んだりはしません。

反対に日本語がわかる通訳がいたりすると一気に強気になったりします。身内に厳しく他人に甘いのが日本といえると思います。

外国人が日本人について思うこと

外国人に日本や日本人のイメージについて聞くと、必ず出てくるのが「真面目」「誠実」という単語です。むしろ私はこれ以外をあまり聞いたことがありません。日本や日本人を知っている場合はですけれど。。。

日本人を知らない場合は「日本は中国のどこにあるんだ?」と聞かれたり、韓国と勘違いされていたりはよくあります。良いか悪いかわかりませんが、サムスンが日本製だと思っている人の多い事、多い事。。。

つまり、あの「爆発してる例の製品」は日本製品だと思っている海外の人、多いんですよ!?と警鐘を鳴らしておきます。日本に住んでいると、「日本を知らない人なんて本当にいるの?」って思いませんか?私は日本を知らない外国人に初めて会った時のカルチャーショックをいまでも覚えています。

そう考えてしまうことがすでに、日本を中心に考えている、視野が狭い、ということなんだなと改めて思いました。しかしそれは不思議ではありません。教育事情のお話をすると、ヨーロッパや、南米の場合、彼らが地理や社会科の授業で学ぶ事は当然ながら近隣国の事なわけです。そして日本の小学校、中学校のように長時間学校で勉強する国は実は少ないんです。アメリカなどは全日制ですが、南米の諸外国は基本的に小・中は半日しか授業がありません。授業時間が短くなれば、学ぶ内容や知識の量に偏りが生まれて当然です。だから日本を知らない人がいても不思議ではないのです。

また、残念ながら真面目さが商売と結びつく時と、結びつかない時があるようで、金儲けがうまいとか、マーケティングが上手いといった印象は韓国・中国に取られてしまっています。真面目だからこそ、仕事の質は高いが、嘘がつけず、人の迷惑を考えてしまうので、ずけずけと踏み込んでいけないといったことは“日本人あるある”であり、海外の人も少なからずそういう印象を持っています。

外国人にとって「過労死」は冗談でしかない

多くの国の人々が日本の働き方についてものすごいことを考えています。「日本人は鎖で会社に繋がれてる」とか「日本人の人生は仕事する事だ」とか「奥さんを放っておいて仕事するなんて頭おかしいだろ」とか、思われてます。こないだ、日系パラグアイ人にも言われました。そしてそんな風刺画の多い事、多い事。胸を張って「そんなことないよ!」と言えないから悲しいです。

ただ、日本の情報がたくさん入る英語圏などは過労死や長時間残業の実態を正確に知っている為に、仕事に縛られる恐ろしい国であるという認識を持っていますが、パラグアイを含めたスペイン語圏ではそんなに詳しく過労死やサービス残業事態が取り沙汰されることはありません。せいぜい、「日本人は働き者だよね」ぐらいの認識を持っているだけです。だから過労死の話をしてもちんぷんかんぷんです。

なんで仕事しすぎで死んじゃうの?座ってるだけでしょ?なんで仕事が忙しいと自殺するの?働きすぎたら死んじゃう虫なの?

と笑い話にされますが、私も答えようがありません。いやー、本当にストレスっていうのは恐ろしいものなんだよ。上司の圧力ってすごいんだから、周りからのプレッシャーも怖いんだから…と言ってみても、本当にわかってるのか理解するのかを諦めたのか。なるほどね。といわれて終わりです。それぐらい訳のわからないものなのです。

過労死というのは、個人の一生を安易に終わらせてしまうだけでなく、日本経済や日本企業を終焉に導くものだ。とこの場を借りてお伝えしたいです。

日本人の仕事に対するこだわり

海外からみた日本人の仕事振りや極端な日本人について執筆してみました。前述の通り、いち消費者から見ると日本のサービスや企業の細かさ、こだわりは本当にすごいものであると思います。けれどそれゆえに、日本が疲弊し、ストレスを溜めて過労死してしまうという実態は改めざるを得ない事実であると思います。

現在では、プレミアムフライデーなどの取り組みも進められていますが、日本が抱える問題はその就労環境ではなく、社内環境にあると思います。そして厳しい社内環境を生み出しているのは100%のサービスを行わなければいけない、という競争心がそうさせるのです。その社内環境や会社の常識は容易に変えることができません。それは上司が変わらないからです。

一方で現在、その社内環境に苦しんでいる方々も上司の立場になれば、自分達と同じことを部下にする可能性が高いです。その理由は、人間は教えられた通りにしか教えることができないからです。その負の連鎖を断ち切るには自社だけでなく幅広い他社の見聞を広めて自分の常識を覆すことです。

人はいつか歳を取りますから、世代交代される次の世代では過労死を生み出す長時間労働に頼らない。新しい日本の働き方を見つけたいものです。

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松田 秀篤
2000年、高校卒業後、私立専修大学に入学、会計学を学ぶ。その後、人材育成を主な目的とする経営コンサルティング会社、ビジネスコンサルタントに営業として入社。行動心理学、経営学、マーケティングなど「ヒトや組織」について学ぶ。リーマンショックをきっかけに同社を退職後、かねてから夢見ていた起業をに向けて動き出す新天地パラグアイにて翻訳、ライター、立ち上げコンサル業などを行う。現在は、組織の土台作りに奮闘中。
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