働き方によってこんなに違う! ママ社労士が教える出産、育児休業でもらえるお金、免除されるお金

働き方によって出産、育児でもらえるお金、免除されるお金は違う

会社員、会社経営者、フリーランス、どんな働き方であっても女性にとって出産、育児は人生における一大イベントです。妊娠中は体調の変化や予期せぬトラブルで思うように働けなかったり、産後は体を休める暇もなく育児がスタートしたりと私生活の変化が職業生活に大きく影響を与えます。

出産、育児により働けない期間があると収入ダウンは避けられません。そのため、社会保障制度として産前産後休業中、育児休業中の金銭的不安を和らげるために様々な経済的支援が用意されています。しかし、働き方や加入している保険の種類によって、この経済的支援を受けられないケースがあることをご存知でしょうか?「フリーランスは会社員に比べて保障が無く不安定」と言われていますが本当でしょうか?

出産、育児においてどのような給付があり、働き方による給付の有無を次の表にまとめてみました。

会社員 会社経営者 フリーランス
出産手当金
出産育児一時金
産前産後休業保険料免除制度
育児休業給付金
育児休業保険料免除制度

※この記事での定義
・会社員    健康保険、厚生年金、雇用保険に加入し、各給付の受給資格を満たしている者
・会社経営者  法人の代表者、役員であって健康保険、厚生年金に加入している者。
       雇用保険の加入なし
・フリーランス 国民健康保険、国民年金に加入している者。雇用保険の加入なし

具体的にいくら違うのか?

例として会社員Aさん、会社経営者Bさん、フリーランスCさん、それぞれの月給を28万円とし、98日間の産前産後休業、子が1歳に達する日まで育児休業を取得した場合、給付金額、保険料免除額にどれだけの差が出てくるでしょうか?

各制度の概要を押さえつつ見ていきましょう。
※出産日を2017年7月1日とし、保険料免除額を算出する際の健康保険料、厚生年金保険料は協会けんぽ(東京都)の料率を使用しています

各制度の概要

<出産手当金とは>
出産のため仕事を休み、その間の給与が支払われない、または、減額されている場合の所得補償として健康保険から出産手当金が支給されます。会社員のみならず会社経営者も受給できますが、国民健康保険の加入者であるフリーランスは受給できません。出産日(出産予定日より遅れた場合は出産予定日)以前42日から出産日の翌日以降56日までの範囲内で仕事を休んだ期間支給されます。

1日あたりの支給金額
支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

例:標準報酬月額28万円、休業期間中は給与支給なし。
  98日間分の出産手当金の支給を受ける場合

計算式
  28万円÷30日×2/3=6,220円(1日あたりの支給金額)
  6,220円×98日=609,560円

・会社員Aさんの受給額    609,560円
・会社経営者Bさんの受給額  609,560円
・フリーランスCさんの受給額  0円

<出産育児一時金とは>
出産育児一時金は、健康保険の加入者が出産したときに、1児につき42万円が支給されます。加入している健康保険の種類を問わないので会社員、会社経営者、フリーランスであっても受給することができます。

1児を出産したとき
・会社員Aさんの受給額    420,000円
・会社経営者Bさんの受給額  420,000円
・フリーランスCさんの受給額 420,000円

<産前産後休業保険料免除制度とは>
産前産後期間中は申出により健康保険料、厚生年金保険料の支払いが免除されます。
ただし国民健康保険、国民年金では免除されません。
※2019年4月から国民年金でも免除されるようになります。

・会社員Aさんの免除額     117,987円
・会社経営者Bさんの免除額   117,987円
・フリーランスCさんの免除額  免除無し

<育児休業給付金とは>
育児のために仕事を休み、育児休業中に給与が一定以上支払われなくなった場合に雇用保険より育児休業給付金が支給されます。子どもが1歳(保育園に入所できない等特別の事情がある場合は1歳6か月)まで給付を受けることができます。雇用保険に加入できない会社経営者、フリーランスには支給されません。
※2017年10月から最長2歳までに延長されます

1日あたりの支給金額
育児休業開始日から180日まで 休業開始前賃金日額の67%
育児休業開始日から181日以降 休業開始前賃金日額の50%

子が1歳に達する日まで育児休業を取得した場合
・会社員Aさんの受給額    1,699,538円
・会社経営者Bさんの受給額   0円
・フリーランスCさんの受給額    0円

<育児休業保険料免除制度とは>
育児休業期間中は申出により健康保険料、厚生年金保険料の支払が免除されます。ただし、雇用保険に加入している労働者のみが対象となるので会社経営者、フリーランスには適用されません。

子が1歳に達する日まで育児休業を取得した場合
・会社員Aさんの免除額      432,619円
・会社経営者Bさんの免除額   免除無し
・フリーランスCさんの免除額  免除無し

まとめ

それぞれの受給額、保険料免除額をまとめると次のようになりました。

会社員Aさん    総受給額 2,729,098円  保険料免除額 550,606円 
会社経営者Bさん  総受給額 1,029,560円  保険料免除額 117,987円
フリーランスCさん 総受給額  420,000円  保険料免除額    0円

フリーランスにとっては厳しい結果となってしまいました。
確かに受給額、保険料免除額で比較すると会社員が優遇されているのは明らかです。
しかし、フリーランスには時間や場所に縛られることなく自由に働けるメリットがあります。
だからこそ休業期間中の保障の内容を把握し、出産、育児での金銭的ハードルを乗り越えられるように備えておく必要があるでしょう。

現状ではフリーランスという働き方に出産、育児の支援制度の整備が追い付いていませんが、
2019年4月より産前産後休業期間中の国民年金の免除制度が始まる予定です。
少しづつですが誰もが安心して出産、育児に取り組める社会に近づいているのではないでしょうか。

社会保険労務士
ヨーヨーパフォーマー
飯塚  知世(旧姓:七田)
スピカ社会保険労務士事務所代表
学生時代よりヨーヨーパフォーマーとして活動する異色の社労士。一児の母。
東京都新宿区にスピカ社会保険労務士事務所を開業。子育て世代の経営者、社員の働き方サポート、クラウドを活用した業務効率化、人事労務コンサルティング、就業規則作成、助成金申請を得意としています。freee1つ星認定アドバイザー。

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