監視がいない在宅勤務者って、どうやってやる気スイッチを入れているの? >> その方法があったか

こんにちは、先日、働き方の取り組みのまとめページを公開したシックス・アパートの作村です。みなさん、ビタミンCはとってますか?わたしは1年前に栄養士さんに教えてもらって、風邪の予防にとレモン50個分の栄養があるC1000を飲み始めてから風邪をひいていません。

なぜ突然ビタミンC の話を始めたかというと、現在、夏バテ中のためです。夏バテになると仕事のやる気が出ませんよね。いま書いているこの記事の執筆も、全然やる気が出ませんでした。そんなときにC1000を飲むと、ちょっとだけやる気が出ます!(個人の感想です)

というわけで、本稿では、いま少しだけ湧き出たやる気を使って、周人の監視がないテレワークでは特に難しいといわれる”やる気の出し方”について考えてみます。参考にする書籍は、認知心理学の本『ファスト&スロー』です。それでは、いってみましょう~。

仕事は、はじめるまでが億劫である

あらためて白状する。わたしは仕事をはじめるのが億劫だ。この夏の暑さに関係なく記事(エッセイ)を書くのも億劫だ。ただ、新しいアイデアや企画の話をしているときはワクワクする。だから仕事は嫌いじゃないはず。しかし、ワクワクしていたアイデアをいざ形にしようとするとき、「やる気」が出ない。びっくりするほど出ない。

空想の仕事を頭の中で段取りする。あれを下調べして、あの人に根回しして、ポンチ絵作って、あの人に説明し行って、承認もらって、あのグループにシェアして、契約書案作って、あの部署に確認貰って、ToDoリスト作って、あの会社も仲間に引き込んで、(中略)なんやかんやで準備は整ったとして、この企画は今やるべきなのかを最後に考えると…。

あーーー、めんどくさ!!

となる。こんな自分はとてもプロフェッショナルとは言えない。そう考えていた。NHKの『プロフェッショナル・仕事の流儀』で天ぷら職人・早乙女哲哉さんの言葉を聞くまでは。

何が一番好き?やっぱし仕事かな。何が一番嫌い?そりゃ仕事だよ。とことん全部自分の持っているもの出ださなくちゃいけないから,はじまるまでは億劫なんだよね。

これは大変な話だ。もしこの話が真実だとすると。面倒くさがり屋ほど、見通しが立っていて、作業コストの見積もりが正確で、完璧主義者ということになる。つまり面倒くさがり屋ほど頭脳明晰である一方、なにごとにも前向きでいつも頑張ってるつもりの人間ほど、実は何も見えていないことになってしまう。

面倒くさがり屋と、考えずに仕事する人間、一見相反する2つのタイプの人間だが両者には意外にも共通点がある。どちらもできるだけ頭を使わずに仕事したいと考える。頭を使う、つまり熟考するには大きな努力と気力が必要なのだ。本稿では「熟考して仕事すること=やる気スイッチを入れる」と定義する。

幸か不幸かこの話を立証する理論がある。ノーベル賞受賞者でもあるダニエル・カーネマンの『遅い思考と早い思考』だ。

この理論の仕組みを簡単に説明する。(詳細を知りたい方はぜひ『ファスト&スロー』を読んでほしい) 人間の脳みそは2つのシステムで構成されている。直感的で衝動的な「システム1」と、論理的で注意深い観察ができる「システム2」だ。

    「システム1」の特徴
  • 自動的に高速に働く
  • 働かせるのに努力はほとんど不要
  • 合計が苦手(||||||||||←見ただけでは10本とわからない)
  • 自分がコントロールしている感覚は一切ない
  • 思い込みや錯覚、リスク軽視といったエラーを起こしやすい
    「システム2」の特徴
  • 論理思考能力を備える
  • 思考速度が遅い(17×24を計算してみてください。それが遅い思考です)
  • 自動では働かない
  • 稼働するとき気力を消耗する(消耗しない状態を「フロー状態」という)
  • 怠け者である

それぞれの特徴から、仕事のスピードと創造性に関連するのが「システム1」であり、仕事の正確性、論理性に関係するのが「システム2」であることがわかり、自動運転可能な「システム1と違って、「システム2」の稼働の継続には気力を要する。

マイペースで歩くとき働く脳が「システム1」で、早歩きが「システム2」だ。ジョギングのとき働く脳が「システム1」で、ランニングが「システム2」だ。ジョギングより早歩きの方が疲れると感じるのは実感の通りだ。また、気を抜くと早歩きはマイペースの歩きになってしまうことから、「システム2」には集中力が必要なのがわかる。

「システム1」だけで仕事をすると早いけどミスばかりになり、周囲からの信用をなくす。「システム2」だけで仕事すると出来上がりはいいけど、継続的な集中が必要だから連続して仕事をこなせない。

というわけで、全体の生産性高めるには「やる気スイッチ」の必要がない「システム1」に仕事の量をこなしてもらい、怠け者の「システム2」には仕事をお膳立てしてから質(仕上げ)をこなしてもらうことになる。

ブログでもレポートでも文章を書くことは常に億劫である。面倒くささを感じていないなら、それは「システム1」で書けること、つまり大した内容ではない。あるいは、考えなくても書けるほど知識の土台ができている。

文章を書くときの「やる気スイッチ」の押し方

文章を書くコツは、完成を考えないで書きはじめることだ。

考えていること、思ったことを支離滅裂でいいので書き綴る。このとき、文脈や整合性、前後関係は気にしないのがポイントだ。文章という粘土をひたすらこね回す。完成形をイメージして粘土をこね回すのではなく、作っては壊し、作っては残し、作っては繋げるをひたすら繰り返すのだ。

この作業は直感と高速思考が得意な「システム1」が自動運転でやってくれるから、疲れない。気力を使わない。努力も必要なし。1記事3,000文字が目標なら、思ったことをひたすら文字に起こしていく。それを続けていくと、気がついたときにはだいたい1,500文字くらいは書けてる。ボリューム的には半分に到達している。

この段階では内容よりボリュームが大事だ。ボリュームの到達点が半分を超えてくると、書きはじめる前には接着剤でガチガチに固まっていたやる気スイッチが、ゆるゆるの状態になる。ここでやる気スイッチを押すんだ。「システム2」稼働開始!!

ここから「書く作業」から「書き直す作業」に質的に変わる。書く作業と比べて書き直す作業は圧倒的に楽だし、「システム2」の本来の能力である、調査、論理的、疑問、批判など仕事の精度を向上させる力を発揮できる。書き直しているうちに1,500文字だった文章が3,000文字くらいに増えている。

そして、不思議で面白いことにこの段階まで来てはじめて結論が見えてくる。結論を導きだすのは、やる気スイッチ押してからの「システム2」の仕事だとわかる。これは多くの人にとって僥倖(ぎょうこう)だろう。文章を書くには、書く前に起承転結を考えてから書くようにと習った記憶がある。しかし、真実は、「結論に到達してから、起承転結を整える」だった。

仕事はダラダラ始めよう

書く以外の仕事も理屈は同じだ。最初から完璧を求めて満点の設計図を作ろうとするからうまくいかない。まずは「システム1」の自動運行モードを使って質より量を求める。努力を必要としない「システム1」の自動運行モードで集めた素材を、「システム2」でじっくり料理する。

結論はこうだ。仕事はダラダラ始めよう。(了)

この記事はここで終わる予定だったが、「あぶない、あぶない」

最後のさいごで手抜きをしてしまった。結論にすぐ飛びついてしまうのも「システム1」の特徴だ。その上、自宅勤務だと、ゲーム、漫画、テレビ…と甘い誘惑が多く、仕事を早く終わらせたいがために安易に結論に飛びつきやすい。誘惑をシャットアウトし、結論に飛びつきたがる「システム1」を締め上げるのも「システム2」の役割だ。

結論はこうだ。仕事はダラダラ始めて、しっかり締めよう。(チャンチャン)

事業開発担当として2011年より、シックス・アパート株式会社に勤務。現在は、経営企画も兼務。東京生まれ。社会人としてのほとんどの時間を横浜/鎌倉で幸せに過ごす。一児の父。好きな言葉は「合理的な非常識」。2016年夏、テレワーカーとして働き始める。自らを実験台にテレワークの様々なアイデアに挑む。 ※当連載の内容は個人によるもので、シックス・アパートを代表するものではありません。 Twitterアカウントはこちら