メンター制度を成功させるために知っておくと良い「意義、準備、諸注意」について

新入社員など若手社員のサポート役として、比較的年齢の近い先輩社員(メンター)が指導にあたる「メンター制度」。若者の3年以内離職率の増加が増える中、若手の成長を促す施策として取り入れられています。

厚生労働省の「ロールモデルの育成およびメンター制度の導入に関するアンケート調査」によると、メンター制度の導入によって65.3%の企業が「メンターの人材育成意識が向上」し、63.6%の企業が「メンティのモチベーションが向上した」と答えています。

メンター制度導入にあたり、多くの企業では指導を受ける社員(メンティ)と年の近い社歴2~3年目の若手にその役目を任せることが多いでしょう。しかし、「若手が若手を指導して効果があるのか?」と制度の効果に疑問を感じる方いるかと思われます。

そこで、厚生労働省による「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」をもとにメンターに必要なスキルや知識など、メンターを機能させるための最低限のノウハウを見ていきましょう。

メンター制度の意義3つ

メンティが問題を抱えていたときに、命令による指導で解決させるのではなく、悩みを聞いて解決に導くための「気づき」を与えるのが本来のメンター制度です。メンター制度には以下の意義があります。

1.気軽に相談を持ちかけられる
新入社員の多くが抱える悩みといえば、職場の人間関係です。バブル期までの大量採用時代には、同期入社の人数が多かったので、何か悩みを抱えていればこうした同期の存在が受け皿となり解決の道筋を見つけていました。

しかし、バブル後に企業が採用人数を絞り込んだことで、気軽に相談を持ちかけられる同期の存在が希薄になり、新入社員は孤独と困難を抱え込むことになりました。メンターという年の近い頼れる存在がいることで、新入社員はロールモデルを得て企業への愛着と仕事へのモチベーションを高めることができます。

メンターを選ぶ際、同じ部署の先輩社員がつくこともありますが、基本的には別の部署の社員を選ぶほうが好ましいでしょう。人間関係に関する悩みを抱えていた場合、同じ部署の人間は「当事者」であるため、公平な目で判断し、助言を与えることが難しくなるからです。

2.メンター自身の振り返りと気づきを与えられる
メンターの多くは、社歴2~3年目の若手が任命されます。企業全体の組織で見れば、メンター自身もまだまだ若手で、業務の一端しか担っていないことも多いでしょう。

メンター自身も悩みや困難を抱えていることもあります。こうした若手社員があえてメンターという役割を負い、数年前の自分と同じ新入社員の悩み相談に乗ることで、新たな気づきを得て自分自身について振り返るきっかけとすることができます。

3.企業風土の醸成につながる
バブル期以降、新入社員の採用を絞り込んだことで1人当たりの比重が大きくなり、企業全体で新入社員を育てるという風土が薄れつつあります。

メンター制度を導入し、先輩社員が新入社員を育てるという関わりの中で、企業文化を継承していくことができます。また、社内全体にも、人材育成の意義を再認識させることができます。

制度を有効化するための準備や注意点

メンター制度を意義のあるものとするためには、事前の準備や運用ルールの策定が肝心です。

1.運用ルールを決定する
メンター制度を導入するために、最低限決めておくべきルールは3つです。

・ペアの間で話し合われた内容を口外しない
・不都合が生じたときの「相談窓口」を設ける
・業務の一環と位置づけ、原則として面談は「就業時間内」に行う

メンタリングの期間は1年程度としたほうがよいでしょう。あまり短期間に限定してしまうと、「相談する」→「アドバイスする」→「気づきに基づいて行動する」→「結果を確認する」というPDCAプロセスがきちんと回らない可能性があります。

また、メンター同士の関係に齟齬(そご)が生じたり、なにか問題があったりした場合は、人事部などが介入役となることを双方に伝えます。

2.メンターの選定
メンター選びは以下の4点を留意しましょう。

・メンティのキャリア志向とメンターの経歴が合うか
・メンティの期待とメンターの特性が合うか
・メンティ、メンターの所属部署・ラインは別か
・メンティの能力開発ポイントを補強できる特性をもつか

メンティが女性だからといって女性社員を充てなくてはいけないということはなく、性別が違うペアのほうがうまくいく場合もあります。制度の参加者は自薦他薦を問いませんが、社内を巻き込むためにはメンティ・メンターともに公募するとよいでしょう。

3.事前研修
メンター制度実施前に、メンターとメンティに対して事前研修を行います。事前研修の目標は以下の通りです。

・メンター制度やメンタリングについて正しい知識を与える
・制度を有意義なものとするために必要なスキルを身につける
・メンタリング中に問題が生じた場合の対処法を理解する

また、人材育成意識を高めるために、メンターとメンティ双方の上司も出席することが望ましいでしょう。

4.メンタリングの実施
メンタリングの実施については、各ペアに任せるべきですが、基本は対面での面談をメインとし、フォローアップでメールや電話などを用いましょう。

また、メンター自身も業務を抱えて多忙であることをメンティに伝え、面談時間などはメンターに合わせるようにします。面談を重ねるうちに目的が曖昧になる可能性があるため、面談後には振り返りと情報共有のための「面談シート」を作成するといよいでしょう。

5.メンタリング終了後
メンタリング終了後には、双方の当事者へのヒアリングのほか、上司・関係部門への報告をします。また、経営幹部への理解を深めるためにも事後の報告を行い、報告会を開催するのであれば参加を促します。

メンタリングで注意すべきポイント

メンターがメンティに接する際に注意すべきポイントは以下の通りです

・メンティの悩みを否定しない
・メンティと同じ目線に立つ
・答えを教える、命令や指導するのではなく、共に考える
・いつも同じ態度で接する
・できるだけ力になろうと努力する

これらのポイントを抑えることで、メンターとメンティの信頼関係を深め、制度を意義あるものにすることができるはずです。

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