シリコンバレー発グローバル起業家育成プログラムが社会人起業家・再起業家の育成に力を入れるワケ

みなさんは、「アメリカの起業家」、「シリコンバレーの起業家」と聞くと、どのような人物像を想像されるでしょうか?

高校在学中からインターネットサービスの開発を始め、ハーバード大学在学中には「Facebook」を立ち上げ、世界中の人々の生活を変えたマークザッカーバーグ?

ペンシルバニア大学卒業直後に1社目の起業を果たし、立て続けに、世界的な決済サービス会社「PayPal」、電気自動車関連メーカー「Tesla」、そして今や航空宇宙産業をもリードする「Space Exploration Technologies」を創業したイーロンマスク?

古くは、パーソナルコンピューティングの礎を築いた偉大な大学中退組、「アップル」のスティーブジョブズに、「マイクロソフト」のビルゲイツ?

多くの方々が、20代という年齢にも関わらず世界に影響力のある事業の立ち上げに成功し、莫大な富と名声をも手にした、若き起業家達を想像されるかもしれません。一方で、アメリカやシリコンバレーの多くの起業家の創業年代は実はもっと高いという記事も、ここ数年、メディアなどで目にするようになってきました。

>> シリコンバレーで起業家年齢が上昇 (THE WALL STREET JOURNAL)

>> 米起業家の約6割は40歳以上、「IT創業者」とイメージ異なる (REUTERS)

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起業家適性に関するFounder Institute流の考え方

私たちは、シリコンバレーの中心地パロアルトで2009年に誕生し、これまでに世界100都市以上で2000社以上のスタートアップ企業を輩出してきた、グローバルスタートアップ創業支援プログラム「Founder Institute」の東京支部を2014年より運営しています。

Founder Instituteはシリコンバレー及び世界で蓄積される起業ノウハウを惜しみなくグローバルで共有し、社会的に創業意義のある事業を、持続可能な形で立ち上げる支援を行う、ということをミッションとしています。

・起業未経験者に対して広く門戸を開いている
・数万円程度の最低限のグローバルプログラム維持・運営費をいただいた上で、基本的にはストックオプションのような成功報酬型で、それぞれの国のディレクター、メンター、及び各学期ごとの卒業者といった参加者全員での利益シェアにて運営を行う
・各国の運営は原則として、Founder Instituteの使命に共感した各国のスタートアップエコシステムに関わるディレクター陣が、スポンサー企業様の協力も得ながら、ボランティアベース(上記、成功報酬型の利益シェアのみ受領)でプログラムの運営を行う

という特徴があるため、運営サイドは極力人手をかけずに、成功確率の高い起業家候補を選考し、育成する必要があるのです。ですから、グローバル共通の参加者の選考基準及び選考方法は、「統計的・科学的なIT手法」を駆使し、非常に合理的なものを目指しています。

具体的には、「過去、数万人の被験者が受験し、徹底的に起業後の成果のトラッキングを行うことで精度を高めてきたオンラインの起業家適性試験」のみで選考を行っており、なんと、スタートアップ支援プログラムでありながら、「事業アイデアについての評価は一切行わない」というユニークなものです。

それでも、Founder Institute本部の発表によると、85%程度の精度で、適性試験の点数と起業初期の成功確率(プロトタイプを開発し、商品・サービスを立ち上げ、初期の資金調達に成功するまでの確率)はリンクしていることが確認できているとのことなので、それなりに信ぴょう性のあるアプローチだと考えられています。

今回は、このFounder Institute流の選考基準を通じて、「起業家適正と年齢」についてのお話しします。

Founder Instituteとしての結論

さっそく結論になってしまいますが・・・

起業家の年齢にこだわる必要はないが、起業を志そうとしている業界の専門性、特に顧客と顧客の直面している具体的な問題点・痛みについての知見はあった方が良い

これが、Founder Instituteとしてのざっくりとした年齢や経験に関連する起業家適性の捉え方です。Founder Instituteのターゲットプロファイルは「5年以上の社会人経験(業界経験)を持っていることが望ましい」とされており、具体的には大学・大学院卒の起業家候補の場合「28~30歳以上」という目安が設定されています。これまでに東京で開催した第1期~第3期の参加者を見ても、やはり、30歳前後の年代が多く参加していました。

一方で、第3期を卒業されたある女性起業家は、なんと30年近くのキャリアを持つベテランながら、早々と500startupsなどの次のステージのスタートアップアクセラレーターからも出資や支援を取り付け、さらには大手企業との提携関係も次々に実現しており、まさに急成長を遂げています。

実は彼女はこれまでのキャリアの中で、情報システムの受託開発業務に長年従事していました。「人手不足に悩まされている様々な専門業種の人繰りを、自動化によってサポートするプラットフォームを作りたい」という課題意識で一念発起し、Founder Instituteに参加する際には「第二創業」のような形で新規事業の立ち上げに専念する道を選んでいました。

この起業家の成長を傍らで拝見していて、Founder Instituteの起業家選考基準は理にかなっているなあと実感したことを鮮明に記憶しています。

Founder Instituteが考える、成功する起業家の資質

Founder Instituteが特に重視している、成功する起業家の要素は以下の4点です。

・プロフェッショナルとしての経験
・オープンマインド
・高い認知能力
・対人関係の適度な許容性

一番目の要素はすでにご説明した通りですが、起業家の最初の大仕事は顧客とその課題をしっかりと定義し、向き合うことに尽きると思います。そういった意味では、業界経験がゼロでは起業は厳しいのですが、一方で業界慣習に染まってしまうと「課題」に気付けなくなってしまうリスクもあるので難しいところです。

二番目の要素「オープンマインド」が、まさにそのリスクへの耐性といえます。「既存の常識にとらわれず、新しい知識や経験、考え方を追い求め、挑戦しているか?」、「言い訳や攻撃でなく、創造に力を注ぐことができるか?」、そういった観点の適性をFounder Instituteは重視しています。

また、この要素に関しては、比較的、若者の方が優位かもしれません。もっとも、Founder Instituteの過去の参加者を振り返る限り、年代というよりも、人それぞれの個人差のほうが大きい印象もあるのですが。

三番目の要素「高い認知能力」とは、空間パターンや図形パターンの認識能力、論理的・抽象的思考能力といった能力を指します。起業家にとって、自らが置かれる状況変化やマーケットトレンドの動き、社会変化・技術変化を敏感に察知し、自分の事業へ俊敏に適用させるために必要な能力とされます。IQを構成する一つの要素ではありますが、一方でIQのトータルスコアと起業家としての成功にはあまり相関性が無い、とFounder Instituteが判断しているのも面白いところです。

そして最後の要素「対人関係の適度な許容性」は、時に優しく、時に厳しく、他人と接しながら、建設的な協力関係を保つための能力と解されています。起業家は他人に甘い顔ばかりしている訳にはいきませんし、さりとて常に自分のことばかり考え、攻撃的に人と接しているだけではせっかくの協力者も離れてしまいます。それゆえに、「適度な」許容性が必要となるのです。

先ほどご紹介した女性起業家は、「年の功」とも言える豊富なプロフェッショナル経験と、高い対人能力を活かしつつ、20代の若手起業家にも負けない貪欲な好奇心と、変化をいとわない積極性を発揮して事業に邁進されていました。

年齢の壁を越え素質を最大限に生かすためのプログラム

「ベテラン社会人やベテラン起業家が、いったいいまさら起業プログラムで何を学ぶのだろう?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかも知れませんので、その辺りについても少し触れてみます。

「顧客と課題を定義しそこに徹底的に向き合う」という姿勢

それなりの業界経験があるばかりでは、逆に「これまでの当たり前」から抜け出せなくなる可能性もあります。

「周りの多くの参加者やメンターが業界の素人である」という環境の中で、徹底的に「それって本当なの?」、「こういう考え方ってできないの?」、「それをどうやって顧客からお金をいただけるビジネスにしていくの?」といった根本的な質問を受け続け、それに対するクリアな回答を探し続けることは、ベテラン社会人にとっても意義のあることです。

もちろん、若手参加者の、常識にとらわれないオープンな発想や、恐いもの知らずの積極性というのも大いに刺激になります。しかしそれだけでなく、「起業にまつわる知識」という観点からも、ベテラン社会人や「再」起業家の方々にとって大いに役立ったテーマがあったと聞いています。例えば、スタートアップ企業が一気に事業拡大をする上で避けては通れない「資金調達」について、資本政策の基本的な考え方、後戻りが難しい株主構成の考え方とリスクヘッジの仕方などは非常に役に立ちます。

また、会社設立や創業者間契約、顧客との契約などの「法務知識」についても、会社が成長する上で突然足元をすくわれかねないリスクをヘッジするという上で非常に参考になります。

事業計画、投資計画、資金繰りなどの「財務会計」の基本も案外分かっていない方が多く、起業の際のリスクヘッジに大いに役に立ちます。(Freeeのような強力な会計ツールの普及で、実務はかなり楽になっているとは思いますが)

もちろん、ディレクターやメンター、他の参加者、世界中に散らばる卒業生とのネットワークを通じて、今までの閉じた世界とは異なる人脈を広げ、事業拡大に役立てている卒業生もたくさんいます。せっかくの素晴らしいビジネスアイデアと事業実行力を持っていても、基本的な知識・ノウハウだけで容易に避けることができたはずの経営的な問題点で、会社が立ち行かなくなるのは大変もったいないことです。

今後もFounder Instituteは、溢れんばかりのバイタリティを持っている恐いもの知らずの若手起業家だけでなく、起業経験が無いベテラン社会人にも、あるいは既に起業経験があるベテラン「再」起業家にも幅広く門戸を開き、これらの参加者の方々が培ってきた経験を活かしつつ、成功確率を高める為の様々な「知識・ノウハウ」と、切磋琢磨の「場」を提供していきたいと考えています。

自分の手でどうしても解決したい「社会の課題」・「業界の課題」とその解決アイデアをお持ちの方は、是非、Founder Instituteの門をたたいて見てください!

◆Founder Institute Tokyo 第4期生募集説明会兼ミニセミナー②
“スタートアップの為のリーガル入門”
日時:10月26日(木) 18:30開場、19:00~21:00
会場:五反田ファーストビル(freee株式会社 本社内会場)
スタートアップ事業を法人化する際に必要な法人登記を初め、顧客との契約、個人情報や機密情報の取り扱いに至るまで、創業後すぐに直面する様々な法務的課題について、起業家はどのように対処すれば良いのでしょうか?本セミナーでは、数々のベンチャー企業の創業支援やIPOにも関与され、上場企業の社外取締役も歴任されている、起業法務の第一人者、FI東京のメンターでもある古田利雄弁護士からお話を伺います。
*参加申し込みはこちらにて受付中

以下のイベントは開催受付準備が整い次第、順次、FIフェイスブックページにて告知させて頂きます。

◆Founder Institute Tokyo 第4期生募集説明会兼ミニセミナー③
“スタートアップの為の資金調達入門”
日時:11月7日(木) 18:30開場、19:00~21:00
会場:六本木ヒルズ(Klub ventures内会場)

◆Founder Institute Tokyo 第4期生募集説明会④
“Founder Institute Tokyo インフォメーションセッション”
日時:11月20日(月) 18:30開場、19:00~21:00
会場:五反田ファーストビル(freee株式会社 本社内会場)

◆Founder Institute Tokyo 第4期生募集説明会兼ミニセミナー⑤
“従業員・研究者から起業家への転身”
日時:12月4日(月) 18:30開場、19:00~21:00
会場:STARTUP HUB TOKYO(丸の内 TOKYO創業ステーション内)

東京大学工学部計数工学科卒業後、社内起業家候補として光通信に入社するも、同社の経営危機に際してCFO室へ異動しグループ内の改革業務に開眼。その後、アーサーアンダーセン(現、PWC)にてクライアント企業の業務改革や事業再生に従事。2006年に起業し、現在はシンガポールと東京を往復しながら、欧米企業および日系企業のグローバルオペレーションの整備・拡大に関するBPOやコンサルティング業務を提供中。
なお、第二創業を志しFounder Institute東京第1期と、シリコンバレー本部主催のアドバンストコースを修了。現在はFI東京の共同ディレクターも兼任中。
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