源泉徴収が必要な報酬や料金には、どのようなものがあるのか?

従業員に対して給与を支払う際は、必ず源泉徴収をしなくてはなりません。また、フリーランスの人に業務を依頼した場合も、源泉徴収をしなくてはならないケースがあるのです。

源泉徴収が必要な報酬や料金にはどのようなものがあるのか、以下にまとめました。

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源泉徴収が必要な報酬の範囲

所得税法の第204条1~8では、源泉徴収が必要な報酬の範囲を定めています。以下は、個人に対しての報酬・料金において、源泉徴収が必要なものです。

1.原稿料や講演料やデザイン料等

ライターに支払う原稿料や、専門家に講演を依頼した場合の講演料、デザイナーにデザインを依頼した場合のデザイン料は、源泉徴収が必要です。場合によっては、「取材費」や「足代」、「お礼」などの形で支払うこともあるかもしれませんが、実態が報酬と同じであれば、源泉徴収をする必要があります。また、印税に関しても源泉徴収が必要です。

ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払いに関しては、1人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば源泉徴収は必要ありません。なお、支払い額の計算方法は以下のとおりです。

●支払金額が100万円以下の場合
支払金額×10.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%)

●支払金額が100万円超の場合
(支払金額-1,000,000円)×20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)+102,100円
100万円までは10.21%、100万円を超える部分については20.42%の税率をかける計算となります。

2.弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

会社の顧問弁護士や司法書士、税理士などへの報酬も源泉徴収が必要です。ただし、交通費や登記の際の登録免許税など、報酬にあたらない実費に関しては必要ありません。

司法書士、土地家屋調査士及び海事代理士の資格者に対してのみ、支払い金額から10,000円を引いて源泉徴収税額を計算します。それ以外の資格者に対しては、1の計算方法と同じです。

3.社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

社会保険診療報酬支払基金が個人の医師に対して支払う場合の源泉徴収です。ただし、医療法人の場合は源泉徴収されません。

4.プロ野球選手、プロサッカー選手、プロテニス選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

保険の外交員のように、営業マンを直接雇用してない場合も源泉徴収の対象となります。外交員の場合は、所得税及び復興特別所得税の徴収が必要です。

報酬・料金の額から1ヶ月あたり12万円を差し引いた残額に10.21%の税率をかけて算出します。なお、同月中に同じ人へ給与も支給する場合は、12万円から給与額を差し引いて計算します。

例えば、報酬・料金20万円と給与5万円を支払う場合
(20万円-(12万円-5万円))×10.21%
という計算式になります。

5.芸能人や芸能プロダクション等を営む個人に支払う報酬・料金

1の計算方法と同じです。

6.宴会等で接待等を行うことを目的とするホステス・コンパニオンに支払う報酬

ホステスに支払う報酬のほか、衣装代や交通費も源泉徴収の対象です。計算式は以下の通りです。
(その月の支払金額-5,000円×その月の日数)×10.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%)
「その月の日数」とは、「カレンダー上の初日から末日まで」の日数となり、営業日や出勤日ではありません。

7.プロ野球選手やホステスとの契約金など、役務の提供を約束し一時に支払う報酬

1の計算方法と同じです。100万円までは10.21%、100万円を超える部分については20.42%の税率をかける計算となります。

8.広告宣伝のための賞金、馬主が受ける競馬の賞金

懸賞クイズや大売出しの抽選における賞金や賞品、素人のクイズ番組・のど自慢における賞金や賞品も、源泉徴収の対象です。

賞金等の額から50万円を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて次のように算出します。
(賞金額-500,000円)×10.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%)

これは支払う賞金等の額が50万円以下であれば、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する必要はありません。当選者等を旅行に招待する場合は賞金に含まれませんが、旅行に代えて金品が選べる場合は対象となります。つまり、商品券やギフト券などは、その券面額が賞金となるわけです。
(出典:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

「デザイン料」の範囲について

1のデザイナーに支払う「デザイン料」について、所得税基本通達204の7で源泉徴収が必要な範囲が定められています。

1.工業デザイン(自動車、オートバイ、テレビ、工作機械、カメラ、家具、織物に関するデザイン)
2.クラフトデザイン(いわゆる雑貨のデザイン)
3.グラフィックデザイン(広告、ポスター、包装紙等のデザイン)
4.パッケージデザイン(化粧品、薬品、食料品など容器のデザイン)
5.広告デザイン(ネオンサイン、イルミネーションなどのデザイン)
6.インテリアデザイン(室内装飾のデザイン)
7.ディスプレイ(ショウウインドー、陳列棚、展示会などの展示装飾)
8.服飾デザイン(衣服、アクセサリー等のデザイン)
9.ゴルフ場、庭園、遊園地等のデザイン

(出典:国税庁「原稿等の報酬又は料金(第1号関係)」

「WEBデザイン」は少々複雑

なお、WEBサイトやアプリのデザインについては規定がありません。WEBデザイナーの場合は少々複雑で、「デザイン系であれば源泉徴収の対象」、「コーディングやシステム開発は源泉徴収の対象外」とされるようです。

そのため、デザインから開発まで、WEBサイトの構築全体を請け負っている場合は、「設計・ディレクション費」や「HTMLコーディング費」というように細かく分け、源泉徴収の対象となるもの、ならないものに分別する必要があります。

中には、源泉徴収にあたらない業務にもかかわらず、実際に支払う報酬金額を安くしようとして、源泉徴収した額で支払うケースも存在します。ですから、受注側は「源泉徴収の対象になるもの・ならないもの」についての正しい知識を持っておく必要があるでしょう。

法人への支払いはどうなる?

源泉徴収は、法人や海外居住者、外国法人に対する支払いにおいても必要となります。ただし、法人を対象に源泉徴収をしなくてはならないのは、「馬主である法人に支払う競馬の賞金のみ」です。

海外居住者、外国法人に対する支払いには、日本の法律のほか、相手国との租税条約も確認する必要があります。

発注側、受注側ともにコミュニケーションを密にすべき

源泉徴収が必要な報酬や料金の種類についてまとめました。源泉徴収が必要な報酬や料金には一定の基準があるものの、WEBサイトのデザインなど、時代の流れとともに新たな業務も発生しています。

発注側、受注側ともに、どの業務を源泉徴収すべきで、どの業務をすべきでないのかを、きちんと確認する必要があるでしょう。

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