だらしない経営者、ヤバいと感じる会社の特徴ってある?税理士さんに訊いてみた

日頃からたくさんの経営者と接点のある税理士さんや会計士さんは、きっと膨大なデータが頭に入っているはず。ひょっとして、”ダメな経営者”とか”危ない会社”の特徴・傾向を知っているのでしょうか?あれば知ってみたい気もするし、ご自身が経営者の立場だったら、振り返ってみるいい機会になるかもしれません。

ということで、会計&税務の専門家、会計事務所アリーの田中貴久さんにこっそり教えてもらいました。

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田中さん、よろしくお願いします!


だらしない(or しっかりした)経営者の特徴ってどんな部分に現れる?

― 田中さんが注目するのって、経営者のどんな部分ですか?

「交際費と会議費の使い方」ですね。ここに本性が現れやすいです。個人的な印象ですが、営業畑の出身者の経営者のほうが杜撰な傾向があります。仕事を獲ることにガツガツつしてて、お金は使ってナンボって精神があるからかもしれないです。「会社が回っているからOKだろ」って考えるのはこのタイプの経営者あるあるです。

― よく言えば攻めの姿勢……豪快で豪放とも言えません?

もちろんです。ビジネスを加速させるにはある程度のアグレッシブさが必要です。ただ、それも程度問題なんですよ。会社勤務のころは、社内に上司や経理部門って管理者がいたので、ある程度歯止め効果もあったわけです。社員同士のミスをカバーしあう体制があったんですが、独立すると好き放題できてしまう。少々金を使ったって、それ以上に案件を獲ればいいんだろ?って感覚なんですよね。なので、税理士が「この使い方はまずいですよ!」とかサポート&アドバイスする必要があります。対照的に、技術畑出身の経営者は慎重で合理的な思考の経営者が多いかなと。

― 交際費と会議費の使い方が荒い経営者は、どうしてそうなってしまうんでしょう?

「会社のカネ=自分の財布」という感覚になってしまうからじゃないでしょうか。公私が混同するのは典型的なダメ経営者です。ひどくなると、金融機関から借り入れしてキャッシュが入ったとたん、気が大きくなって無駄遣いに走るケースもありますね。

― えーっと、あけすけに言っちゃいますけど、交際費と会議費って要するに”豪華な飯と酒”ですよね…?

それは否定しません(笑)。まあ、お酒に罪はないですし、食事を交えた商談も当たり前の商行為です。それ自体は悪くありません。あ、ただし、ギャンブル好きはなんのプラスもないです。ビジネスの成功には邪魔な要素でしかありません。

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― 節税対策として赤字にするために、交際費と会議費をバシバシ使う…のもありそう

ありますね。赤字にしたがる経営者は、基本的にお金に杜撰な傾向があります。節税は大事ですのでもちろん行うのは構いませんが、危険なのは「税金を払うくらいなら経費で使ってしまおう」という思考。日々の細かな支払いのときに「この支払いは節税のためなのだ」って言い訳しがちなんですよね。”節税対策”を免罪符にやたら経費を使いたがるようでは、いつかしっぺ返しを食らうでしょう。

 

ヤバいな…と会社と感じる会社の特徴・どこを観察している?

― これまでのキャリアでいろんな会社の悲喜こもごもを見聞きしてきたと思うんですが、ずばり、”ヤバい会社、ダメになる会社”の特徴ってありますか?

大きく二つですかね…。ひとつめは「経営者の従業員の扱い」でして、経営者とか経営陣といった立場が上の人の従業員への接し方がなってないのは悪いサインです。

― 最低限のリスペクトもないとか、人格否定するような?

ええ、人としてその接し方はないだろ…って会社は経験上、ダメになるパターンが多いかと。社内の空気、雰囲気もわりと大事にしてて、オフィスフロアがどよーんと暗い空気ってのもよくない兆候です。データも根拠もないんですが、こういう第一印象はかなりの確率で当たるものです。うまくいってる会社は従業員に権限を適度に与えていたり、明るいコミュニケーションがあり、生き生きと働いています。

あと、従業員の扱いが悪い会社は「従業員の離職率」が高い…。この数字はいくら取り繕ってもごまかせないですよ。

― 会社の空気って隠せないですものね……。ふたつめは?

「売上に見合ったお金の使い方ができない」です。身の丈に合った経営をすべきで、そのための節約は恥ずかしいことではありません。売上が低いなら、それに見合ったテナントに引っ越す、通信費をカットする、備品のグレードを落とす、そして交際費と会議も絞る……そういう行為をかっこ悪いと考える経営者、体面を気にして虚勢を張る経営者も悪いサインです。

細かな節約、お金の管理を経営者ができているかって意外に大事です。ひらたく言うと、会社のお金がどれくらいのペースで減っているか知るべしってことですね。さもないと、ブレーキをかける・かけないの判断ができません。会社の金の使途や流れを把握していれば、節約しなくてはって危機感が自然とわくものなんです。それが人任せだと、1.無駄遣いする→2.実情を知らないので自覚症状がない→3.反省する機会がない→1に戻る、というループに陥るのです。

 

どのように(社長の意識や態度を)改善する?

― 経営者が心を入れ替える瞬間とかキッカケってありますか

なかなか難しい。我の強い経営者や自信家だとなおさらです。いちばん効き目があるのは決算の時期でして、数字に語らせれば一発ですからね。

― そこで挽回できればいいですが、手遅れだと目も当てられない

そうですね…。そうならないためにも、経営者自らがお金の流れとかストックをざっくりでもいいので把握しておくといいでしょう。べつに会計のプロになる必要はないので、面倒に感じるかもしれませんが、せめて自分でfreeeを使ってみるとかでも十分です。面倒くさいことは金で解決したがる……のはあまり褒められないかなと。言い換えると、本気で事業を成功させたいのなら、会社のカネの流れを知ろうとする努力くらい大したことないはず…だと思うんですよね。

これから起業、開業する人へのお金に関するアドバイス

― 税理士の立場から、これから起業する人へアドバイスをお願いします

ズバリ、「お金の借り方」を知ってほしいです。融資を受けるには金融機関に事業を説明しますよね。そのために経営者がまず会社を深く知ろうとします。そもそも起業する理由とか、どんな仕組みで売り上げが立つのか…そうすることによって会社の売り上げと経費を把握できるんです。ですので、ざっくりでいいので事業計画書をつくりましょう。

 

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― 細かく完璧に仕上げないといけませんか?さもないと、金融機関が相手にしてくれないとか

細かいことは税理士に相談すればいいです。税法は知ってて損はないですけど、無理に勉強はせず、専門家に任せましょう。自分で決算書をつくろうとはせず、これも任せてOKです。ただ、最初の一歩は社長本人がやる必要があります。それすらもできないのはちょっと…先が思いやられますね。

あともうひとつ、「中小企業はキャッシュが大事」ということも声を大にしてお伝えしたいです。

― キャッシュですか?利益ではなく?

損益うんぬんも大事ですが、とにかくキャッシュを持っていないと話にならないし、さもないと支払いが回らず倒産します。キャッシュの節約のために固定費を減らそうと考える経営者は多くて、それは良いこと。逆に使うべきお金は「広告宣伝費」や「集客コスト」です。いくら節約に励んでも、顧客が獲得できなければ何も始まりませんから。

― 「交際費」も広義での広告宣伝費に入り…ますかね?(笑)

入ります。ですから交際費も会議費も正しく使えば効果はあるんですよ。ただ、くれぐれも散財するための免罪符にしないように…。

― 交際費や会議費をバシバシ使いたがる経営者って、いまどきの若い人にはあまりいないような気がするんですが…昭和的というか

その通りでして、若い経営者のほうが合理的かつロジカルにお金を使おうとします。夜の会食ではなく、ランチミーティングといった具合に。費用対効果をちゃんと考えて行動しているっぽいですね。むしろ、中年経営者のほうが交際費、会議費がルーズになっているかなと。

― オッサンとして心に刻みます!貴重なお話、ありがとうございました!

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田中貴久(公認会計士・税理士)
愛知県田原市出身 早稲田大学教育学部卒業
2016年に会計事務所アリ―を設立し代表に就任

【会計事務所アリー】東京都港区赤坂2-16-6