2019年05月29日(水)0ブックマーク

生産性分析を駆使して効率の良い経営を|生産性分析の手法について

経営ハッカー編集部
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人口減少が止まらない現代、経済が落ち込む中で企業が生き残るには、いかに少ない労力で効率的に利益を上げ続けるか、ということが課題となっています。

今回解説する「生産性分析」は、従業員や機械など、細かい単位が生み出す利益がどれくらいなのか、それぞれ効率的な働き方ができているのかなどを明確にする分析方法です。企業経営には欠かすことのできない指標となっているため、この機会にしっかりと理解しておきましょう。

目次

    1.生産性分析とは

    「生産性分析」とは、製品やサービスの生産過程において、その「効率性」を明確にするために使われている分析方法です。聞きなれない用語がいくつも出てきますが、簡単にまとめると、以下の図のようになります。

    生産性とは

    「生産性」とは、「投入量」と「産出量」の関係性のことを言います。簡単に言えば「投入量」とは企業が製品を生産するのに必要とする人や機械の量のこと、一方の「産出量」とは、文字通り製品が産出される量のことを指します。つまり「生産性」とは、従業員一人ひとり、あるいは機械一つひとつが、いかに利益をあげたか、ということを表しているということになりますね。

    生産性分析とは

    その生産性をより細かく調査しているのが、財務分析の方法における一つ「生産性分析」です。一般的に、企業経営に欠かせないと言われる三要素「ヒト、モノ、カネ」の流れを把握し、それらを活用して、企業がいかに効率的に「付加価値」を生み出したのか、ということを知るために使用されています。企業の利益を上げるために、実際どのくらいの人や機械、つまり「投資」が必要であったのかを確認するため、「従業員一人あたり」「機械一つあたり」「資金1円あたり」など、より細かい分析を行います。

    生産性分析の目的・メリット

    「生産性分析」の目的は、企業が人員や設備などさまざまな生産手段を効率良く活用し、より多くの利益を上げることができているかどうかを判断することにあります。付加価値を算出して企業の生産性を数値化することで、企業が稼いだ大切な付加価値を、投資金や純利益としていかに活用・分配できているのかを確認することができます。また、従業員一人あたりの付加価値を分かりやすい形で提示できることから、企業だけでなく従業員もその数値を必達目標として掲げることができ、各々のモチベーションアップにも繋がります。

    2.生産性分析の指標

    「生産性分析」の中には基準となる指標がいくつもあり、あらかじめそれらを知っておかなければ、いくら分析を行ったとしても信頼性の高い結果を出すことができません。分析を始める前に、しっかりと用語の意味を理解しておきましょう。

    生産性分析に必要な用語説明

    「生産性分析」を行うにあたり、最低限知っておく必要がある用語は、以下の3つです。

    【投入量】
    企業が利益を上げるために、ある製品を販売しているとしましょう。その製品を生み出すためには、生産する機械、それを扱う人、原材料の購入や人件費、機械購入に必要となる資金など、無くてはならないものがたくさんあります。この「販売するために」つまり「企業の利益を上げるために」必要な経営資源を「投入量」と呼んでいます。基本となる「労働」「設備」「資本」から、「土地」や「燃料」に至るまで、生産において必要不可欠な諸要素が全て含まれます。

    【産出量】
    「産出量」とは、企業がさまざまな資源を投入した結果、生み出された製品やサービスの量のことを指します。「投入量」が「input」と表されるのに対し、「産出量」は「output」と言われます。日本語で考えるよりも、企業において「inputに対しoutputが多い方が生産性が高い」と表現した方が分かりやすいかもしれませんね。

    【付加価値】
    生産性分析でよく使われている「付加価値」とは、外部から仕入れた原材料に、企業独自の価値を付けて販売し、利益を上げたもののことです。例えば、仕入れたものを「そのまま」ではなく特殊な技術で加工したり、時にはその仕入れ自体を独自のルートで入手したり、と他企業では実現が難しい、企業ならではの努力の結果、生み出された成果のことを言います。

    その付加価値の値を算出するためには、「中小企業庁方式」と「日銀方式」2種類の計算方法があります。 「中小企業庁式」は「控除法」とも呼ばれ、売上高から外部購入分の価値を差し引いたものであるという考えから

    の式で計算されます。

    一方「日銀方式」は「加算法」と呼ばれ、付加価値は製造過程で積み上げられていくものであるという考えから

    の式で計算されます。
    実際には各業界団体などで独自に決められた計算方法なども存在しますが、より簡単な「中小企業庁方式(控除法)」が用いられるのが一般的です。

    生産性分析で使用する指標について

    「ヒト」や「モノ」など1単位の労働から生み出される付加価値の大きさを「労働生産性」、さらに企業全体の付加価値の中から、労働に分配される割合を「労働分配率」と呼んでいます。

    【労働生産性】
    「労働生産性」とは、労働者一人あたりの付加価値額、つまり「売上高」のことで、以下の計算式で簡単に算出することができます。

    この値を明らかにすることによって、従業員一人あたりがどれだけ利益を上げているのか、あるいは利益を上げなければならないのか、などが明確になるため、生産性分析の中でも特に重要な指標として知られています。「労働生産性」が高いということは、つまり生産に対して「ヒト」を投入した価値が高い、利益が大きいということです。企業において「労働生産性」は高ければ高いほど良く、その分従業員は効率的に働くことができているということになります。そこから給料アップに繋がることもあるため、企業だけでなく労働者も気になるポイントですね。

    しかし言い換えれば、労働生産性を上げるには付加価値を上げるか、多すぎる人材を減らすか、ほとんどはこの二点に集約されます。人材を減らすことは、企業にとっても従業員にとっても非常に苦しい選択となるでしょうから、企業としてはいかに付加価値を上げるか、ということを考えるいい機会になるとも言えます。

    【労働分配率】
    「労働生産性」が、労働者一人あたりの付加価値額を算出する方法であるのに対し、企業が生み出した付加価値における人件費の割合を表すのが「労働分配率」です。利益として反映される「付加価値」の一体何%が人件費としてかかっているのか、ということを表す指標で、以下の計算式に当てはめて算出することができます。

    会社全体の利益を分析するためには、会社が生んだ付加価値が実際に何に使われているのかを把握する必要があります。単純に考えれば、全体の付加価値のうち、当然この「労働分配率」が低い、つまり人件費が少ない方が、手元に残る金額は大きくなるため、利益を上げているように見えますよね。しかし、実際あまりに「労働分配率」が低いと、その分問題も生じるのです。

    より多くの利益を求めるあまり、付加価値の中から真っ先に人件費を削ってしまおうとすると、その利益をあまりに小さな分母、すなわち少ない従業員で支えなければいけません。そうなれば、現場で働く従業員の働き方に影響を及ぼし、モチベーションの低下にも繋がってしまいます。高すぎると企業は赤字、低すぎると労働者に不満が生まれる「労働分配率」ですが、数値を明らかにすることで同業他社と比較しやすくなります。「労働生産性」は高ければ高いほどいいですが、「労働分配率」は適度な数値を保つことが大切だということを覚えておきましょう。

    3.生産性分析の活用方法

    ことばだけでは分かりにくいため、ここで具体的な数値を使って生産性分析を行ってみましょう。ここでは、一般的な「中小企業庁式(控除式)」を使用して、付加価値を算出します。

    【企業A】
    従業員数:80人
    売上高:50,000,000円
    外部購入額:10,000,000
    人件費:24,000,000円

    付加価値 = 売上高 - 外部購入価値 = 50,000,000 - 10,000,000 = 40,000,000円
    労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数 = 40,000,000 ÷ 80 = 500,000円
    労働分配率 = (人件費 ÷ 付加価値)× 100 = (24,000,000 ÷ 40,000,000)× 100 = 60%

    以上の計算式から、この企業は仕入れたものを企業独自の製法で加工し4千万円の利益を上げ、一ヶ月に従業員一人あたりが50万円の利益を生み出しているということになります。さらに、労働分配率が60%という結果から、企業が付加価値の中から6割を人件費として分配しているということが分かりますね。

    これらの結果を同業他社のデータと比較することにより、自社の経営効率や人件費にかける割合などが適正であるかどうかなどを客観的に判断することができるのです。

    まとめ

    いかがでしたか?今回は、企業の経営状態を客観的に数値化できる指標「生産性分析」について、詳しく解説しました。難しい用語は多く登場しますが、計算式自体は難しいものではないため、実際の財務状況さえ把握できる立場であれば、すぐに活用できる分析方法です。唯一の注意点は、必ず同じ業界の結果と比較することです。

    「企業」と一言で言っても、業界が異なれば売上高や利益率も異なるため、同じように比較することはできません。必ず同業他社や、自社の過去のデータと比較・分析するようにしましょう。

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