2019年05月29日(水)0ブックマーク

成長性分析で企業の成長度を測る|知っておくべき指標や分析方法

経営ハッカー編集部
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「どんどん利益を上げているあの会社、最近急成長していて羨ましい」周りからはそんな風に思われている企業も、実は本当に「成長している」とは限りません。

利益を上げている一方で、コストが発生していれば、見た目以上に経営難の可能性もあります。

では、実際はどのような企業が「成長している」と言えるのでしょうか。今回は、そんな時に役立つ「成長性分析」について解説します。

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目次

    1.成長性分析とは

    「成長性分析」とは、その名称からも分かる通り、企業がどれほど成長しているのか、業績が伸びているのかを判断する指標です。

    成長性とは

    「成長性」とは、企業における経営拡大の度合いや今後の可能性のことです。

    企業の成長性は、一見売上高や利益を見ればすぐに分かると思われてしまいそうですが、実際は売上や利益を伸ばすために新しい設備や機械を導入したり、製造や販売に関わる人員を増加させたり、と少なからずコストのかかる対策が必要になります。

    また、変わりゆく世の中に取り残されないよう、常に将来を先読みする能力、それに伴う研究費も欠かせませんよね。そのようなコストを踏まえ、企業の成長度を多角的、総合的に判断することを「成長性の分析」と呼んでいます。

    成長性分析とは

    企業の業績がどれだけ伸びているかを判断するために使用される「成長性分析」の対象となるのは「売上高」「経常利益」「営業利益」「総資産」「純資産」「従業員」の6つです。

    これらのデータを毎年算出し、前年度のもの比較することで、成長率を分析することができます。これまで企業がどのような実績を積んできたのか、今後どうすればさらに成長することができるのか、それを知るために必要不可欠な分析方法と言えるでしょう。

    成長性分析の目的・メリット

    成長性分析の目的は、単に企業の成長率、伸び率を知ることだけではありません。

    その結果から、企業の将来の安定性や拡大性など、成長の伸び幅を判断することが大切です。過去数年間のデータと現在の売上高や利益などの数値を比較し、具体的にどのような対策を取ればより事業拡大に繋がるのか、継続的に利益を伸ばしていけるのかなど、将来への見通しを立てる指標となるのが「成長性分析」なのです。

    いくら売上高が伸びているからといって、それに伴ってコストが嵩んでしまっては最終的に利益として手元に残る資本は少なくなります。そうならないためにも、バランスよく経営を行なうために、必要不可欠な分析方法となっています。

    2.成長性分析の指標

    成長性分析を行うにあたり、知っておかなくてはならない指標が多くあります。それぞれの用語と計算式を、簡単に説明していきましょう。

    成長性分析に必要な用語説明

    【損益計算書】

    企業における一年あるいは四半期の経営成績をまとめたものが「損益計算書」です。

    利益の大きさやその利益が発生した過程などを詳しく記したもので、具体的には「何に資本を使い、それによりどれほどの収益があり、結果どのくらいの利益が残ったのか」を記載した表です。

    一般的には、企業内の情報としてだけではなく、株主や債権者への情報開示の手段の一つとして使用されます。簿記に基づいて作成されるため、作成過程はある程度の専門知識が必要となる作業ですが、表自体は分かりやすくまとめられているため、その構造を知れば誰でも簡単に活用することができるでしょう。

    【貸借対照表】

    「賃借対照表」とは、企業内の資産のプラスマイナス、つまり「資産」と「負債」のバランスを一覧にした表のことです。一目見れば企業の財政状態が分かるようにまとめられているのが基本で、「損益計算書」同様、簿記に基づいて作成されます。

    「損益計算書」と同じく株主や債権者に経営状態を提示する際に非常に有用で、企業が株式会社の場合は「損益計算書」とともに新聞、官報、インターネット上での決算公告が義務付けられている重要な書類です。

    開業時、決算時、精算時あるいは月毎に作成されるのが一般的で、随時それまでのデータと比較できるように管理しておく必要があります。

    成長性分析で使用する指標

    【売上高増加率】

    売上高増加率=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100

    成長性分析の中でも、最も代表的なのが「売上高増加率」です。
    当期の売上高が前期の売上高に比べてどれほど伸びているのかを判断する基準となる指標で、この値が前期よりもプラスとなれば「成長している」、マイナスとなれば「衰退している」ということになります。
    しかし、これは一年分のデータだけで成長や衰退を判断するものではなく、少なくとも数年単位で統括的に推移を把握することが大切と言われています。

    【経常利益増加率】

    経常利益増加率=(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100

    「経常利益増加率」は、企業の「経常利益」つまり本業の利益以外にも収益があった場合はそれも含めての総利益の伸び率を見るための指標で、企業が経常的に稼ぐ利益を随時比較することができます。
    「売上高増加率」と合わせて参照することが重要で、売上高と経常利益がともに上昇傾向にある場合が最も理想的な経営状態と言えます。
    一方、売上高が順調に増加しているにもかかわらず経常利益が減少している場合は、原価や人件費などの費用面が利益を圧迫している可能性があるため、コストの見直しが必要だと言えるでしょう。

    【営業利益増加率】

    営業利益増加率=(当期営業利益ー前期営業利益)÷前期営業利益×100

    「営業利益」は、企業が本業の営業活動で生み出した利益のことです。
    その本業における利益の伸び率を表したものを「営業利益増加率」と呼んでいます。
    この指標は、他の指標に比べると企業ごとの数値に非常に差が出る指標となります。また、数値にマイナス(-)が付くことが営業利益増加率=(当期営業利益ー前期営業利益)÷前期営業利益×100ありますが、-100%は前期の営業利益が全て消えてしまった状態、-200%は前期の営業利益を100%として2年分の利益額を失ってしまったということになります。

    【総資本増加率】

    総資本増加率=(今期の総資本ー前期の総資本)÷前期の総資本×100

    「総資本増加率」は、総資本が前期と比べてどれだけ増えているのかを見るための指標です。
    当然、企業としては経営を続けていく限り総資本が増え続けることが望ましく、値が高いほど伸び率も高いということが分かります。

    しかし、実はここに落とし穴があります。「総資本」とは「資本」と「負債」を合わせたものであるため、実は借入金など負債の増加が影響して高い指標となってしまうこともあるのです。
    負債をすぐにでも返済する目途が立っているのであれば心配することはありませんが、返済年数が数年あるいは数十年となれば、経営においてその影響は大きく、今後企業の安定度を下げる原因にもなりかねません。そこで、本来の増加率を知るために、次の「純資本増加率」と併用するのが一般的とされています。

    【純資本増加率】

    純資本増加率=(当期末自己資本残高-前期末自己資本残高)÷前期末自己資本残高×100

    「純資本」とは、企業が持つ総資本から、負債額を差し引いて残った金額のことを言います。
    「純資本増加率」は、その値の増減がどういった推移を辿っているのかを確認するための指標ということです。そもそも「総資本」とは、資本と負債を合計したものを指しているため、そこから負債を引いた「純資本」の値は、企業としては高ければ高いほどいいということになります。

    逆に前期よりも低い値になっている場合は、経営が不安定になっていることを示しています。また、この金額は「自己資本」と同じ金額になるため、「自己資本増加率」とも呼ばれています。
    混乱しないように、同義として使うことができるということを覚えておきましょう。

    【従業員増加率】

    従業員増加率=(当期従業員数-前期従業員数)÷前期従業員数×100

    従業員数の増減で企業の成長性を測る指標となるのが「従業員増加率」です。
    企業の売上高が増加すると、それに伴い従業員が必要となるのは想像しやすいですよね。この通り、売上高の増加と従業員数の増加が比例しているのが最も理想的な指標です。

    一方で、設備投資の方に力を入れることによって人員を削減する企業も増えてきています。その場合は、売上高が増加しているにもかかわらず従業員数は減少しているという結果が出ます。
    この指標だけでは企業の成長率を判断できない場合が多いため、実際は他の指標と併用して総合的に分析することが大切です。

    【一株当たり当期純利益(EPS)】

    一株当たり当期純利益=当期純利益÷普通株式の期中平均発行済株式数

    「一株当たり当期純利益」は、企業の一株当たりの利益額を示すものです。
    一般的には株価指標の一つとして用いられているもので、「当期純利益」と「普通株式の期中平均株式発行数」から、その値が求められます。
    この指標を使って経営の成果を株主に提示することで、投資家たちがいち早く有用な情報を手にすることができるという仕組みです。

    企業側にとっても「一株当たり当期純利益」は成長の目安となります。
    この値が高いということは、企業が高い評価を受けている、簡単に言えば人気のある株だということですね。英語の「Earnings Per Share」の頭文字を取って「EPS」と表示されることも多いので覚えておきましょう。

    3.成長性分析の活用方法

    それでは簡単な例を挙げて、実際に成長性分析を行ってみましょう。

    成長分析の表

    【売上高増加率 = (当期売上高 - 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100】

    A社 =(70,000,000 - 100,000,000)÷ 100,000,000 × 100 = -30%
    B社 =(70,000,000 - 50,000,000)÷ 50,000,000 × 100 = 40%

    2社ともに同額の売り上げですが、A社の売上高増加率は-30%、B社の売上高増加率は40%と大きく差が出ました。これは、大会社Aの売り上げが前期よりも伸び悩み、反対に総資本がA社の半分以下であるB社の売り上げは順調に伸びているということを表しています。

    【経常利益増加率 =(当期経常利益 - 前期経常利益)÷ 前期経常利益 × 100】

    A社 =(8,000,000 - 10,000,000)÷ 10,000,000 × 100 = -20%
    B社 =(8,000,000 - 5,000,000)÷ 5,000,000 × 100 = 60%

    こちらも、一見A社はB社に比べて200万円も多く経常利益を上げているように見えますが、実際は前期と比べるとA社が-20%、B社が60%という結果が出ました。売上高から本業にかかったコストを差し引いたものが「営業利益」であり、それに本業以外で生じた損益を加えたものが「経常利益」です。この結果から、A社は売り上げた分かかったコストも大きく、反対にB社は売上高の増加に比例して経常利益も伸びているという非常に理想的な経営状態にあることが分かります。

    【総資本増加率 =(当期総資本 − 前期総資本)÷ 前期総資本 × 100】

    A社 =(130,000,000 - 150,000,000)÷ 150,000,000 × 100 = -13%
    B社 =(100,000,000 - 70,000,000)÷ 70,000,000 × 100 = 42%

    純粋に、売上と利益が増えれば企業の総資本が増えるのは当然です。やはり、例においても売上高が伸び悩むA社は総資本も減少傾向、一方のB社は売上高や経常利益の増加に伴い総資本もぐんと伸びています。

    こうして、それぞれの指標に当てはめて分析し、一目で理解できるようにまとめておくことで、自社の経営状態の推移を簡単に知ることができます。現状だけでなく成長度を見ることで、今後の対策も立てやすくなります。

    まとめ

    今回は、企業の実績がいかに伸びているかを確認するための方法「成長性分析」を解説しました。企業において成長性分析を行うには、「売上高」や「利益」など、さらに細かい指標を使い、それぞれの値の伸び率を合わせて見ることが大切、ということが分かっていただけたでしょうか。

    当期のデータだけでは比較することが難しいため、最低でも過去数年間のデータ表を集めておくか、あるいは同業他社のデータと比較するのが最適な活用法です。

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