経理業務が最大5分の1になる、法人クレジットカードの活用方法とは?

「クレジットカードで経理業務が楽になる!」ということを巷でよく耳にします。
しかし、「実際どれくらい効率化されるのか」「何を注意すれば良いのか」のイメージが湧きにくい方も多いと思います。

今回は、freee株式会社で社員数が10人から500名へと急激に増える中、一貫して経理業務を担当するスペシャリスト、高橋啓太に”クレジットカードの効率的な使い方と注意点”について詳しく聞きました。

前編では、クレジットカードの活用で経理業務どう効率化されるのか、経理担当者から見たメリットはなんなのか、従業員が10名以下の会社の目線から注意点と共にインタビューしていきます。

 ◇ 後編はこちら

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クラウド会計×法人クレジットカードで経理業務はどう変わる?

ーズバリ伺いますが、法人クレジットカードを活用すれば、経理業務はどれくらい楽になりますか?

会社の規模や事業内容とクレジットカードの相性もあるので一概には言えませんが、
例えば、飲食店を経営している一人法人の場合、経理業務は今までの1/5くらいになると思います。

ー1/5ですか!なぜそこまで効率化できるんでしょうか?

一言で説明すると、「手入力の手間が少なくなり、領収書の確認作業がなくなる」からです。

例えば、飲食店の店主が経費でボールペンを購入したケースを考えてみましょう。
現金で購入した場合は、

①該当の領収書を探す
②会計ソフトに「日付」「金額」「取引内容」「勘定科目」を手入力する
③領収書を保管し直す

といった作業が必要になります。

一方、クレジットカードで購入した場合は、会計ソフトに明細(購入履歴)が自動的に入ってくるようにできるので、

①会計ソフトに「取引内容」「勘定科目」を手入力する
②(必要に応じて)領収書で内容を確認する

と、少ない作業で必要な入力が完了します。今まで現金取引が中心だった会社なら、これだけでもかなり経理業務を効率化できると思います。

ー現金で商品を購入すると、後で領収書を探したり確認したりする手間が大変ですよね…。次に、クレジットカードで商品を購入したとき、具体的にどうやって帳簿をつけるか教えてもらえませんか。

クレジットカードで商品を購入した場合は、

①商品を購入したとき
②クレジットカードの利用代金が銀行口座から引き落としがあったとき

にそれぞれ帳簿をつける必要があります。
freeeを始めとしたクラウド会計ソフトを活用すると、上記①②部分の多くを自動化できます。

具体的には、①の商品購入時は、上で話したように「日付」「金額」「取引先」などを手入力する手間や領収書の確認作業がなくなります。

さらに、②の銀行口座から引き落としも、銀行と会計ソフトを同期し、設定を行えば自動的に登録を行えます。

ー会計ソフトを銀行口座とも同期することによって、さらに作業が楽になるんですね

そうです。ただ注意してほしいのは、これは会計ソフトと銀行口座やクレジットカードを同期しているからできているということです。銀行口座やクレジットカードと同期しないと、結局手動で入力が必要になり、入力にかかる手間がそこまで減らなくなってしまいます。

 

クレジットカード払いの領収書も保存しておきましょう

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ークレジットカードを使って経理作業をする際に、気を付けたいポイントはありますか。

クレジットカードの領収書をしっかりと保存する必要がある、という点です。まず税務的な観点では、売上高が5,000万円を超える事業者かどうかで、領収書を保存すべきかの判断が変わるので、それぞれお話しします。

売上高が5,000万円を超える事業者は、領収書の「保管要件」「証拠要件」を満たす義務が発生します。保管要件とは、その名の通り、領収書を7年保管する必要があるというものです。一方で証拠要件とは、「領収書に取引先(=購入先)の名前を記載してください」といったものです。


例えば、セブンイレブンで、クレジットカード決済で水を購入した場合、「セブンイレブンの〇〇店で108円の水を購入した」というように、取引先の情報まで細かく残しておく必要があります。

ー取引先の記載がないと、どうなるんでしょうか

支払った消費税を確定申告時に差引くことが認められなくなってしまいます。例えば上述のケースで、「セブンイレブン」という取引先部分を記載し忘れると、消費税分の8円が還付の対象として認められなくなります。

実際は、どこまで細かくチェックが入るか、という論点もありますが、法律的には記載が必要なのでなるべく領収書などの情報は残しておきましょう。

一方で、売上高が5,000万円以下の事業者(簡易課税を選択している場合のみ)は上述の義務が発生しないため、必ずしも領収書を保管しておく必要はありません。ですので、領収書を失くしたとしても慌てなくても大丈夫です。あくまで後で確認したい際に参照できればよいわけです。

*上記の金額基準は、課税方式が「簡易課税」に該当する事業者の判定基準です。課税方式は任意選択式のため、売上高が5,000万円以下の事業者で課税方式を「本則課税」にした場合、領収書の保存義務が発生します。

ー税務的な観点以外だといかがでしょうか。

経理の実務的な観点だと、どんな規模の事業所でも領収書は残すべきだと思います。理由は、「経理担当者以外の人が見ても、正しく経理業務が行われていること」を証明できるからです。

例えば、税理士に日々の記帳のチェックや税務申告をお願いすることになった場合、税理士から「領収書と記帳内容を突き合わせて確認したい」と言われることは想像に難くないでしょう。

他にも、事業が成長して、経理担当者に経理業務を引き継ぐことになった場合、経理担当者から「この勘定科目はどういう内容で使っているか、領収書を見て確認したい」と言われることもあるでしょう。

どちらの場合も領収書があることで、会計情報の正しさを「他人も確認できる」状態を作り出せます。領収書がないと、自分が記帳した会計情報が正しいかどうかを「自分しか判断できなくなる」ので、リスクがあります。

ー会社の規模の違いによって違いはあれど、総じて領収書は残しておいたほうが良さそうですね。

そうですね。ただ逆に、領収書の管理を丁寧にしすぎなくてもよい、という点にも注意してほしいです。

例えば、月に30枚の領収書が発生する規模の事業所において、ノートに日付順で領収書を並び替えて貼り付ける、という運用は必要ありません。あくまで必要時に確認できればいいので、月ごとに小分けのファイルや封筒に入れる等の運用で十分です。必要最低限の運用におさめることも大事なポイントですね。

 

現金支出に備えた領収書管理のすすめ

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もう一つお伝えしたい大切なポイントは「現金とクレジットカードで領収書を分けて管理してほしい」という点です。

理想は「交際費はすべてクレジットカードを使う」など、決済方法を用途別できれいに分けることです。しかし実際は、クレジットカードが使えないお店もあるので、現金など他の決済手段を使わざるを得ないケースは必ず出てきます。

ー確かに、現金でしか払えないお店も多いですよね。でも、なぜ分ける必要があるんですか?

領収書を分けて管理しないと、いざ記帳しようと領収書を見たときに現金とクレジットカードどちらで決済したか分からないんですよ。そうなると、入力漏れや二重入力が起こるリスクがでてくるので、対策を行う必要があります。

たとえば、freee代表の佐々木が行っているのは「現金の場合はレシートを縦に折る」「クレジットカードで決済した時は横に折る」といった方法です。細かい話ですが、こういった管理が後から経理の作業しやすさにつながります。

ーなるほど、確かに管理のルールを作っておく必要がありますね。ちなみに、今までお話ししていたものを、個人用クレジットカードで代用することは可能ですか?

代用は可能です。創業直後だと法人カードを作れない等の理由で、個人用カードを代用している方はいらっしゃいます。ただそのときは、経理業務を効率化するためにいくつかの工夫を行うことをおすすめします。

一つ目の工夫は、事業用とプライベート用で個人用クレジットカードを分けることです。個人用クレジットカードで法人と個人の買い物をどちらも行うと、明細が会計ソフトに入ってきたときに、両者を分ける必要が出てきます。会計ソフト上で両者を分けることは可能ですが、それによってむしろ時間がかかる可能性があります。

二つ目の工夫は、事業用の支出とプライベートの支出で領収書を分けることです。上の現金支出と同じように、領収書をうまく使って管理を行いましょう。

ーいずれにせよ管理方法を定めることが大事ですね。

 

前編では、クレジットカードを活用することで、経理業務がどのくらい効率化されるのか、注意するポイントは何かを聞きました。クレジットカードを適切に活用することで、日々の経理業務が大幅に効率化されることがお分かりいただけたかと思います。

後編では、引き続きfreee株式会社の高橋啓太にインタビューを行い、freee社員が大幅に増える中、社内でクレジットカードの運用方法をどう変えていったのかを掘り下げていきます。社員が増える中でどう運用を変更するかは、多くの会社が必ず悩む道です。freeeが悩みながらもクレジットカード運用をどう変更したか、自社に照らし合わせて考えるきっかけになれば幸いです。後編もご期待ください!

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