「ぶっちゃけ、野菜ってまずいじゃん?」 ニンジンが死ぬほど嫌いな編集長が野菜エヴァンジェリストと対決してきた話

こんにちは、編集長の中山です。

突然ですが、皆さんは健康ですか?人生百年って言われてますが、これってかなり健康的な暮らしをした場合の話だと思うんですよね。不規則で自堕落な生活をして100歳まで生きるなんて虫が良すぎます(笑)。

健康には「十分な睡眠」「適度な運動」そして「正しい食事」が欠かせないわけで、現代人ができてないのが、とくに「正しい食事」かなと。具体的には野菜ですね。食べたほうがいいのはわかっているけど、ぶっちゃけ野菜ってまずいじゃないですか…。

ちなみに私はニンジンが今でも大嫌い。ハンバーグの付け合わせはそっとどけるし、サラダバーでもスルーします。カレーで「じゃがいもだ」と思って噛んだらニンジンだったときの悲しさといったら…。

そこで、

  • 楽に野菜を食べる習慣は身に着くのか?
  • 美味しい野菜は存在するのか?

について知るため、株式会社マクミノルのオーガニック野菜エバンジェリスト、大西 伸之介さんと対決してきました。

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新宿三丁目駅からほど近いビーガンレストラン、「KiboKo(キボコ)」さんでお話しを伺いました


有機野菜とそうでない野菜、栄養価は同じだけど味が違う

――今日は野菜についてのみお聞きします。よろしくお願いします!

大西さん(以下、大西):野菜のことならなんでも質問してください。

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――いきなりですが、有機野菜と有機じゃない野菜、味とか栄養価って違うものですか? 

大西:味はけっこう違います。

――やはり、有機野菜はおいしい?

大西:まず、商品としてプロが売るレベルの野菜となると、種を蒔けばどこでも作れるんじゃなくて、品目によって、その土地の気候や畑の土壌の質に合う、合わないって、結構あるんです。農薬や化学肥料を使うと、多少その土地に合ってない品目でも、無理して作るっていうことができてしまう。でも、有機だと無理が利かないので、土地に合ったものしか作れません。

――なるほど。

大西:条件に合わせた環境で作ったもののほうが、より自然でおいしくなるものです。あと、一般の農家さんは、作った野菜を地元の市場とか農協に持って行って、キロいくらで買い取ってもらうんですが、有機農家さんで市場や農協に出す人は少ないです。買値が安くてコスト的に合わないとか、形やサイズの規格が細かくて、合わせられないとか。

――味がよくても、イビツな形状だとダメなんですね。

大西:形もそうだし、大きさもきっちり揃えなくちゃいけない。手間がかかるわりに買値も安い。有機野菜の付加価値って、目に見えないので評価されにくいんです。なので、有機栽培農家の方は直接自分で売ることが多い。「野菜セット」的な2,000円で何品入っています~みたいなのをこしらえて、ネットで売るとか。あとは、産地直売所、道の駅に持ち込んで売るか。いずれにせよ、自分の顔と名前を付けて売るわけなんです。一般の農家さんが農協や市場に卸すと、そこから先は名前がなくなって、千葉県産とか埼玉県産という大きなくくりになっちゃうんです。

――じゃあ、生産者の名前があれば、有機だという証拠になる?

大西:それだけでは有機とは限らないんですが、農家の方も、自分の顔と名前を付けて売るからには、味にもこだわって作りますよね。逆に、市場で買い取ってもらう場合って、形と大きさが重要で、味は評価の基準に入っていないことが多いんです。もちろん市場や農協でも地域によって差があって、味への取り組みを強化しているところもあります。また一般の農家さんでも、味にこだわって作り、自分の顔と名前を付けて直接販売している方もいらっしゃいます。実際に、有機農家さんでも美味しくないところもあります。でも総じて言うと、有機野菜を選んだ方が、美味しい野菜に当たる率が断然高いのが現状だと思います。

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有機JASマークという認定機関があるそうです(リンク先は農林水産省)

 

――見栄えが重要なんですねー。ところで、有機のほうが栄養価は高いんですか?

大西:そこは実はわかりません。というのも、科学的に証明されたものを探しているのですが、辿り着けていないんです。僕たちも有機野菜が好きでビジネスしているので、データの裏付けのもとに断言したいんですが。

――それは意外…。てっきり有機野菜のほうが栄養価が高いって思ってました。

大西:ひとつ言えるのは、葉っぱじゃなくて、実の野菜……たとえばナスやカボチャって、皮の近くに栄養が多いんです。彼らも自分の実を守るために、皮をけっこう丈夫にしています。抗酸化作用があるアントシアニンとか、ああいう成分は、皮の近くにありますよというのが多いです。別に中央部分の味が落ちるわけではないけど、栄養は外側のほうが多いのは事実で、無農薬の野菜だと安心して皮ごと食べられます、っていう話はあります。

 

「クスリと思って、不味いけど我慢して食べる」という、子供のころからの刷り込み

――「野菜が身体に良い」のは一般常識だと思うんですけど、じゃあ何をどれくらいどうやって食べるか…が謎でして。量と種類と食べ方のベストプラクティスを教えてください。

大西:厚生労働省が出している指針が1日350グラムでして、さっとこれくらいの量なんですが。(手を大きく広げて)

――そんなに?ちょっと厳しくないですか?

大西:と思うでしょう。それが、おいしい野菜だと食べられるんです。

――350グラムは、大西さんから見ても妥当?

大西:まあ、それくらい食べていれば、ほぼ健康でいられると思います。ただ、350グラムを死守せねばとか固く考えず、意識して多めに食べるようにすれば問題ないでしょう。

――現代人が、「野菜を食べすぎる」ってことはありますかね?

大西:絶対にないです。(きっぱり)

――医者に「君、野菜を控えなさい」と言われる人はたぶんいない気がします。

大西:ですよね(笑)。食べすぎの心配は無用です。量を食べるとなると味が重要なんです。だって、まずい野菜を350グラムも食べれないでしょう?

――じゃ、じゃあ果実で代用…できないですかね?

大西:それ、「野菜は食べにくい、おいしくない」って気持ちが前提になってますよね?

――だって、クッソまずい野菜、あるじゃないですか~。私、小学生のころ「ほうれん草のおひたし」が大の苦手だったんです。お袋が毎回食卓に出して絶対食わせようとするんです。ある日、食べたふりしてトイレに流せばいいんだと思いついて、おひたしを口に詰め込んでは食卓を離れ、便器に吐き出してジャーっと流すのを繰り返すことで回避してました。我ながら天才と思ってたら、すぐ勘づかれてこっぴどく叱られましたが…。

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子供のころ大嫌いだったほうれん草(今はふつうに食べる)

大西:味は個人の趣味嗜好があったり、味覚の感じ方も人それぞれですが、有機野菜はすごくおいしいですよ。これは信じてほしい。それに、野菜そのものがおいしいので、調理の手間がかからない。ごちゃごちゃ味付けをしなくていいからです。

――生でぼりぼり食べるべきなんですか?

大西:いえ、全然。焼いて塩をかけるだけでもいいです。

――調理に時間かけたくないんですよね…。シチューだのクラムチャウダーだの、おいしいけど作るのが面倒。

大西:切ったカボチャをタッパーに入れて、レンジでチンしただけでも旨い。嫌なにおいとか、全然しません。

――素材がいいと調理も単純で済む、と。

大西:凝った料理も良いのですが、それを家庭でやる場合、「野菜の味をごまかしている部分」ってありません?お肉と一緒に食べて流し込むとか。

――めちゃくちゃしてました…!というか、今も(汗)。ニンジンの青臭さが嫌いだからカレーとコメでガーっとやって飲む。味わわない。

大西:美味しくないから薬と思って仕方なく食べるか…ってのが野菜のポジションなのかもしれません。でも、それだと辛いだけですよね。

 

良い野菜はシンプルに「焼いて食う」だけで十分旨い

――有機野菜が良いのはわかったんですが、では調理法は?せっかくの栄養価を破壊しちゃうとか。茹でるとビタミン抜けちゃうとか聞きますが。

大西:ビタミンCは水に溶けやすいから、茹でないほうがいいとか、蒸すべきとかいいますけど、あまり気にしなくてかまいません。もちろん、減るには減るんですが、食べても意味がないよというレベルではないです。

――栄養が抜けたスポンジを食ってる…とはならないんだ。安心しました。

大西:自分の好きな、食べたい方法でいいです。焼く、蒸す、煮る、あとは生…そんなもんですよね。でも、本当はシンプルが一番美味しい。焼くのが手間がかからなくてオススメですかね。塩に飽きたから醤油にしてみる。オリーブオイルは飽きたから、ごま油にしてみる…とか。調味料だけで変化がつけられますよ。

――そう聞くと気が楽。いくら健康に良くても、準備が面倒だと嫌になっちゃいます。

大西:仕事から帰って、それから料理は面倒でしょう。適当に切って焼くだけの手間はかかりますけど。でも、冷凍食品だって、それくらいはするじゃないですか。栄養素がどうとか、農薬が良くないよとかいうよりも、僕たちはシンプルに調理してたくさん食べることを推しています。

――食べてはいけない野菜ってのはほぼないと思うんですが、栄養価が高い野菜とそうでもない野菜は、きっとありますよね。緑黄色野菜は良くて、キュウリは水だけとか、根菜類はいいけど、葉っぱは栄養がなさそうだとか。

大西:いえ、それもあまり気にしなくていいです。偏ることさえなければ、何をどう食べてもかまいません。むしろいろんな種類の野菜を口にしてほしい。と言うのも、含まれている栄養がちょっとずつ違うんです。どれが本当に体にいいかって、ぶっちゃけ、完全にはわからないんですよ。

――そういうものなんですか?

大西:どの栄養素がどう体にいいのか、厳密には調べようがないんです。例えば、キュウリばかり食べて調子が良くなったとか、あるいは悪くなったといっても、人間の体って、食べ物以外の要因もけっこうありますから。他にも住んでいる環境とか、仕事のストレスも影響します。特定の栄養素とか特定の食品が、体にどれだけ影響があったかは、たぶん、証明は無理だと思うんです。

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キュウリは9割以上が水分なので、栄養価はないに等しいと思ってた

――であれば、深く考えすぎても意味がないような…。

大西:「これしか食べない」という偏食を続ければ病気になってしまいます。どれが効くかわからないから、まんべんなく食べましょう。

――1日でまんべんなく食べなくても問題ないですか?今日はカボチャとニンジンと食べたから、翌日は玉ねぎと茄子を食べるとかでもいい?

大西:全然大丈夫です。有機とかの野菜って、ハウス栽培ではなく、露地でつくっていることが多いんです。そうなると季節に合ったものしかつくれないので自然と旬の野菜しか出てこなくなります。旬は野菜ごとにバラバラなので勝手にローテーションしていきます。真冬に茄子を食べたいといってもないんですが、その代わり、夏には出てくるものです。

――うまいことできているものですね。ハウスに慣れてしまうと、モノの旬を忘れてしまいそうになりますが。

大西:ただ、うちのお客さんは飲食店の方がメインでして、どうしても「メニューに載せているので、季節外れでも仕入れたい」という要望はあります。サラダバーをやるお店だと通年でレタスが必要です。そういう例外はあるものの、家庭や個人で食べる分だったらなるべく旬の野菜を食べていただきたい。

手前味噌ですが、私の書いた「実践的!野菜の旬の覚え方」が便利です。

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分かりやすい!

 

義務感で食べるサラダバーはなぜ美味しくないのか

――有機野菜が良いのはわかるんですが、そもそも量が限られてますよね。ふつうのスーパーにはないので手に入りにくいです。

大西:そうですね…。ECか自然食品店を扱う生鮮食料品店に行くしかないかと。あとは、「農家さんが産地直送で送る」サービスを利用するか。

――選択肢はそんなところですよね。

大西:粗悪な食品を食べつつサプリで補う…よりも、そのお金でいい野菜買わない?とは言いたい。何にお金を払うかというのは、それぞれの価値観ですが。

――例えば、都会で働く一人暮らしの人で帰宅が遅い、自炊が厳しい…いう人は外食に頼らざるを得ないですよね?大西さんならどういうアドバイスをしますか?

大西:野菜を切って炒めて食べる…まずはそこから。仕込みや下ごしらえが不要な軽めの自炊を提案します。それと米を炊けばOK。

――じゃあ、外食で野菜を摂るとして…ビーガンレストランってあんまりなさげなイメージ。

大西:探せば見つかりますよ。野菜をこだわっているというレストランもあります。

――そうなんですか。普通のレストランで出てくるサラダって、鳥の餌みたいなやつじゃないですか。あれは量的にぜんぜん足りてないですよね?

大西:足りないし、おいしくない。缶詰のコーンでカサ増ししてて(笑)。まあ、食べないよりは、食べたほうがマシです。ただ、ファミレスとかではろくに野菜は摂れません。サラダバーがある店なら量は取れますが。

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義務感でサラダバーに行くことはよくある(ラーメン食った翌日とか)

――といっても、葉っぱものが多いような気はしますけど。

大西:葉っぱものが多いのと、そんなにおいしくないので、無理やり食べさせられる感じがありますね。

――ドレッシングでごまかしつつ、義務的に口に押し込んでいます(笑)。

大西:でしょう?それって楽しくないじゃないですか。現実的に外でしっかりと野菜を摂ろうとすると、ビーガン系レストラン等、野菜を売りにしているここ(KiboKo キボコ)のようなお店に行ったほうがいいと思います。

――ビーガンレストラン以外にも、良質な野菜って食べれます?

大西:弊社ホームページには、業務用有機野菜の仕入れをされてくださっているお店の一覧があるんですが、ここの野菜は自信があります。ビーガンレストランは2件しかないんですが、ひとつが「KiboKo(キボコ)」で、もうひとつが「RAINBOW BIRD RENDEZVOUS(レインボー バード ランデヴー)」です。

――ビーガンレストランもいいですが、じゃあ代替案で調理する手間を省くという意味で、スムージーにしちゃうのはどうですか。めっちゃ楽なイメージがあります。

大西:自分でやると容器や機材の洗浄がそうとう面倒くさいですよ。何気に皮をむくのも時間を食いますし。ただ、スムージーそのものはとてもいいです。

――おお、いいんだ!

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こういうやつ

大西:野菜を丸ごと、ビタミンも食物繊維もロスなく摂取できるので、栄養面では最高です。ただ結局、皮むき種取りで包丁も使いますし、後でミキサーを洗うのも、家庭ではけっこうな手間になります。であれば、切って焼くほうが楽じゃないですか?

――そっかー…でも、ミキサーにかけると、ものすごく大量に摂取できません?

大西:量は食べられますけど、味は単純ですね。甘くするくらいしか味付けのしようがない。バナナやリンゴを入れて甘みを出しているとか。で、見過ごせないのが価格。果物ってけっこう高いですよ。ジューススタンドで買うと、コップ一杯で400円は平気でします。

――1杯400円か…牛丼並盛を食べてお釣りがきますね。毎日は利用できないなぁ…。

 

本当に良い野菜は、「自分がバカになったんじゃ?」と思うくらい、食うたびに旨いと感じる

――ところで、大西さんって普段は家でどうやって野菜を召し上がっているんですか?

大西:珍しいことはなにも。焼くか蒸すだけ。あとは、焼くときに、お肉と一緒に炒めると、お肉の旨味も出てきておいしいです。

――それって、ただの肉野菜炒めでは…。ぜんぜんふつう…。

大西:ですよ(笑)。あとはスープ。野菜を切って煮て、塩コショウで味を整えるくらいでもおいしくなります。

――塩コショウだけじゃ味がしないでしょう。コンソメとか入れますよね?

大西:大丈夫です。野菜から味が出ますので。まあ、味の出やすい野菜とそうじゃない野菜はあるので種類は考えますけど。あとは、味噌汁にしちゃう。野菜スープや具沢山の味噌汁は野菜をたくさん食べるコツですね。栄養も全部一緒に摂れますしね。

――毎日それだと飽きません?

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野菜スープって、ついベーコンを入れたくなりません?

大西:もちろん、たまには凝った料理をするのもいいですよ。でも毎日の食事はさほど手間暇かけていられないと思うので。

――失礼を承知で言いますが…控えめの味付けで調理した野菜って…美味しくないような気がするんです…。

大西:それが、いい野菜はうまいんです!これがどうしたら伝わるのかなというのが、なかなか。Webでは伝わらないのがもどかしい(笑)。つくっている農家さんに聞いてもそうなんですが、自分がバカになったんじゃないかなというくらい、食うたびに「うまいな」と思うんです。

――そんなに味が違うものなんですか。

大西:違います。やはり、体が必要としているとうまいと感じるというのはあると思うんです。食うたびに、「やっぱこの野菜うめえな」と言いながら食ってます。あ、でもそのへんのサラダバーの野菜は全然味がしません。本当に美味しい野菜は、ドレッシングすら使いたくなくなります。野菜そのものに味があるから、ドレッシングで味を塗りつぶすのがもったいないとすら思う。

――ドレッシングをかけなければ味がしないという時点でレベルに疑問符が付く、と。でも、世間の野菜ってそういうやつばかりじゃないですか。

大西:ですね。どうしても、ふつうは買うときに値段で比べちゃいますよね。有機は手間がかかっているぶん、やっぱり値段は上がっちゃうので、見た目も似ているしとなると、つい安いほうを選びたくなる気持ちはわかります。でも、高いといってもせいぜい100円が200円の話です。有機野菜を一度だまされたと思って買ってみてほしい。「おお、違うじゃん」というのがわかれば、食習慣も変わってくると信じています。

 

食べ物を機能だけで判断してしまうと、食生活が楽しくなくなる

――大西さんが思う「栄養価の高い野菜トップ10」はこれ!的なことって言えたりしますか?

大西:あまり考えたことないですね。栄養があるから食べる、ないから食べないではなく、おいしいかおいしくないか、食べたいか食べたくないかで決めているから。

――テレビの健康バラエティでは、よく特定の食材がフィーチャーされますが…。

大西:「ふーん」と思いながら見ています。嘘は言ってないし、確かにそうなんだけど、でも神経質に気にして食べてもおいしくないでしょう。それに栄養が偏っちゃう。もちろん、業界に携わる者としてこの野菜は何がいいとか、どんな栄養素があって、こういう作用を及ぼす…というのは勉強しますし、そういう記事も書いたりしますが。だからランキングは難しいですね。

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人生でニンジンがうまいって思ったこと、一度もないんだよなぁ…

――では、好きな野菜は? これなら毎日でも食える野菜とか。

大西:季節ごとにあるんですよね。秋から冬のシーズンだったらニンジンがおいしいです。

――農家の方には申し訳ないですが、ニンジンまずいじゃないすか……子どもに不人気な野菜トップ3に入りますよ。

大西:弊社社長のお子さんはおやつ替わりに食べますよ。あとはピーマン。良いものは苦くない。生で食ってもうまいのもあります。

――ほんとですか?生ピーマンなんてぜったい無理だ…。

大西:僕もそれはすごくわかります。でも有機は青くささがないんです。

――大根、キャベツ、レタスとかの白い野菜って栄養価が低い…とか言われたりしますが、そのへんはどうなんでしょう?

大西:低いとは思わないですね。緑黄色のほうがなんとなく栄養素が豊富な印象があるかもですが、大根にしかないものもあるでしょうし。優劣をつけるものではないかなと。ちなみに大根は煮てもおいしいですが、焼いてもイケます。冬場は色のついた大根が出てくるんです、赤いのとか、緑のとか、黒いのとか。それをステーキにして食べる。

――大根のステーキ??

大西:ちょっと厚めの輪切りにして、そのままダーンと焼く。大根って生だと辛いじゃないですか。焼くと辛味がなくなって甘味に変わるんです。

――へぇ、甘味……おでんに近いのかな。

大西:おでんだと醤油とだしの味になりますが、あんな感じのちょっと甘い味になりますよ。

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おでん大好き

――現代人は「あれが身体に良いから食べる、これは栄養価値が低いから無視してOK」みたいな、損得で考えがちです。

大西:個人的に思っていることなんですが、人間って、毒を摂取しても少量だったら腎臓や肝臓が頑張って、おしっことかで排出するんです。あらゆる食べ物には毒になる部分と、栄養との両方が必ず入っているんです。なので、特定のものばかり食べ続けると、特定の毒もいっぱい取り続けて、腎臓や肝臓がキャパオーバーになりますし、摂れない栄養素も出てきます。いろいろな野菜をまんべんなく食べていると、体に必要なものはそのまま取り込まれるし、体に悪いものは頑張って排出してくれるし、ということになるので。だから、そういう意味で、いろいろなものを食べるのが一番いいんだと思うんです。どれが体に効いているかは、本当にわからないんです。

――私、無意識に野菜をランキングしていましたね…。価値あるものだけ食べればいいって打算で生きてました。

大西:食べ物を機能だけで判断してしまうと、食生活が楽しくないですよ。「おいしいから食べる」でいいんです。そうすると、食べにくいとか、無理して食べなきゃということがなくなる。

――あの~、告白しますと、私はつい「リンゴに逃げる」癖がありまして。夜は米をなるべく食べず、リンゴだけにするとか。あと、ゆで卵で我慢をする。でも、それも偏っていますよね。

大西:そればかりになっちゃうと、よろしくないですね。

 

米粉麺のペペロンチーノと野菜の生春巻きが衝撃の旨さでご飯がススム

――野菜を調理するってすごく面倒な作業だと思い込んでいたんですが、適当に焼くだけでも構わないというのが発見でした。

大西:凝った調理をしなくても食べられるのが野菜の良いところ。輪切りにして、オリーブオイルで焼いて、塩を振るだけでもOK。

――大西さんがお好きな焼き野菜は?

大西:ニンジン、玉ねぎ、カボチャとか。時期は終わっちゃいますが、ズッキーニ、ナス、ピーマンあたりの夏の野菜も。きのこ類も旨いですね。

――キャベツのような葉ものでもいけますよね。トマトのような水分が多いものは適していませんが、それ以外はほぼ問題ない、と。

大西:オリーブオイルで焼いて塩をふる…がベスト。飽きてきたら、ゴマ油にして変化させるもよし、醤油・酢を加えてみるとか。これならご自身でも出来そうな気が…

――してきました!

大西:ちなみに、オリーブオイルと塩はちょっぴりお高いモノを使うのをオススメします。ボトルで1,000円前後するやつ。そのほうがおいしいです。

――塩、コショウもアリですよね?

大西:お好みで。うちも、食事はほとんどそんなんです。あとは、そこに肉を入れると、お肉の味と、お肉の脂身っておいしいので、お肉の脂身の味が野菜にも回って、よりおいしいですよとか。

――これだったら自分でもできそうな気がしてきました。レシピサイトのメニューは「まず〇〇と▲▲と■■を用意して、いちょう切りにして、水にさらして、ナントカという調味料に一晩漬けこんで…」ってめんどくさいのが多くて…。

大西:そんなの不要です。ただ、肝となるのは野菜の質なので、良いモノを選んでください。

~ここで、料理が運ばれてくる~

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――おや、これはなんですか……パスタと春巻き?

沼波さん(以下、沼波):右は米粉麺を使ったペペロンチーノで、左は野菜の生春巻きです。もちろんお肉は入ってません。紫人参、コールラビ、白菜の間引き菜等が入っています。コールラビってこんな野菜です。

――初めて見ました、コールラビ。

大西:あまり見ないと思います。中を切るとこんな感じです。カブって、根っこでしょう。これは、根っこじゃなくて、茎なんです。茎がすごい太くなっている。この上に、これは今カットしてありますが、葉っぱなんです。こういう形。これは紫のやつですが珍しいです。

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コールラビ

――日本でつくられているんですよね?

大西:もちろん。つくっているのは日本ですけど、元々日本であったような野菜ではないです。キャベツかブロッコリーとかと掛け合わせた野菜で、このへんは全部同じ仲間なんです。アブラナ科のキャベツの親戚。カブとブロッコリー。

沼波:ブロッコリーの茎みたいな。ブロッコリーも、あの先のもじゃもじゃだけじゃなくて、茎の部分って食べられるんです。見た目もコロンと丸くてかわいいです。おうちで食べるときに、ちょっと炒めて塩を振るとかでも、全然おいしいですよ。

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切り口がアートのようだ

――ところで、春巻きからは珍しい香りが……。

沼波:香辛料っぽい良い香りがするでしょう?これは紫人参です。すごい強くいい香りがします。

――見た目が綺麗ですね。でも……失礼を承知でいうと、「野菜オンリー=物足りないんだろうなという先入観」がありまして。

大西&沼波:旨いんですよ、これが。

――ほんとうですか…?どれどれ(春巻きをひと口頬張る)


…ん?


――サラダバーの野菜とは違って、味が濃い!ただ…調味料っぽいものも練りこまれていますね。なんだろうこれは。

沼波:お味噌で作ったタレが入っています。ベトナム風春巻きですので、こういう甘辛酸っぱいのでアクセントを出してるんですよ。

――言われてみれば確かに。でも量は多くないし、タレのない野菜の部分も十分に美味しいです。肉がなくても美味しい野菜の料理ってあるんだな…。

大西:米粉麺のペペロンチーノも召し上がってください。炒めたときの油と、麺(米)のカロリーくらいですね。オリーブオイルだけで炒めて、塩コショウで食べるというのがこれに近い。

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香りが部屋に充満してる

沼波:塩とオリーブオイルとワインだけで味付けしています。うちはワインを飲むお店なので、そういう味を入れてます。日本酒とかを入れてもいいですよ。

――ではいただきます……(もぐもぐ)


…むむっ?


――あのー、、、めっちゃ美味しいです。語弊があるかもですが、想像してたのとぜんぜん違う。

沼波:それは良かった(笑)。お野菜を入れるだけでも美味しいペペロンチーノにできるんです。野菜だけでもいいけど、キノコを入れるともっと味が出ますよ。

――ビーガンって「絶対菜食主義者・純粋菜食主義者」ですよね。卵や乳製品すら一切口にしない。だから「ビーガン=おいしいものを食べていない(or 食べることができない)人たち」という先入観がありまして。

大西:ビーガンというと、どうしても、健康べったりのイメージがあるんですが、ここのお店はそうじゃなくて、お酒飲みたいから、美味しい野菜とお酒を提供するお店になっているんです。野菜が大嫌いって人には向いてはいませんが、お肉も好きだけど、野菜も好きって方々にぜひお越しいただきたいと思ってます。

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ミートパスタにしか見えない

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「チリコンカン」って響きがかわいくないですか?

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これ絶対旨いやつだ!

 

有機野菜の流通量は、日本の野菜全体のたった0.3パーセント

大西:私からも質問なんですが、中山さんが有機野菜に興味を持ったキッカケは何だったんですか?

――それは……睡眠、運動、食事が健康に大事とは小学生でも知っていますが、ほとんどの人が実践できていません。野菜もそう。食べなくてはと思いつつも口にしていない。行動を改善するとっかかりが欲しかったんです。

大西:ハードルが高いんですかね…。有機野菜ってもう少し広まっていいんじゃないかとは思っているんですが、日本の全体の野菜のたった0.3パーセントしかありません。

――少なっ。

大西:鶏か卵の話になっちゃうんですけど、有機野菜ってあまり流通しないんです。すごく健康に気を使っている人か、病気で体調を崩したのでとにかく体にいいものを探している人がメインのお客様なんですよね。

――個人的にあったらいなと思うのが「野菜料理のバイキング」なんです。冷たいサラダだけじゃなくて、おでんとか野菜炒めのような火を通した野菜、豚肉抜きのトン汁、それと酢の物、お浸し、豆腐、大豆料理…が1,500円で食べ放題。これがあれば週1~2でぜひ通いたい。コストが合わないんでしょうけど。

大西:うーん、そういうお店はないですね…。せいぜいサラダバーがあるくらい。あっても渋谷か新宿…あるいは代官山、麻布とか?健康意識が高い人が集まるような場所じゃないと成立しないでしょう。

――やはりそうなんだ…。

大西:ビーガン向けですってすると、普通の人には敷居が高くなる可能性もありますね。ビーガン向けレストランって聞くと、なんとなくめんどくさそうなお作法やルールがあるんじゃないかって構える人は少なくないので。

――いつかどこかが実現してくれることを願います(笑)…。ちなみに、大西さんはお肉も召し上がるし、特定の食材を目の敵にはされていない?

大西:ないです。パクチーはそんなに好きじゃないですが、ただの好き嫌いです。あと、エビとカニはあまり好きじゃないですね。お酒は強くはないですが多少はたしなみますし、なんでも食べますよ。

――フラットなスタンスで食に向き合っているんですね。では最後に、マクミノルの提供する美味しい野菜を食べに行くには…?

大西:マクミノルのサイトに卸しているお店の一覧がありますので、ぜひそちらへ!(笑)。もちろん、ビーガン専用以外のお店もたくさんありまして、というか、完全にビーガンといっているのはKiboKo(キボコ)と、さっき紹介した中目黒のRAINBOW BIRD RENDEZVOUS(レインボー バード ランデヴー)くらい。居酒屋さんもありますし、中華の店もありますし。あとは、星つきの高いフレンチとか、そういうところもありますよ。ぜひ気軽に美味しい野菜を味わってみてください。

あと、「有機野菜の美味しさの理由」という記事も書いたので、併せて読んでいただけるとより理解が深まるかと!

――はいっ!まずは自宅でオリーブオイルで野菜を焼いて食すことから始めます!


<取材した週末、自宅にて>

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冷蔵庫にあった野菜を…

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5ミリほどにカット(適当)

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オリーブオイルで焼いて塩を少々(適当)


味付けはオリーブオイルと塩だけ、見栄えはよくないですが、ふつうに美味しかった。
あと、何よりすっごくカンタン!調理時間10分!野菜ってわりと簡単に摂れるじゃん!今後も続けます。\(^o^)/

大西 伸之介
オーガニック野菜エバンジェリスト
奈良県生まれ。大阪大学理学部を卒業。大手メーカー系販売会社に就職し、IT技術者としてシステム開発に従事。学生時代から料理や食べることへの興味が強く “美味しい食べ物” を求め歩くうちに、オーガニック野菜に行き着く。素晴らしい野菜を作ってくださる生産者のお役に立ちたい、という思いが高じ、2015年に八百屋に転職。現在は当社のバックオフィス、情報システム、配達を担当すると共に、オーガニック野菜の魅力の発信に取り組む。休日は援農で汗を流し、生産者と交流を深める。